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異世界でもクリエイター志望  作者: 紅魔マヤ
7/7

異世界でも無双したい(Ⅱ)

 閲覧ありがとう御座います。

キャラ構想とか外伝とか書いてたら遅れちゃいました。

遅れた分今回は長いです。

 いつもの様に日が顔を出す前の薄暗い青空の中、目が覚める。

そして毎朝決まった時間に鳴く鶏のごとく爆発音が...。

「ん...あれ、ユウ起きてないのか...」

自室の窓から外を覗くが彼女がいつもの場所にいなかった。

どうやらいつもよりも早い時間に起きてしまった様だ。

外はいつもより暗い景色でなんだか変な感じだ。

俺は今リビングで電気ポットで沸かしたお湯でコーヒーを淹れていた。

淹れたてのコーヒーの湯気と香りが、まだ少し眠気が抜けきれていない頭を起こしてくれた。

コーヒーを片手にソファーに腰掛けて一口啜った。

...うまい。

一時ひとときの満喫に浸っていた。

煙草を吸っている人だったらベランダで一服してるのかな。

しばらくの間ボーっとしながら今日やることを考えていた。

今日はワイバーンの討伐の日...作戦プランも考えたもんな。

コーヒーの半分くらい飲み終えた後に深い呼吸をしてから自室に用意して置いた荷物を取りに戻った。

リビングに荷物を置く前に、この世界に来てからもずっとスーツでいた俺は

なんでも揃っている雑貨屋「グロッサリー」で狩猟用の服を買っておいたのだ。

「久々にスーツ以外着るな...」

なんでずっとスーツを着ていたかというと正装な上に一々世間のファッションを確認しなくて済むし変に思われることもないからだ。

俺は作業机の隣に置きっぱなしのつつみから長袖のシャツに股とももがゆったりとしたズボンを取り出した。

新しい服に袖を通し身なりを整えてグロッサリーのおっちゃん(店主)からサービスで貰った軽装な防具を慣れない手付き装備し始めた。

金属製で薄い胸当てと籠手、革と金属で作られた膝当てと太ももに巻き付けるタイプのポーチを左ももに着けた。

靴は革製でそこそこ言い値がするであるブーツだ。

身支度を終わらせてリビングに戻り昨晩に道具を入れて準備を終えていたバックパックから最終確認としてもう一度中身を机の上に並べていた。

すると2階に続く階段の方から足音が聞こえてきた。

どうやらお目覚めのようだ。

ゆっくりと彼女が降りてきた。

俺は挨拶をしようとするが俺の前をただ通り過ぎるを目で追った。

彼女は窓を開けていつからそこにあったのかスリッパを履いて庭に出た。

すると彼女の足元から光る円が広がっていた。

空に掲げた手から火の玉が出現して空へと飛んで小さな光と共に轟音が鳴り響いた。

そう、いつも聞いている爆発音だ。

「んっ、おはよう」

「おう、おはようさん」

日の光で照らされるユウはいつもの様に無邪気な笑顔で挨拶をしてくれた。

先の爆発魔法で出来た黒い煙は青空のキャンパスに書かれたままだった。

「朝飯作っとくから顔洗ってこい」

「あいあいさー!」





 朝食と昼食用に軽くサンドイッチなんかを作っていた。

「はよー朝食はよー」

顔を洗って戻ってきたユウが急かしてきた。

「もうできるから座って待ってろ」

出来上がった朝食を皿に盛りユウが待っているテーブルに朝食を運んだ。

淡々と朝食を口に運ぶユウを横目で見ながら黙って食っていた。

今日やること確認のために話した方がいいかな...。

「ごちそうさまでしたー、んじゃ着替えてくるわ」

朝食を終えた後ユウは自分の身支度のために着替えに2階に戻って行った。

食べ終えた後の食器を片づけてリビングに置いたままのバックパックの中身を確認し始めた。

ライフルの弾薬は20発に予備の弾倉1個、観測用スコープ、炸薬弾に使っていない爆発ポーション4個、グロッサリーで売っていた救急用の回復薬3個に待ち伏せのために体臭を消臭用でファブリーズ。

