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異世界でもクリエイター志望  作者: 紅魔マヤ
3/7

New Start

閲覧ありがとう御座います。

 俺は今ギルドと思わしき教会のようなレトロな雰囲気を醸し出す建物をしばらく夕焼けで輝いている教会をマジマジと眺めていた。

「おぉ、でかいな」

「ぜぇ...ぜぇ...早く登録済ませましょうよ...はぁ」

息を荒げて急かしてくる彼女はここまで俺の背中を押してギルドの前まで来ていた。息を整えながら彼女は、これまた立派な木製の扉を押して開いた。

彼女と俺の背丈よりも遥かに高く広い扉を開けた先に、正に異世界ファンタジーの醍醐味である集会場や酒場と言った現代でお目にかかることが出来ない様な世界がが広がっていた。

「おぉ!?」

「一々反応してないでさっさと登録済ませましょうよ」

俺はギルド内を子供の様にあちらこちらを見回しながら彼女の後ろを歩いていた。

すると酒場の席にいた一人の大男が声をかけながら近寄ってきた。

「よぉコバヤシ!なんだ男なんか連れてよ?しかも見たことない恰好してるじゃないか」

馴れ馴れしそうに彼女の肩に触れてきた男はどうやらユウの知り合いらしいと予想した。

「あぁ、もう、めんどくさ...」

小声で口に出していた明らかに嫌悪を抱いている顔をしながら大男を見ているにも関わらず大男は上機嫌にユウの肩をバシバシと叩き笑い出した。

「いやぁまさかお前に男がいるとは驚きだぜ!!なんて言ったってこの街じゃお前を欲しがる男なんか1人もいないって言われるぐらいに酒癖が悪くて暴力的で毎朝爆発魔法を鳴らして皆からはパナールの爆発女とか朝を告げる者とか男嫌いの魔女なんて言われてるお前が男を連れて来るとは思いもしなかったぜ、おおっと!?」

彼女の肩を叩きながら男はこの街でのユウの評判をチュートイリアルの様に告げた直後に彼女はその男の腕を掴みいとも容易く床にねじ伏せたのだ。

「その減らず口をまだ続けるつもりですか」

ゴミを見るような眼でねじ伏せた大男を睨む彼女の表情はさっきまでとは打って変わって別人の様な振る舞いをしていた。

「あいててて!わりぃって!」

しばらくはユウへの口の利き方に気を付けよう。

「あのさ、そろそろ登録したいんだが」

「そうでしたね。こっちです」

大男はしばらく床に付したままなぜかピクピクと痙攣をおこしながらも立ち上がろうとしなかった。

一時的にとは言え騒動を起こしたのにも拘らず酒場は賑やかのままで周りの冒険者らしき人たちは酒を飲み楽しそうに会話をしていた。俺はと言うとさっきの男と会ってからピリピリと電気が放電しているように見える彼女の後姿に付いて行た。するとギルドの酒場の奥に見える受付けカウンターの様な場所の前に来た。

