episode13 スタンピード②
「おお、本気を出してくれんのか、そりゃ光栄だぜ人間様!」
ん?こいつ、人間に何か恨みでもあるのか?
「人間に恨みでもあるのかって言うような顔してんな。いいぜ、教えてやる。」
すると猫獣人の手が止まった。
「私はな、ある村の生まれでな。ある時帝国の襲撃を受けたんだ。その時に奴隷として私や他の仲間が連れ去られた。そんな時に、帝国で唯一不遇な扱いをしなかったのが皇帝なんだよ。」
「そんな過去が...」
「ああそうさ、連れ去られる時何人か仲間も殺されてな、そこからの怒りだ。だが、恩もあるしそれ以来私らは皇帝に忠誠を誓ってるってわけなのさ。」
だがスタンピードを起こしたら被害を受けるのは人間だけではないはずだ...
「おい、御託を並べるのはもういいか?そろそろ殺らせろよ。」
「おう、かかってこい。人間への恨み、俺が晴らしてやるからよ。」
刹那、相手の顔が目の前に現れる。
意識外からの攻撃に、慌てて体を捻り回避する。
「おい、恨み晴らしてくれるんじゃなかったのかぁ?」
「晴らしてやるよ、すぐにな。」
「【闘霊機装】猫女神ッ!!」
「【闘霊武装】威業ッ!!」
獣人の手には機械の鎌が、クリスの手には赤黒い刀が現れる。
キンッ!!
甲高い音と共に両者の間で何度も火花が散る。
「ダメだ、なかなか近づけない。鎌のリーチが長いからか?」
「どうした?攻撃の手が止まってるぞっ!」
「クッ!何か遠距離の物は...あっ!アレがあったな!」
何かを思い出したかのように立ち止まると、クリスは詠唱を始める。
「ウラッ!トドメだぁっ!」
『強欲なる者が告ぐ』
獣人がトドメを刺そうとするも、クリスは詠唱を続ける。
『我が身に黒衣を抱き、叛逆の骸を被る。』
「ウッ!なんだッ、このどす黒いオーラは!?」
あまりのオーラに獣人が仰け反る。
『黒弾』
パシュン!!
黒き弾丸は獣人の頰を掠める。
前を見た獣人の目の前にあったのは、全ての魂を奪い尽くすことを望む、強欲な黒い死神だった。
「やっと本気出したかよ。それじゃこっちも本気出すか。」
次の瞬間、獣人のスピードが格段に上がった。
『なんだ?それは。』
「獣化だよ。」
その後も鍔迫り合いし、一進一退の攻防が続く。
『そろそろ限界か、次で決める!』
「こっちも次で決めるぜ!」
『【居合一閃】ッ!』
『【頸刈り】ッ!』
両者の本気が交錯する。
だが、その勝負に勝者は無かった。
「...オマエ...なかなか..強えーじゃ...ねえか..名前は?」
『...クリス・グリード』
「私も名乗っといてやる。シャミだ。またどこかで会うかもな。」
『今度は味方であって欲しいものだな。』
「フッ。オマエみたいな奴、嫌いじゃねーよ。」
こうして一方の戦いは終わり、シャミは自軍の方へ、クリスはセレナの援護へと向かうのだった。
面白いと思ったらポイント評価とブクマ、感想をお願いします!