それにさっき作った昼食のサンドイッチを詰めた弁当箱に水分補給用の綺麗な水を入れたペットボトル2本。

ファブリーズがなんであるかとかの違和感は微塵もなかった。

ライフル用に作った布で作った長袋からライフルを取り出して再点検を始めた。

一応寝る前に軽く点検したが眠気に勝てずに戻したんだったな。

朝日で照らされているライフルの金属パーツを一つ一つ丁寧に処理して組み立て直した。

「お・ま・た・せ」

ユウが支度を済ませてさっきの子供っぽい寝間着からいつもの露出の高い恰好でやってきた。

俺は組み立て終えたライフルを袋に戻してバックパックと共に背負った。

「よっしゃ行くか」




 今俺とユウはいつもの草原の場所に来ていた。

ワイバーンが目撃された地点は今いる草原とは反対方向の森林地帯だ。

「ねぇなんでわざわざ反対方向に来てるの?」

「お前は地図が読めないのか?直接向かおうとするとお前の胸みたいな箇所で登れないんだよ」

「ほほぉ、また死にたいようだなお前は」

ユウが拳を鳴らしてくるが俺はそのまま緩やかな丘を上っていた。

「ねぇ、テレポート使っちゃダメなの?」

するとユウが早速作戦の中身を忘れたようだ。

「あのさ、お前がポンポンポンポンとテレポート使ってるんだからさ、そのの特性ぐらい常に頭に入れとけよな」

テレポートは誰しもが夢見る魔法のトップ3に入る技だが、この世界のテレポートの特徴が光を放つことだ。

特性はテレポートする距離に応じて消費する魔力量が変化する。

それに比例して光の強さが増していく。

その為、距離が離れている森林地帯へテレポートを使用すると他のモンスターに気づかれてしまう恐れがある上にドラゴンは魔力に敏感だという情報が報告されているためだ。

「でもさ、移動距離短めでテレポートを複数使用すればばれないんじゃない?」

「その場合だとお前の魔力残量が無くなるぞ」

タクシーの初乗り運賃の様にある一定量の消費は必ずるから連発なんかしたらすぐに空になってしまう。

それでもユウは駄々を捏ねていたが次第に声を出さなくなり俺とユウは黙々と歩き続けた。

総重量10キロは越えている装備を背負ってかれこれ2時間は歩いていた。

ヘトヘトになっていた俺は後ろでくすくす笑っている痴女に荷物を持たせようと考えていた。

「ねぇねぇ目的地ってこの辺じゃないの?」

ユウが辺りを見回しながら俺に聞いてきた。

それに促された俺は辺りを確認すると持ってきた地図とコンパスに太陽の昇り具合を見て歩いた距離を割り出していた。

「そうだな、目撃されたのが森林地帯と草原の間で丘の上にデカい木がある辺りっていうアバウトな情報だったがここでたぶん合っているだろう」

「じゃぁ待ち伏せという名のお昼を取ろうよ」

そう言うとユウが丘の上に目指して駆け出した。

俺はもう歩きたくないんだがな。

傾斜が緩やかな丘を今にでも荷物を置いて寝たい身体を踏ん張って登った。

疲れた...。

木の根元に荷物置き早くも疲れ切った体を幹に委ねた。

隣には余裕の表情を浮かべバックパックから弁当を取り出そうとしているユウがいた。

「おい待て...まずは手を洗え」

「大丈夫だって、私風邪引いたこと一度もないから平気平気」

微妙にすごい自慢をユウは口にしながら弁当を包んでいた布を外していた。

俺はバックパックから水を取り出し一口飲んだ。

 その時、腰を掛けていた木の向こう側から何か聞こえてきた。

俺は耳を立てながら横目でユウを覗いた。

ユウは弁当の蓋に手を掛けているにも拘らず俺と同じく耳を澄ませている。

ここに来るまでに日本でもたまに見かける鳥やネズミの様な小動物は見掛けていたが大型系は一頭も見掛けていなかった。

徐々に音源が近くなってくるに連れてドタドタとあわただしい轟音と地鳴りが聞こえてくる。

俺は手に持っていたペットボトルを地面に置きバックパックからスコープを取り出して木の向こう側を見た。

スコープのレンズに映るのは森の木々しか見えなかった。

すると突然ユウが叫んだ。

「めっちゃ牛がこっち向かって走ってきてるんだけど!!」

牛?いやそれ以前になんでお前わかるんだよ。

その直後ぐらいにスコープ越しの俺は森から鳥達が慌てて飛び出しているのが確認できた。

木々が所々で倒れているのもわかった。

木が倒れるたびにデカい音が聞こえてくるのも伝わってきた。

俺はスコープから目を離してライフルを袋から取り出して軽く点検をした後にバックパックから弾薬と弾倉マガジンを取り出していた。

くそ、専用の弾薬ケース作っとけばよかった。

子袋に入れていた弾薬が無意識に震えている手のせいで上手く掴めずにいた。

今更思ったが炸裂弾とかあるのに布で出来た袋と誤爆しそうで怖い。

弾倉マガジンに掴んだ弾を5発装填してライフルの下部にはめ込んだ。

そして槓桿ボルトハンドルを引き弾が薬室チャンバーに入りガコンッと重低音が鳴る。

それが聞こえたのかユウがこちらに振り向いてきた。

俺は咄嗟にライフルをユウに手渡していた。

ユウは槓桿ボルトハンドルを引いて弾が入ってることを確認すると慣れた手つきで二脚バイポットを開いた。

身に纏っていたマントを外してそれを丸めて地面に置きその上に上半身を乗っけるように俯せになりライフルを構えた。

ストック上部に自身の頬を当てて照準器リアサイトを覗き込み森の先を見つめていた。

