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異世界転生でチート男になってしまいました!  作者: てておん
児童期(低学年)
15/15

第15話 魔王!

朝、ご飯を食べ終えて家を出るときにアリスから現在の商売の状況を聞いた。

主に食品関連を扱っているため小麦の不作などが起こると大きく影響してくるらしい。


(食品関連だけではやはり不安要素が大きいな。魔道具があるとはいえ人々の生活は地球に比べれば不便だ。冷蔵庫、冷凍庫とか作れないかな)


「おい、プレリュード! なにをボーっとしているんだ。お前この問題といてみろ」


マイケル先生が俺を指差し怒鳴ってくる。

今は算数の授業中だ。本日最後の授業のため本当に眠たい。


示された問題は簡単な足し算だった。


「7+8は15です」


「っち、座っていいぞ」


(絶対舌打ちしたよな。足し算や引き算の勉強などする意味ないんだよな)


(痛っ!!)


机の横の床を見るとどうやら俺にぶつかって墜落したらしい紙飛行機が落ちている。

大体こういうのはサリから飛んでくる。

サリのほうを見てみると、案の定はやくあけなさいオーラが漂っている。

紙飛行機を取り中身を見てみると



 今度、算数のテストがあるから私に教えなさい!!



(わざわざこんなもの紙飛行機で飛ばしてくる内容じゃないだろ。授業後でいいだろ)


とは思ったもののぶつけられた仕返しを込めてこちらも同じ紙飛行機に



 分かった。ハルやフユと一緒に勉強会しよう。



と書いて投げ返す。

普通に投げれば狙ったとこにいくのはなかなか難しいので風魔法を使って紙飛行機周りの空気の流れを調節してやる。

紙飛行機は綺麗な山の形をつくりサリのほうへ向かう。

サリは飛行機をキャッチしようとするが、ここで空気の流れを変え少しだけ上にいくようにする。


すると急に軌道が変わり反射的に手を上に伸ばそうとして


ガッシャーン!!


盛大にイスから転げ落ちた。


「サリ、授業中になんだ! そんなに先生の授業が退屈か?」


「…… すいません」


そういって椅子に戻る。

(これは授業終わったら間違いなく俺のところに怒鳴りにくるな。その前に生徒会室に逃げ込もう)