「いらっしゃいませ!本日はどのようなご用件でしょうか?」

ニコニコと営業スマイルしてくる青髪ロングの女性が話しかけてきた。

「え~と、ギルドへの登録がしたいのですが」

「はい!ギルドへの新規加入でございますね」

彼女はカウンターの下から一枚のA4サイズほどの紙を出して説明し始めた。

「では始めにこちらのギルド加入時における注意事項及び規約内容をご確認の上必要事項のご記入をお願いします」



 ―本ギルドへの加入時には以下の項目を承認の上でご記入をお願いします―


1,本ギルドへ加入なされた場合掲示板でのクエスト受注が許可されます。


2,クエストを受けた際にギルドからの支援物資を受け取ることができます。尚支援物資は使用した分だけクエスト報酬から支払ってもらいます。


3,クエスト内でのモンスター討伐数はギルドカードでご確認ができます。


4,特定の指定モンスターを討伐、捕獲をした際は臨時報酬が課せられます。


5,クエスト内での如何なる死因であっても当ギルドは保証金を出しません。



承認・否決   住所 年齢 性別 お名前

以上の上記を承諾しました □



必要項目を書き終えた俺は受付けの女性に紙を渡し、受け取った用紙のチェックを終えたるとこちらに顔を向けて次の説明を始めた。

「はい、ではこちらのギルドカードを手にあちら側にあります機械で職業及びスキル選択をして終了となります」

ユウの言ってた通り券売機みたいなのがあった。

カウンターの隣にある機械へと移り、先ほど貰ったばかりのパスポートの様な手帳を機械の青い画面に表示されている指示に従いギルドカードを一ページ開き入れた。

〈確認中・・・〉

〈サイトウ ケイスケ様で間違いございませんか?間違いがございませんでしたら下記の項目を押してください〉

「あれ?名前漢字で書いたのになんでカタカナなんだ?」

頭の上にハテナマークを出しながらも『はい・いいえ』のはいを押した。

〈では、職業を決めてください〉

画面に表示された数多の職が並んでいた。俺は昔のブラウン管タイプのテレビ見たく緩いカーブを付けた画面に表示されている職業の名前が白と灰色で表示されていることに気づいた。

てかブラウン管タイプみたいに出っ張ってる画面がタッチ式っていうのはどうなんだ?

(これは白いのが成れるやつっていう感じかな?にしてもブルースクリーンとか久々に見たな)

前衛職・後衛職・その他のグループに分かれている下の職業名のほとんどが灰色に表示されていた。

(あれ、俺の成れる職めっちゃ少ないんだけど)

「ねぇケイはどの職にするの?」

ユウが俺の後ろから再度顔を覗かせて画面の中を見ようとしてきた。てか俺を名前で呼ぶとか久しぶりすぎてちょっとびびったわ。

「いや、成れる職が全然無くてさ」

「ぷっ!ほんとすっくないわね」

画面を見た直後に突然笑いながら俺の背中をバシバシと力を込めて叩いてきた。痛い。

コイツの顔を引っ叩きたい気持ちを堪えて俺は再度画面へと顔を向ける。

画面に表示された前衛職は全部が灰色、後衛職は射手ガンナー狩人ハンター密偵スカウト盗賊シーフ

その他は、商人マーチャント鍛冶屋ブラックスミス農夫ファーマー

7個の項目だけが白く表示されている。

「なぁ、お前の時はどれぐらい白く表示されていたんだ?」

「え?ほぼ全部よ?」

俺は顎を下げて思い知った。これが才能の差って奴を。思えばコイツは高校でのテスト結果は常にトップな上に漫研意外の部活に引っ張りだこだったっけ...これだから天才は。

「はぁ、まぁシューティングゲームばっかりやってる俺にはガンナーとスカウトとかでいいかな」

顔を上げ直して画面を見た俺は日本語表記で映っている画面の射手ガンナーを押した。すると残り6個のうち4個が灰色になった。

「おい、なんで数がより限定的になるんだよ」

俺は少し涙ぐんだ顔で画面に残っている職業を2回押すこととなった。

「すごいじゃん!職業3つも持てるなんてそうそういないわよ?」

茶化してるのかフォローしてるのかよくわからない突っ込みをしてくるユウを放置しながら次の項目が画面に表示されるのを確認するとそこには『スキル選択』が表示された。

「スキル・・・スキル・・・選択可能数3ってこれまたひどくね?」

画面右下に選択可能数が表示されているのが目に入った。

「私の場合は20だったわよ?」

「そうか。そんなことより金貸してくれ」

俺はすでに画面にあったスキル項目の一つ『スマートショット』を選択していたのだが、直後に右上に赤い表示が点滅を繰り返していた。

「あぁそういえばスキルは現金取得だったわね」

その場で彼女の顔を見ようともせずに金銭を要求した俺は、後ろからガサゴソとポケットの中を探す音を鳴らした直後に彼女は俺の肩を叩き金を渡して来た。

「一つのスキルが2000マリアか...」

硬貨を画面右上にある駅の券売機と同じ縦穴に入れた。

「使った分のお金は返してよね?」

「分かってるって。何でもはしないけど返すよ」

硬貨を入れて選択したスキルを3つ購入した直後『完了』の表記を出すとカードを入れた所からホカホカと温かくなっているギルドカードを手にし中身を開けると追加されていた文章項目を確認し終えるとその場を後にした。