俺は生唾を飲んだ。

手や額にはさっきとは違う汗が流れ落ちてきているのが伝わってきた。

俺は手汗で濡らしながらスコープで森の先を見た。

緊張が走る。

 森の中から出てきたのは大量の黒牛の群れだった。

「すげぇ...牛の速力半端ないな...なぁユウ...」

感想を口にしながらユウの方を振り向くが彼女の瞳はその先を見ている気がした。

カッコいい...じゃなくて何が見えてるんだ。

スコープでもう一度先を見た黒牛の群れの最後尾に"3つ"のシルエットが異なる動物...いやモンスターを確認した。

森から出たそのシルエットは日光を浴びてその姿がハッキリ確認できた。

「なぁ、ユウ...」

「何...今集中してるんだけど...」

「いや、あれどう見ても恐竜てかラプトルだよな?」

「そうね...スゥー...」

いや、そんな、えぇ...。

素っ気なく返された返答を受けて内心ちょっとショックを受けた。

その直後ユウのゆっくりとした吐息が聞こえてた。

おいまて、あそこまで相当な距離があるけど当たるのかよ。

そよ風により揺らされる草原の草木の擦れる音、地鳴りと共に響き渡っている轟音の中で一瞬だけ静寂になった。

直後に爆発音が真横で響いた。

俺は突然起きた爆音に耳を抑えるのが遅れた。

「アッツ!バカやろー!!撃つなら撃つって一言言えよ!!」

「.....ビンゴ」

え?ビンゴ?何が...あっ。

俺はユウに向かって怒鳴りを上げたのに対してユウは報告してきた。

その報告を聞いた直後に俺は慌ててスコープで何がどうなったかをすぐに理解した。

撃ち放った弾丸は1匹の恐竜型モンスターに命中して倒れていた。

他2匹のモンスターは仲間が突然倒れたせいか右往左往していた。

再びユウのゆっくりとしたリズムで吐息が聞こえてきた。

「撃つときは先に言ッ!?」

俺は慌てて木の幹に隠れた。

2回目の銃声が響き渡った。

俺は自分の能力で草に絵を楕円を描きそれを耳に詰めた。

そして3回目が響き渡った。

即席の耳栓だけど案外これいけるかもな。

戦果報告をしないユウの変わりに俺が現状を口頭で喋り始めた。

「えーと、2発目がたぶん右のモンスターの足にヒット。3発目は左の首元か?うわぁ、1発目でやった奴頭飛んでねぇか?」

「一番右の奴ミスったなぁ...スゥー...」

また声かけなしで撃ちやがったな...。

足を引きずり逃げようとしていたモンスターに命中した。

「ふぅ...疲れた~」

何が疲れただ。

自分の耳に詰めていた耳栓を抜き俺は荷物を見て愕然とした。

ガス圧が銃口制退器マズルブレーキにより反動を軽減させる便利なカスタマイズキット、それが仇となってしまった。

荷物はめちゃめちゃ、バックパックは倒れて中から弾やポーションが転がっていた。

というよりも荷物の真横で撃つかよ普通。いや最初の一発のガス圧食らって平気でいる俺もどうかと思うのだが...。



「なぁユウ...?」

ぐてーっと俯せの状態から起き上がろうとしない。

「おい、何死んだ真似なんかしてるんだ...よ...」

ユウに話しかけていた時、背筋に悪寒が走った。

今までにないくらいに背筋がゾクゾクとした。同時にスコープに握っていた手はさっき拭いだばかりだというのに冷や汗でヌルヌルしていた。

俺はゆっくりと後ろを目で確認した。

俺はまず思った。デカいと。

何故なら対象の巨体がデカデカと黒い影伸びていたのだから。

今の時間帯は昼過ぎぐらいだ。太陽は森の方角の上にあったが今はもう自分たちの後ろに位置しているために目の前には影が有った。

ヤバイ...。

俺は意を決して少しずつ、少しずつ首を横に向け始めた。

目線は下に向けながらゆっくりと。

視線が俺の方を完全に向いた。

自身の目線がその巨体の上の方に向いてしまった。

「く、く、く!?」

目の前には体長4m以上はある熊が立っていた。直立していた。優に7~8mのデカさに見えた。

やばい、これ確実に死んだわ。さようなら2度目の人生...って違う!!そうだ餌だまだサンドイッチがある。

俺は裏返った声が出てしまい咄嗟に真下に遭ったサンドイッチをゆっくりと拾って自分の左手側にひょいっと投げた。

だがサンドイッチに目もくれずにそのままゆっくりと近づいてきた。

ドシドシと微かに地面が揺れながら俺は目の前の超大型の熊の目から放せなかった。

すると直立していた熊は前に倒れてきた

「ひぃぃ!?」

あまりの衝撃に女の様な声で悲痛な声を上げた。

だが熊はそのまま荷物の中をゴソゴソと漁り始めた。

チャンスだ!今が逃げれるベストチャンス!!

俺はユウの背中を揺すってライフルを手にして丘からゆっくり離れることにした。

「おいユウ、しっかりしろ、死んだふりしてたら食われるぞっ!」

「うっ...うっ...」

ユウは涙目になりながらも口をしっかりと両手で覆って叫ばないように踏ん張っていた。

ゆっくりと、慎重に、熊と目を合わせないように視線を下げて自分たちの荷物から離れた。

ミシミシッと何かガラスの様な物がひび割れしているような音が前の方から聞こえてきた。

恐る恐る視線を上の方に持って行った。

「あわ、あわわっわわわわわわわ」

「うっうっうっ!!??」

なんと熊が爆発ポーションを咥え込んでいるではないですか!?やばい!!あんな強靭な顎だったら舐めて薄くなった飴玉に砕かれてしまう!!

