第7話 プレ先生の英才教育!
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「母さん、遊びに行ってきます!」
この言葉を言うのは何回目だろう?
俺も地球にいた頃はこうやってよく出かけていたなあ。
さて、今日向かうのもいつもの空き地である。
外に出ると清々しいほどの青空である。
昼ごはんを食べて1時頃に集合が決まりつつある。
今日はマルロが醤油をふんだんに使った昼飯を作り堪能していたので遅くなった。
(まったく、昼から重たいものばかりだしやがって……)
醤油作りの方は順調であり、このまま売りに出そうかという話も出ている。
そうなればアイデア料として俺のところにお金がはいってくるらしい。
成人しても特にする仕事も考えてない俺にとっては幸運であろう。
将来についても考えつつ遅くなった分、早歩きにで空き地へと向かう。
「プレ!遅いじゃない!!」
これもいつもの決まり文句になりつつある。
「いや、お前たちが早過ぎるんだろう」
そう言って空き地を見るとすでにサリ、ハル、フユがそろっていた。
「こんにちは〜」
ハルが挨拶してくる。いい子である。
「今日はいい天気ですね〜」
フユもどこかお婆さんじみた挨拶をする。
「今日は魔法の練習をするわよ!」
(え、今なんて言った?)
「魔法の練習をするって言ったのよ!」
(いや、俺なにも喋ってないんですけど)
「あんたの顔みれば何いいたいかお見通しなのよ」
そんなに顔に出やすいのかな俺?と思いつつハルとフユを見ると元気よく頷いている。
どうやら言葉が顔に出やすいらしい。
「ところでプレ、あんた魔法使えるよね?」
(え、なんでバレてるの!?)
「そんな顔するから分かりやすいんじゃない。この前森で猪が倒れたでしょ?あの時あんた魔法使ったでしょ。冒険者の中には剣を使う勇者もいるけど何も使ってなかったじゃない」
「よく見ていることで。別に秘密にしようとしたわけじゃないんだが確かに魔法は使える。
けどそんな大規模魔法とか使えるほどじゃない。攻撃するような魔法だと日に2,3回が限界だ」
「ふーん、まあプレが魔法使えるのに変わりはないのよね?だったらあたしたちに教えなさい!」
(教えてくださいじゃなくて命令形なのか……実際は俺のほうが年上のはずなのに……)
「悪用しないっていうなら教えてもいいよ」
「絶対しない!」
「ハルも〜」 「フユも〜」
「というか何でいきなり魔法なんか覚えたくなったんだ?そもそも魔法を使うのには才能がいるぞ」
「この前、強くなるって言ったじゃない?やっぱり強くなるといったら魔法しかないと思って」
(なるほど、確かにスジは通ってる。それに俺も実験ではないが小さいころの訓練により魔力量を増やすことができるということを試してみたかったしな。ここはいい機会なのかもしれない)
「じゃあまずは、お勉強からだな」
「えー、そんなの嫌よ! もっとパパッとできる魔法ないの!?」
「「おべんきょういや〜〜」」
各地から非難がとんでくる。しかし魔法の実践にはイメージが大事なのだ。
そのイメージは俺は小、中、高の勉強で得たものであり地球の知識の影響が大きい。
火はなぜ燃えるのか?と聞かれたら酸素との化合の一種と答えることができるだろう。
しかしこの世界の住民は答えられない。
その知識の差によって実現できる魔法が限られてくるのだ。
ここは俺が鬼になって勉強させるしかないな。
「じゃあ、サリ。火はなぜ燃えるのか知ってる?」
「知らないわ、燃えるから燃えるのよ」
(まぁこんな答えが帰ってくるとは思っていたよ)
「それが分からないと火の魔法は使うことはできない。たとえ使うことができてもそれは小さい火にしかならない。なぜなら火のイメージが小さいからだ。イメージができればできるほど大きな魔法を使うことができる」
「「「…………」」」
三人は無言で聞いている。というか話を理解できているのであろうか?
