陽だまり
自閉症児の手を握った時に、こんなことが聞こえてきたような気がしました。
この旅はややこしい
神にたった一つ懇願した
あの陽だまりに戻りたいと
何千万年前からの記憶
皮膚に、細胞に、魂の深奥に
刻み込まれた 痛みにも似た
激しくも
優しいあの感覚
この旅はややこしい
神はお前の願いを聞く代わりに
声を、意思を、自由を
奪わなくてはならないと言った
それでも戻らなくては
陽だまりと交わした約束
陽だまり、それでも私を
あたたかく照らせるのか
この旅はややこしいんだ
私には声が、意思が、自由がない
出来ることといえば
開かない扉の向こう側から
君に吐息を吹きかけること
張り付いて開かない目を
思いきり開けた。。。
全てが不完全で不自然なのに
暖かくて幸福の念が溢れてやまない
陽だまり、光輝を放っているのは君なのか?
私より早く着いたのか
この旅はややこしいぞ
覚悟は出来ているのか
全て悟った暖かい眼差し
懐かしい香り
君なのか?