俺とユウはギアを一段階上げてバックした。

ある程度の距離が開いたところで後ろへ走った。

その瞬間を見てしまったのか熊が立ちあがる気配を感じた。

今はそれどころじゃない。

パキッと言う音が聞こえたような気がした。

その直後に後ろから強烈な爆風が背中を強打した。

「「うわあああああああ!?!?」」

緩やかな丘を爆風による加速した状態で全身を強く打ちながら転げ落ちていった。



一瞬の出来事だった。

気が付くと青空と黒煙が視界の端でチラついた。

「いてぇ、すげぇいてぇ、おいユウ大丈夫か!?」

隣で泡を吹いてるように見えたユウの体を揺さぶらせて安否を確認した。

「うっうっうわあああああ、ああああ、あっうっ!!」

声を大にして泣き叫び始めた。

「よかった...生きてた...でもうるせえ!!」

「痛っ!!叩くことないじゃない!!...死ぬほど怖痛こわいたかった」

怖痛ってなんだよ、いやまぁさっきの状況だと合致する。

「痛かったから魔法で治療しよ...」

「おい、俺にも掛けてくれ」

ユウは治癒魔法を掛けてくれた。

こういう時は素直だから可愛いのだが...。

傷が癒えた俺とユウは丘の上で盛大に上がっていた黒煙に向かった。

「おうふ...」

「こ、これはまた中々の丸焼きじゃないですかね」

口元は砕け散ってそこからから煙を上げて超大型の熊は仰向けで倒れていた。

身体はやけどとガラス片が毛皮に突き刺さっていた。

爆心地から近かった大木は捻じ曲がりサンドイッチはどこかへ行き弾はあちこちに飛んでいた。

爆発ポーションの取り扱いの説明書付けないと裁判沙汰になるな...いや手榴弾よりすげぇ凶悪な武器だな...。

ライフルの弾倉を外してユウに渡し落ちている弾を自身の服で綺麗にして弾を込め始めた。

「弾丸の中心これ絶対ずれてて危ないだろうけれど目的のワイバーン倒す前だってーのに、なんでこんな事になってるんだろうか」

俺は見える限りで有った5発の弾を込め直した。

「ユウ、ライフル...ユウ聞いて...ッ!?」

込め終わった弾倉を手にしてユウにライフルを要求するが返事が返ってこなかった。

後ろからバサッバサッと風を切る重低音が聴こえてきた。嫌な予感がした。

後ろを振り向くとユウが背中を向けて立っていてその視線の先にアイツがいた。

おいおい冗談は止せよ、なんていうタイミングに標的が来ちまったんだよ。

本日の対象モンスター”ワイバーン”と遭遇した。




 最初に目に飛び込んで来たのはそのモンスターの身体よりも巨大な翼だった。

なぜならその翼は優雅に上下に鈍い風きり音を発して羽ばたいているのだから。

俺はそのモンスターに見惚れてしまい手に持っていた弾倉を落としそうになった所で我に返った。

「おい!ユウしっかりしろ!早くアイツを撃ち落として酒を飲みに行こうぜ」

「へぇ?」

駄目だコイツ動揺しすぎて目の焦点が合ってない上に変な声出してる。

俺はユウに持たせていたライフルを手にして弾倉を下部に押し当て金属音を鳴らしてユウに託した。

「頼むぜ雪国の白い悪魔!あのドラゴンを落としてくれよ」

「え?白い悪魔?管理局じゃなくて?」

まだ正気に戻り切れてないのか分かりずらいネタを持って来たユウはグリップを握った。

下手な漫才劇を見たのかワイバーンは怒って鳴き声を上げた。

甲高い猛獣の声が辺りに響き渡った。まるで本物の怪獣映画の様な臨場感、いやそれ以上に恐怖を感じた。

俺は彼女の肩を掴み互いの鼻と鼻がくっ付きそうな距離まで近寄った。

「ちょっ!?近い近い」

「おいユウ、いいか、ワイバーンは希少価値な存在だ、お前が毎晩ちびちび飲んでいる高級酒が何十本も買える額だ」

朝食以降何も口にしていない彼女の喉元からゴクリッという音が聞こえた。

俺はそれを聞いた直後に続いて言った。

「あいつを倒してギルドに持って行けば高級酒を使った酒風呂にだって入れる額だ!絶対にアイツを仕留めろ」

「高級酒、何十本、酒風呂、飲み放題...」

するとユウの瞳はさっきまでと違い一点だけを見ていた。

俺はその目を見て確信した。ちょろい。

「おっしゃぁかかってこいや!トカゲ野郎!!」

喧嘩を吹っかけるように大声で叫んだユウの言動に反応したのかワイバーンは今一度声を上げ威嚇してきた。




 風きり音と共に目の前の巨体が猛スピードで突進してきた。

すると彼女は応戦しようとライフルを構えようとしたのだが様子がおかしかった。

「どうしたユウ!早くトカゲ野郎に弾丸を食らわせてやれよ!」

「ご、ごめん、魔法の効果切れたっぽい」

なんということだ、目の前に迫ってくるトカゲの鋭い眼は彼女を狙って突進して来ているにも関わらずに魔法の効果が切れた今の状態は普通の女の子と変わらない力だ。重さ9キロ近いライフルを持ち上げようとするが銃口は以前下を向いたままだ。

やばい、本気でやばい。

「ユウ!逃げるぞ!!」

「こ、ここは任せて先に行け!!」

なんていう時に言ってみたい台詞BEST10の台詞を吐くんだよ!?