「なんでその3つにしたの?」

俺とユウはギルドを出てユウの家に向かっていたのだがギルドを出た後に彼女が『今日の晩御飯は私が作ってあげる』となぜか意気揚々と俺に言ってきたので商店街の様な場所で買い物をしながら話していた。時刻は夕日が沈み終わり辺りはヨーロッパに今でもあるガス灯に似た灯が光を付け始めていた。

ギルドで購入したスキルについてユウが首を傾げながら訊いてきた。

「スマートショット、トレード、ハンディのことか?スマートショットは射撃、投擲系の物全般に少しだけ誘導機能が追加するスキルだから石ころ投げまくってれば弱いモンスター相手なら行けると思ったからさ。でトレードとハンディは資金稼ぎ用として買った。

 トレードで取引をすると経験値が入る上に大阪のおばちゃんみたいに値切り交渉がうまくいくっぽいからさ。

ハンディは手先が器用になって工作が得意になるからな。

初期の段階でこれだけスキルが使えるゲームとかそうそうないだろうにいいのかね...」

「大丈夫よ。私プリーストとウィザードのスキル全部取ってあるから」

どうやらコイツはもう廃人レベルなに成っていた様だ。てかどこからそんな大金持ってたんだよ。

久々に長く話をする相手が出来たとい所為も合って買い物を終えてある程度話を終える頃には、彼女の家に着いていた。

ユウは俺に空いている部屋と作業部屋の二部屋を提供してくれた。

二部屋とも6畳半ぐらいの広さな上に埃が全然舞っていないことに感動を覚えた。前に住んでいた家はアパートで今いるここよりも狭くて住み辛かった記憶が今でも思い出せた。

「ありがとよ。それなりに広くて驚いたけどこれ外観と中身絶対合ってないよな」

「まぁ、その、魔法でちょちょいと改造しちゃってるから」

魔法ってなんて素晴らしいのでしょう。

俺が使うことになる部屋へと案内してくれた彼女はリビングに在ったL字に曲がった階段へと足を置いた。

「私の部屋は2階だから...襲ってきてもいいのよ?」

「遠慮しとく」

まぁ、一応男と女が同じ屋根の下で暮らすのだから、そういう事態が起こらないとも限らないわけであって...。

その後は自分の部屋でずっと来ていたスーツを脱ぎラフな格好で有意義に過ごしていた。

トントンとキッチンの方から環境音が聴こえてきたことに気づいた俺は多少なりと手伝うべきか悩んだ時、先ほど買い物をしていた時の彼女の楽しそうな表情が頭の中で浮かび上がった。

まぁ、大丈夫だろう...。

そう思った矢先に彼女の泣き声を耳にしたために慌ててキッチンに向かい調理された?物を二人で始末をつけた。



俺は部屋の窓から見える夜景を眺めながら先ほど食べた料理と言えるべきかわからない料理を詰めた腹を撫でながら考えていた。街から離れているこの家は不便だなッとか思っていたが案外こう云った場所の方がプラスポイントが多いのかもしれないな。

それに今いるここって地球と変わらないのだろうか。死んでからそんなに経ってないはずなのになんだか生きていた時の”あの世界”が夢だった様にも思えた。

俺は夜景を見て考えた後に部屋に敷いた布団の上に仰向けになった。

「寝るか...」

改めまして閲覧ありがとう御座います。

どうも紅魔マヤです。

今回の話はファンタジー世界の一般的な面を書いてみました。

次回からはタイトルと主人公の職業であるクリエイターとしての見せ場を書こうと思います。

次回もよろしくお願いします。

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