魔王ですが勇者に会いに行きます(怒)
毎回習作と言ったら大丈夫じゃね?(甘い考え)
「今何時だと思ってるんだぁぁぁぁぁあああ!?」
「え?」
ここは魔王城謁見の間、俺様は魔王ピックボス、自由と欲望を司るオークである
今俺様の前には勇者が来ている、夜中の九時に……
怒りの余り第二形態になった俺様は勇者を踏み付け言い放つ
「お前よーTPOって知ってる?仕事終わって風呂入って、ネット見ながら晩酌する一日で最も至高の時間になに来ちゃってるの?」
「え?あの……すいません……」
「謝ったら許されると思ってるの?勇者ならなんでも許されると思ってるの?人んちのタンス漁ったり、最近だと女の子をローアングルで見ても許されると思ってるの?」
「いや……そんなことは……」
ヒソヒソ
(うわー出たよ豚魔王のネチネチ口撃)
(あれは二時間コースかな、可哀想に)
聞こえてるぞ部下ども、二時間も説教するわけ無いだろ…今から晩酌タイムなのに
「話にならんな、貴様にはこの怒りを身をもって味わって貰おう」
言って勇者から足を退け魔力を練り踵を二回打ち鳴らす
「この魔力は、まさか呪い?」
急いで身を起こし距離を取ろうとする勇者……だが遅い
「震えて眠るがいい、強制帰還魔法」
瞬間勇者の身は光に包まれ魔王城から消えた
それから一ヶ月後、待望の時がやって来た
「魔王さま準備が整いました」
そう言ったのは魔王軍四天王が一人魔法将軍ウラギールだった、酷く疲れてる顔をしてるが問題ないだろう
「うむ、それで勇者は今どこに居る?」
「幼馴染みの家です、もうすぐ夕食かと」
「素晴らしいタイミングだ、では行くぞ!」
「……やっぱり私もですか?」
「お前が居ないと結界が抜けれないだろ?ほら早く転移陣を出せハリーハリー」
ため息一つで転移陣を作り出すウラギール、そんな高等技術を嫌味に使うなよ
真っ赤な屋根の民家が目の前にある、中からは家族団らんの暖かい笑い声が聞こえる
「……本当にやるんですか?」
「何を今さら、ほらやれ!」
ドンドンドンドン!
「勇者居るのは分かってる!出て来い成敗してやる!」
ドアを叩きながら投げやりにウラギールが叫ぶ
中から息をのむ音と共に、誰かが近づいて来る気配、ゆっくりとドアが開かれる
「誰だ?」
現れたのは勇者、私服だが片手には剣を持っていた
「久しぶりだな勇者よ、アポ無しで来られる恐怖を持ってきてやったぞ」
「ああああぁぁぁぁ魔王ぉぉぉぉぉてめえぇぇぇぇええ!!」
やおら激昂して俺様に向かって来る勇者、ウラギール簡単に通すなよ止めろよ
「貴様!貴様のせいで!」
「ううーん?何かあったのかなー?」
下卑た笑顔で惚けてやった、効いてる効いてるw
「動物○護団体を寄越したの貴様だろ!何が魔物にも命があるだ、人殺しの害獣だろうが!何が魔物を殺す勇者は人殺しだ、こっちは人食いの魔物を間引いてるんだよ!プラカード持って人を糾弾しやがって、ならお前らが魔物をなんとかしろよカス!」
軽い思いつきで金で営利団体動かしたんだけど予想以上に効いてる……これ今度人間の王とお互い使わないように条約にしとこ
「というかどうやって来た!この村は聖剣の加護で魔物も魔族も入れないはずだ」
「ふっ……お使いクエストをクリアして加護を無効化したに決まってるだろう」
「……私がですがね……」
勇者の問いにウラギールが疲れた声で応えた、ごめんて、まさか一ヶ月もあっちこっち行かされるとは思わなかったんやw
「くそっ、お使いクエストか」
「……今イラっとしました」
そう、お使いクエスト!どんな難題も小さな噂からコツコツとやっていけばいつかクリア出来るこの世の不条理だ
後ウラギールごめん、そんな顔で睨まないで
「クックック、さあこれで分かっただろう、これからは俺様がお前をアポ無しで訪問出来るということが!恐怖するがよい、俺様は一を受けたら百にして返す男、貴様のプライベートタイムを百回踏みつぶしてくれるわ!」
「は?何言ってんだお前……生きて返す訳ねーだろ……あのウゼーカス共々挽き肉にしてやんよ……」
「ウラギール帰るぞ!この男勇者なのに黒いオーラ出して怖い」
結界を越えるお使いクエストをクリアしたのはウラギールだ、だからウラギールの転移陣じゃないと結界は越えられない
なのになんで勇者の幼馴染みとお茶してんのお前
「ウラギールさんも苦労したんですね…」
「いえ、あの状態の勇者を匿ってたあなたに比べたら私など」
「分かって貰えますか……うっ(泣)」
意気投合してんじゃねーよ、魔王さまのピンチだぞ
「……逃げ場は無いみたいだな……」
「今のお前…殺人鬼と言われてもしょうが無い顔してるぜ」
「死ねやぁぁぁぁぁぁああ!?」
「やってやんよ来いやぁぁぁぁぁぁぁあああ!?」
一ヶ月後魔王と人間の和平条約が締結した
俗に言うアポイントメント条約である
どうしてこうなった