俺は両手を上げて立ち塞がろうとしているユウを蹴飛ばしてワイバーンからの標的を自分に向けようとした。

俺は奴の攻撃を多少なりと防ごうと思い腕を胸の前に構えて目を瞑った。

体中に強烈な突風に襲われた直後に俺は目を開き確認した。

するとそいつは頭上を通り過ぎただけで体に外傷は見当たらなかった。

「おいユウ!寝てる場合じゃねえぞ態勢を直して攻撃に出るぞ!」

「レディーのお尻を蹴るなんて最低ね」

反応を返す前にライフルを拾い突風で飛ばされてきたのか爆発ポーションの瓶があった。

俺は瓶を拾いホバリングしている奴は再度こちらへ突進を仕掛けようと態勢を整え終えようとしていた。

そしてジェット機の様な音を発てて迫ってくるワイバーンに向かって投げた。

以前の狩猟以来使っていなかったスキルのおかげで真っ直ぐと飛んで行った。

野球選手だったらもっとすごい速度で飛んでいたかもしれない瓶は相対的に奴の顔面に当たり炸裂した。

爆発により巨体は地面に落ち目の前まで勢いを殺せずに地面を削って来た。

チャンスだ、外しようがない巨体の頭が目の前にある。今なら簡単にやれるはずだ。

俺はライフルをワイバーンの、文字通りの目の前に構えて薬室チャンバーに残されていた一発に引き金を引いた。

ワイバーンの目が一瞬俺と目が合った直後にその目は見えなくなった。

「や、やった...」

「やれたの?ほんとに?間違いなく?」

しつこく聞いてくるコイツを他所に俺は恐る恐るワイバーンの頭に触れた。

鱗はガチガチで隙間にある表皮は鱗よりは柔らかいが人は比べ物ににならないほどに硬かった。

「こりゃ目玉や関節狙わないと絶対に弾が貫通しなくて倒せなかっただろうな」

「うわ、鱗の一枚一枚からすごい魔力を感じるよ。これだけ強い魔力の源があるんだったら即席で上級魔法連発できるアクセサリー作れちゃうわね。そりゃ高く売れるはずよ。」

なんだかワイバーンの解説をしているリポーターみたいなのがいるのだが、ふと何か視線を感じてその方向に目をやった。

視線を向けた先は森で覆われて何がいるかわからなかった。

手元にスコープがなかった為に確認を取れる方法がなかったが気のせいだと思った。

「よし、ミッションコンプリートだな、帰るか...ユウ?」

森から目を離して目的のワイバーンを倒して安堵に浸かり流れでユウの顔を見た。

なぜだか返事を返さない彼女を見てデジャブを感じ、目線の先を見た。

もうすぐ日が沈む掛ける時間帯で空はオレンジ色で空に掛かる雲は赤くなり始めていた。

俺は目を凝らしてユウが見ている目線の先、夕焼けの空に黒い点があるのを見つけてしまった。

「oh...」

「2匹いるとか聞いてないんですけど、ケイスケどうしよう」

俺は最初に倒したワイバーンが飛んでいた時のサイズと比較して恐ろしいことがわかってしまった。

明らかに黒い点がさっきの個体よりハッキリ大きく見えていたことに俺は慌ててライフルの弾を探した。

「おいユウ!魔法使って弾の回収してくれ!」

「えっとその、肉体強化系の魔法ずっと発動してたせいで、その...」

おいおい待てよ使用している間って永続的に魔力を消費するのかよ。

夕焼けで照らされているお互いの顔が青くなるのが見て取れてしまった。

ユウと俺は必死に弾をだだっ広い草原の中をかき回して運よく見つかった弾が3発のみだった。

急いで弾倉をライフルの下部から外して込めようとした瞬間だった。

さっきよりもはるかにデカい翼をはやしたトカゲが目の前に降りてきた。

そして翼をめいいっぱいに広げて声を上げて威嚇を始めた。

運よく倒せたアイツの声よりも低く、長く続いた獣の声は俺たちの体を岩にしたように固まらせた。

それでも俺は震える手で弾を込めようとするが手を滑らせて弾を落としていた。

「ちょ、ちょっと落ち着いて、まだ奴は威嚇だけで攻撃態勢になってないから大丈夫...たぶん」

たぶんって一言余計なんだよ!?落ち着け、さっきみたいな運がもしかしたらまたあるかもしれない。

すると奴のバックに夕焼けの逆光で黒くなった巨体が地面を踏みしめて自分たちに迫って来ているのが映像に映った。

「やべぇ...」

「ちょ、ちょっと早く逃げるわよ!」