体育会系精神のサリには特に理解できていないような気がする。
まぁ話を続ける。
「なぜ火が燃えるのかと言うと、それは空気の中にある酸素というものとひっつくからだ」
「その酸素っていうものは空気の中にあるの?空気は空気じゃない?」
「そもそも空気というのは窒素、酸素、水素、二酸化炭素などが混ざったものを空気と言うんだ。
まぁ空気はいろいろな物が混ざっていると考えたらいい。分かりやすく実験しよう」
そう言って俺は指先に魔力を込めてろうそくの火をイメージし火をつける。
「うわぁ〜本当に魔法だ〜プレ君すごい〜」
フユが賞賛の言葉を送ってくれる。褒められるというのも悪く無い。
「この火を消すのにはどうしたらいいと思う?」
「水をぶっかければいいのよ! それぐらい分かるわ!」
サリが元気よく答える。
「間違ってはないな。ただそれは方法の一つだ」
そう言って俺は近くに転がっていた鉄で出来た丸い円柱の物を拾い上げる。
水筒のような形をしているので元は水かなにか入っていたのだろう。
「指先の火の上にこの物体をかぶせたらどうなると思う?」
「もえつづけると思う〜」
今度はハルが答える。
「じゃあ、やってみようか。実際にかぶせてみると……」
そう言って俺は水筒のような形をした物を反対にして指先の火の上にかぶせる。
しばらくたってのけてみると
「ほら、火が消えているだろう。これは俺がわざと消したんじゃなくて火が燃えるために必要な酸素というものを使いきってしまったためなんだ」
「うーん、何が言いたいのかちょっと分かりにくいけど火が燃えるためには酸素っていうものがいるってことね!まるで人間が生きるのに水がいるみたいだわ」
「その例えは間違いではないな。水が無くなれば人間は死ぬ。酸素が無くなれば火が死ぬって考えてもいい」
3人とも何かを理解したような顔だった。
身近な例え話をすると理解も深まるのだろう。
「じゃあ実験してみよう。まずは体内に魔力を巡らせるイメージをするんだ。これは心臓から出ている血が全身に行き渡るイメージをするといい」
そう言うと3人は難しそうな顔をしながら実践しはじめた。
意外にも一番はやくできたのはフユだった。
「わ〜〜体があつくなっていく〜〜」
「そう、それが体内に魔力が巡っているという状況だ。他の二人もこんなふうになれるまで頑張って!フユは他の二人ができるまで休憩してていいよ」
次に出来たのがハルだった。
双子は才能も同じくらいなのだろうか?
サリはなかなかイメージできずに苦戦しているようだった。
しかし魔法は自力で覚えるしか無いので助言しかできない。
「体の中心から魔力が全身に行き渡るイメージさ。指先、足先ひとつひとつまで意識してごらん」
「わ! なにこれ! 体がものすごく熱いわ!!」
サリの方を見ると顔まで真っ赤になっている。
もともと備わっている体内魔力量がおおいのだろう。
「これで全員できたね?じゃあ次は魔力を魔法へと変えていくよ。ハルとフユはもう一度体に魔力を巡らせて」
「さっきの火が燃えるためには酸素が必要って思いながらロウソクの火をイメージするんだ。
そしてどっちの手でもいいから人差し指あたりに体中の魔力を集めるんだ。」
そう説明して俺が右手の人差指に火をつけて実践してみると
「「「ボッ!!」」」
「わ、できたわ!みてみて! すごい!!」
「「わ〜すごい〜〜」」
3人共無事に火をつける魔法ができたようだ。
特にサリの喜びようは凄い。
指に火をつけたまま面白がってぶんぶん腕を振り回している。
「こら、サリ危ないぞ。その火が他の誰かにあたったらやけどするぞ」
「はーい」
素直に聞き分けてくれたらしい。
「魔力を使うととても体力を消耗する。だから今日はここまでにしておこう」
「え〜なんでよ!もっとやろうよ!」
サリは元気よく答えるがハルとフユはどうも疲れてしまったらしい。
声には出さないが顔には少し疲労の色が見える。
「あんまりやり過ぎると気を失ってしまうんだ。だからと言ってやらなければ成長しない。今日から次会う日まで1日に3回ほど火をつける練習をしてきておいで。」
学校の先生にでもなった気分である。
天気は快晴、気温も程よい。
まさにこれが青空教室っていうやつだな。