ユウは俺の手を無理やり引っ張り地面に金属音が鳴る中森の方まで逃げようと駆け出した。

いったい何が起こっているのか頭の中は真っ白になった頭は状況が掴めずにいた。

ただただ彼女の後姿を見て呆然と足を動かしていた。

「もっと早く走りなさいよ!」

「え?」

「え?じゃないわよこんな状況で何ボーっとしてるのよ!?早くこの状況を打開できる秘策を考えて私を助けなさいよ!!」

自身の頭を左右に強く振った直後に俺は後ろから追って来ている奴ともう一頭の亡骸を見た。

駄目だ、奴の分厚くて硬い鱗を貫いた上に表皮を突き破って内側を破壊するなんて無理だ...。

俺はハッとしてユウに声を荒げて言った。

「ユ、ユウ!お前魔法で奴の目を潰せれないか!?」

「秘策を思いついたのね!雷系魔法に強い光放つのがあるけれど今の私の魔力残量じゃ使えないわよ!」

俺は先の戦いで倒したワイバーンを使って賭けに出た。

「お前さっき一枚一枚に魔力が詰まってるって言ったよな!それ使って魔力回復して奴を怯ませろ!そした隙が出来るからその間にライフルで奴をやる」

「そ、そうだけど、どうやって鱗から魔力を抽出するのよ!それにあんな分厚い鱗をどうやって剥がすのよ?」

「今後ろにいるのにお願いしてみるよ、あっ」

俺は後ろから追って来ている巨体を確認しようと顔を向けた。目に入ったのは翼を広げて低空を掛けている巨体が猛スピードで迫っていた。

先に走っていた俺たちは奴が到着する前に森に逃げ込めれた。

その巨体は低空飛行の態勢から上昇し始め森に突っ込むことなく空に上がった。

その時に出た突風が森の木々を激しく揺らして行った。

俺とユウは森に入った直後に木の陰隠れてやり過ごすことに成功した。

「ぜぇ、ぜぇ...ワイバーンが1匹だけとか言った奴誰だ...」

「私もそれ言った奴取っちめてやりたいわよ...」

死にもの狂いで走った性で息を荒げている俺たちは文句を垂れながらワイバーンを探した。

「どうするか、ライフルの元までは相当な距離がある上に強化魔法が使えないユウに魔力を回復させる、きっつ!」

「ね、ねぇこの際このまま隠れてやり過ごさない?もう日が暮れるから暗くなったら奴も巣に帰るだろうし」

俺たちは日が沈むのを待つことなく森を抜けることになった。

奴が所構わずに森をなぎ倒し始めたのだ。

「嘘だろおい!なんでそこまで俺たちを狙うんだよ!」

「ま、まぁさっき倒したのが雌のワイバーンだったんだろうね。帰りが遅いから確認したら私たちが仕留めちゃったのを見た旦那が切れたからじゃないかしら、たぶん」

まじかよ、あれで雌とかドラゴンやばいな。

生物の大半は雌の方がデカくて雄は小さかったりするのだが、逆だとは思わなかった。

森から慌てて抜け出してしまった俺たちはすぐに奴の手厚い歓迎を浴びることとなった。

「ちょっとあんな巨体で圧し掛かられたら一撃で死んじゃうって」

「その前になんとかライフルと鱗を回収して奴の攻撃を避けて反撃するぞ」

全速力で雌?のワイバーンの亡骸まで走った。

雄のワイバーンは俺たちに確実に近づいてきているのを肌で感じていた。

「あと少し、あと少しで届く」

今こうしている状況を映像に起こしたらB級映画にありそうなシーンだと思えるだろうがそんな状況下になってしまったのだから仕方あるまい。

「やばいやばいやばいって!もう足動かせれない」

後ろにいたユウの叫びが徐々に遠くになっていくのがわかった。

ここでコイツを失ったら俺までやらちまう!

俺は何を思ったのか足を止めてユウに迫りつつあるワイバーンに顔を向けた。

「ちょ、ちょっと何考えてるのよ!?バカなの?低脳なの?また死ぬつもり!?」

「いいから早く走ってライフルを回収しろ!!」

ユウに向かって叫んだ直後、奴に振り返ろうとした時に視界内で一瞬だけ光った何かを見た。

俺はその光った物に目掛けて走っている最中にそれが希望の光へと変わる瞬間が見えた。

最後の爆発ポーションを手に取った直後に振り返り奴を見ようとした。

目に映ったのは鋭く強靭な爪が生えた足だった。

俺は咄嗟に瓶を投げようと足を後ろに下げようと構えた。

間に合えッ!

だがその時、俺は一瞬"死神"のような影がワイバーンの背中越しに見た。

死が目の前まで着た直後に燃えカスの臭いを感じ鼻を鳴らすと死神が突如消えた。

気が付くとワイバーンは俺の横を通り過ぎて一瞬だけ地面に落ちた直後に空に上がったのを目撃した。

「おーい!ケイスケ!まだ生きてるよな!!」

俺は突然出た声の元へと振り向いた。

手を振っている人影が見えた。

「ユ、ユウ...ナイスなサポート!!」

「ケイスケ!上!!」

俺はその言葉に従い上を向くと再度攻撃を仕掛けてくるワイバーンと目が合った。

さっき投げれなかった瓶を振りかぶって投げた。

「プレゼントでもどうですかっ!!」

瓶の割れる音と共に頭上で盛大な爆発煙を上げて落ちてくるワイバーンを見た。

「ふふん...あっ」

煙を上げながら落ちきた巨体は落下時の衝撃で砂煙と草を巻き上げた。

満身創痍だった俺はワイバーンの巨体に押し潰されそうになった。

あまりの巨体のデカさと重量だったのか地面に少し埋まってしまったそれの隅に彼女は走った。

「ケイスケ!!無事なの?」

「いってぇ...」

彼女は笑みを浮かべて俺の顔を覗き込んでいた。すると俺は彼女が何か口に咥えているのが見えた。

「おい、それって」

「ワイバーンの鱗が何枚か落ちてたからちょっと試しにしゃぶってみたら魔力が回復したのよ」

「へ、へぇ、それで」

それでライフルの弾が当たったのか。

彼女の強化魔法は未来予知までしてしまうのだろうか?あんな一瞬のうちに的確に弾を撃ち込めれるなんてな。

「それ声に出てるわよ。まぁ私は天才だからね」

張る胸なんてないのに胸なんか張って誇ってるユウはいつも通りだな。

「っておいそんなことより早くそこのデカいのに止めを!!」

「あっ」

「あっじゃねぇよ起きちまうだろ!」

俺の前の巨体の頭の目がピクピク動き始めるのが見えた。

咄嗟にユウが抱えていたライフルを取り奴の目に向けて引き金を引いた。

だが何も起きなかった。

「あれ、おい!なんで!?」

俺はライフルの薬室内チャンバーを確認して焦った。

「えーっとその、残りの弾...撃っちゃった」

今思い返すとあの巨体が直径13㎜の弾でなんとかなる方がおかしい。

俺から見たワイバーンの左側面部が同じ個所に当たった弾の残骸がへばり付いているのがわかった。

この状況でこいつを仕留めれる武器なんかあるのか。

するとこんな状況下でユウは高々に笑い始めた。

「魔力が回復した私に勝てる相手はいない!例えドラゴンでもね!」

「お前最初の方でドラゴン族がどうたらこうたらって震え声で言ってなかったか」

ユウはワイバーンに体を向けると足元に魔法陣の光を作り魔法を詠唱し始めた。

日が沈み終わりを迎えそうな薄暗くなっていた時間も相まって彼女の周りは余計に光強く見えた。

「ふふふ、いくらドラゴン族でもね。これは応えるでしょう」

ユウは詠唱を終えたのか何やら臭い台詞を言いだし魔法を唱えた。

【ジ・シュラーフ・ゼヒャア!!】

すると彼女はワイバーンに向かって右手を突き出しそこから光を放ち魔法陣は消えた。

...。

なぜだ、あんだけ中二病をこじらせた様な詠唱を言いながら構える姿はかっこよかったのに。

「なぁ、それ何の魔法なんだ?」

俺はユウが使った魔法が一体どんな効果なのかを聞きだそうとした。

「何って、眠気を強くさせて絶対に相手を眠らせる"眠り魔法"の一番強い奴よ」

眠らせる、眠り...なんでそんな微妙な魔法を使ったんだコイツてかもっとど派手な魔法使えよ。

いや待て状況をよく考えろ、ユウが毎朝欠かさずに使っている爆発魔法は下級中の下級だろう。

それにワイバーンのすぐ傍にいる俺が巻き込まれる上にユウまで自爆するだろ。

「ふぁぁ、ね、ねむ」

頭の中でごったごたな状況を生み出しているとユウが倒れ込んだ。

「おいどうした!?ユウしっかりしろ」

突然俺の体に倒れてきたユウに慌てて声を掛けると小さな声で返事が帰ってきた。

「ごめん、この魔法術者まで被ばくする技で...」

説明をし始めたと思ったら俺の上で寝息を立て始めたぞコイツ。

それと同じく目の前にいるワイバーンも寝息を立て始めた。

俺はと言うとユウに圧し掛かれた時にわずかに感じた柔らかな感触により逆に目が覚めていた。

嬉しいはずのラッキースケベなのにどうしよう...作戦プランはお釈迦になっている上にギルドへの連絡手段が今目の前でいびきを掻いて眠り込んでいるんですがそれは...。

寝相が悪いのかユウは体を動かし俺の顎の下ぐらいに頭を寄せて体を重ねてきた。

おい、ほんとは起きてるだろ。

いつも見ていた彼女とは違う姿に少し妙な気分になる中寝言が聞こえてきた。

『ケイ...明日の晩御飯はハンバーグがいいな...』

...やっぱり起きてるだろ絶対。

今この状況下を誰かに見られるはずはないはずなのだが...嫌な予感がする。

「あ、あのぉ...お取込み中でしたらごめんなさい...」

やっぱりか。

声の方を向くと顔の整った美形に月明りに照らされて輝くサファイアの様な瞳に青く光放つ髪が夜風により青く煌めいて見えた。

おっと、これはまずいですね...。

「えっと、その、ギルドから救援願いが出されまして来てみたのですが、その、大丈夫そうなら帰りますね」

「いや待ってください。誤解ですから、ユウはただ単に眠る魔法使ってワイバーンの捕獲を」

『ねぇケイスケ、もっと頂戴』

誤解を招く発言をしてきたぞコイツ。

「えっと...」

夜空の月明りの下でなんか昼ドラとかでよくありそうな修羅場が彼女いない歴=(イコール)年齢な俺に来てるんですが。

すると彼女は咳ばらいをして切り替えてきた。

「救援要請を出したのはあなた方にドラゴンの狩猟の依頼を出したパーティからです」

彼女の後ろからぞろぞろと人が出てきた。

「すまん...無理は承知だったのだがやっぱり気になってしまって」

...。

「せめて遺品の一つでも拾って持って帰ってやろうと思って」

...。

「お、俺はきっとやってくれるって信じてたぜ」

...。

「ご、ごめんなさい!嘘を付いてしまってごめんなさい!」

なんか、感想に困るな。

「なぁ、青髪の受付嬢さん」

「あの私の名前は、えっと”エリカ・マーガレット・ササキ”...です」

エリカ...ん?ササキ?

エリカと言ったギルドの受付嬢さんの名前の最後に日本人の名字が聞こえたのだ。

「えっと、話をすると長くなってしまうのでまたいつかお話致しますので...」

するとエリカさんは空に向かって何かを飛ばした。

空に飛んで行ったそれは強烈な閃光を放って俺に乗っかっているユウと2匹のワイバーンがいる草原を照らした。

「それではサイトウ様、フィーレ様、街までお連れ致します」

ん?フィーレ様?誰だ...。

エリカはにこやかに笑みを浮かべて懐から取り出した瓶の先を割った。





 エリカが取り出したあの小さな瓶は一体...。

俺は今ギルドの待合室のふわふわのソファーに腰掛けていた。

恐らくあの瓶は即席のテレポート、モ○ハンのモ○リ玉と同じ役割なのだろう。だけどアリアさんの魔道具店には置いていなかったんだよな、あんな便利な魔道具があったら在庫はいっぱいあってもいい物だがな...。

「う、う~ん...ここ、どこ?」

隣でだらしなく涎を垂らして寝ていたユウが起きたようだ。

美人なのにおしいよなぁ...もっと普通にしていてくれたら。

待合室の扉の隅っこに設置されていたベルが突然鳴り響いた。

「サイトウ様、お目覚めのようで安心致しました」

金色に輝く三つ編みの髪にエリカと同じ様な青い瞳、そしてデカい胸部装甲...っていかんいかん。

扉を開けて入って来た金髪の女性は一礼してから俺に今までの経緯を話してくれた。

そして一枚の小切手と何か書いてあるA4用紙ぐらいの紙を花瓶が載っていた高そうなテーブルに置かれた。

俺は小切手に目が行った。

「ん?...桁間違えてませんか?」

「いえいえ、間違いは御座いません」

前に見た小切手の0の数がその時よりも3つ多いのだ。

「3...3740万マルス...」

「そしてこちらが各種の詳細情報です」

紙に書かれている内容にやたらと多くのモンスター名が書き出されていたことに気づいた。

「今回サイトウ様が倒されました各モンスターの取引額になっております」


ラトル3頭,15万,シュラックベア1頭,455万、ワイバーン2頭(内1頭捕獲)1000万(2400万)

内救助要請時の手数料,ギルド職員1人の出張費,ルクア1個の消費により130万の手数料を差し引き最終金額3740万


これなら当分静かに暮らせそうだな...。

「え、なにこの額、すご!?」

「ユウ、俺はケチな人間じゃないから半分はやる」

「え?何言ってるの?3分の2は私よ?」

何言っちゃってるのこの子。

「何よその顔、普通に考えて当たり前でしょ?だって私がワイバーンを2頭や雑魚3匹を仕留めたんですから当たり前じゃない」

顔を近づけてどや顔を決めてくるコイツを殴りたい、だが事実だからグーの値もでない。

「だがお前俺の作った武器で倒したんだから半分は俺のだろ?」

「じゃぁ5分の2にしてあげるわ」

コイツ...。



「それではサイトウ様、フィーレ様、またのご利用お待ちしております」

そういうと金髪のギルド職員は深く一礼をすると俺たちを出入り口まで見送った。

フィーレ、もしかしなくてもユウのことを言ってるのか?

俺はそれが頭から離れずにいたために本人に聞こうとした。

「なぁ、ユウ、お前」

「これで高級酒飲み放題じゃない!!ん?何冴えない顔してるのよ。早く銀行に行って現金に換えて貰って酒屋に行くわよ!!」

そう言うとユウは走って行ってしまった。

まぁ、また別の機会があったら聞けばいいか。

 閲覧ありがとう御座います。

最近キャラが増えすぎて収集がつかなくなりそうになるもなんとかまとめ上げようとしています紅魔マヤです。

遅れた理由は登場キャラの構想だったりとか立ち絵だったりとかデザイン決めてたりとか次の話のプロット組んでたりとか外伝シナリオ作ってたら遅くなりました。

今回も閲覧してくださった皆様に感謝いたします。

次回投稿は恐らくまた同じぐらい帰還が空いてしまうと思われますので気長にお待ちしていただけるとありがたいです。

それでは次回もよろしくお願いします。

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