生徒会室は例外なく生徒会しか入れなくなっているのでサリが入ってくることはない。

最近は休み場になっている。


授業が終わり、あらかじめしておいた帰りの支度を手に持ち生徒会室へと向かう。

後ろからサリが追ってくるがなんとかふりきった。


生徒会室に入るといつも通り会長が椅子に座ってコーヒーを飲んでいた。

他に誰もいないようだ。


「会長は本当に授業に出てるんですか?」


「わたしは出てないわ。必要な単位は全て4年生までにとったもの」


この学校はテストを受けて点数がよければ単位がもらえる。

しかしテストは学年関係なく受けれるため、1年生が6年生のテストを受けることも可能なのだ。


「先輩は賢かったんですね」


「あなたに言われると嫌味にしか聞こえないわ」


先日言われた会長室の掃除も何とか終わり今日はのんびり過ごす。


「会長は将来はやはり冒険者となるのですか?」


「2年間くらいはそのつもりよ。今は冒険者系の授業しかでてないから他の時間は自分で練習しているの」


思っていたより真面目な人らしい。しかし2年間くらいってどういう意味か気になる。


「プレ君も将来は冒険者かしら?」


「俺は友達に強引に入学させられた感じですからね……でも冒険者になると思いますよ」





その瞬間――



けたたましいサイレンが街中に鳴り響いた。



「一体何の音ですか?火災か何かですか?」


会長は青い顔をしている。


「このサイレンの音は魔王が復活したっていう合図なのよ……」



サイレンの音はまだ鳴り止まない。

会長との会話も大声を出してなければ聞こえない。


「魔王がですか?復活は少なくとも200年後じゃありませんでしたっけ?」


「そのはずよ。なんでこんなに早く復活したか謎よ。このままじゃ大変な被害が出るわ」


魔王が復活するのは約1000年間隔と言われている。

そのため、各国は復活の50年ほど前から魔王対策に全力を注ぎ、復活した魔王を2年くらいかけて仕留める。

魔王がいる間は世界条約により全ての国が魔王討伐の為に参加しなければならない。

しかし今は何の魔王対策もしていない。

魔王が復活すれば各地の魔物が活性化し、場合によっては大群で町まで攻めてくることも少なくない。


「一度だけ文献で見たことあるわ。魔王の復活が早まって世界の大半が魔王の手中に落ちたことがあるそうよ」


魔王がいなくとも魔物は出るため軍などは日々訓練している。

しかしそれは魔王対策では無いのだ。


今は放課後で学校に残っている生徒はほとんどいない。

「わたしも直ぐに家に帰るわ。復活したからといってすぐに攻めてくるわけじゃないしね。後1年くらいは魔王も軍を整備するはずよ」


「俺も物騒そうなので家に帰ります。明日からの学校はどうなるんでしょうね?」


「明日にでも全校集会が開かれるんじゃないかしらね」


学校を出て家へと向かう。

帰り道、街中が騒がしかった。

みんな不安なのだろう。


家に帰ると普段は静かな家も騒がしかった。

どうやら久しぶりに父が帰ってくるらしい。


日が暮れ始めたその時、父が帰ってきた。

「お父さん、久しぶりです」


「プレリュードか、すっかり大きくなったものだ。勉学はがんばっておるか?」


「はい、第3冒険者学校に入って日々鍛錬しています」


「それは良いことだ」


父が食卓につき、レイや重要な使用人を集めてご飯を食べる。

ご飯中は終始無言だった父がご飯を終えて口を開く。


「周知の事実ではあるが魔王が復活した。王の耳に入ったのは3日前で今日全国に告知した。正直言って状況はかなり厳しい。なんせ後200年はあると思ってまだ軍事費も縮小したままだ。そこで我が領地からも緊急の軍拡を行う。私が帰ってきたのはそのためだ」


父は声は小さかったが力強く言った。


「軍拡ってなにをやるのかしら?」

母さんが父さんに尋ねる。


「具体的には軍で臨時的に人を雇い訓練したり兵器を扱える人間を増やしたりだ」


「学生動員はあるの?」


「学生動員はおそらく無いと思う。しかし戦況次第によってどうなるかは私にも分からん」

母さんが複雑そうな顔をする。

俺が戦地へと送られるのが嫌なんだろう。


「心配するな。プレリュードが戦わないで済むように私もがんばるさ」



そんなやり取りが行われた翌日、普段どおりに学校へと登校する。

学校へ登校するとサリ、ハル・フユがすでに俺の席に集まっていた。


「おはよう」


「「プレ君おはよ~」」

ハルとフユが挨拶を返してくる。


何やらサリは珍しく難しい顔をしている。


「ん?サリどうかしたのか?」


「昨日、お父さんたちの話を聞いたわ。状況が厳しいんだって。備えがないから。もしかしたら何個か国が滅びるかもしれないって……」


確かにこんな話を聞いたら深刻な顔をするのも無理はない。

まさに人類の危機っていうやつだ。


「当分は大丈夫だろう。魔王のいるのはここよりずっと北だ。その間に何カ国も挟んでいるからこの国が滅びる可能性は少ないだろう」


「でも人が死んじゃうんでしょ?そんなの嫌じゃない……」


確かにそうだ。しかし俺たちにできることは限られている。


「私たちで何とか倒せないかしら?」


「「プレ君がいるなら~」


「できるわけ無いだろ。大人が全世界の軍を集めて2年かかるんだぞ」


言い合っているうちに先生が入ってきて全員が着席する。


「お前らも知っていると思うが魔王が現れた。1時間目は緊急の全校集会だ、体育館に集まれ」


2列に並び体育館へと向かう。


「みなも知っておると思うが魔王が現れた。しかし君らはまだ学生だ。いくら魔法を使えるといっても実践で使うにはまだまだ早すぎる。そこで急な変更となるがカリキュラムを算数などより魔法などに重点を置くことにした」


普段なら嫌な勉強時間が少なくなって喜ぶであろうが、危機が迫っているということが実感できて誰一人喜ぶものはいない。


「新しい時間割は各担任から配られる。しばらく慣れないと思うががんばってくれたまえ」


そういうと校長は壇上を降りて司会が解散の命令をする。


新しく配られた時間割には1日6時間中4時間が魔法練習であった。

(日本だと4時間も体育ができる! みたいな感じで喜べるんだけどあまり喜べないなあ)


この日から新時間割らしく早速魔法練習が始まる。

今日の1年生の練習は火魔法の応用だ。

ただし火が酸素が必要などの理論的なことでなく非常に抽象的な内容で教えられる。


「いいか、お前らSクラスなら火ぐらいはつけれると思うがこっからは応用だ。火を丸くして前に飛ばすんだ。」


生徒たちは先生のを見て自分でイメージして魔法の練習をする。


ドンッ!!


今度はハルがやらかしたらしい。

いわゆるファイヤーボールを打つのだが手加減を間違えて先生の見本の3倍ほど大きい玉が発射された。


「先生ごめんなさい~」

ハルは頭を下げて謝る。的を粉々にしてしまったからだ。


「……次からは気をつけなさい」

先生もどうしたらよいのか分からず狼狽している。


50分練習した後10分休憩しまた魔法の練習だ。

次は水魔法らしい。

人によって得意不得意はあるものの基本全ての属性の魔法は使える。


(しかし、退屈だな。このレベルの授業だといつまでたってもきりが無い)

サリやハル、フユの方を見るとこちらも退屈そうな顔をしていた。

そろそろ我慢の限界だろう。


サリが爆発する前に手を打っておく。

「先生、この学校はテストの点さえ良ければ単位もらえるんですよね?」


「ああ、だがそう簡単ではないぞ。普段から授業をしっかり聞いて……」


「じゃあ僕たち少し抜けて自主勉強してきます。サリ、ハル、フユ行こう」


先生も俺たちの異常なレベルに気づいているのだろう。特に何もいってこなかった。

授業を抜けて学校をでる。


「授業しているのに学校にいないって新鮮ね!」

サリはイライラが溜まっていたのか生き生きしている。


「これからどうするの~」

ハルがたずねてくる。


「特に考えていない。ただあまりにも退屈だったもんでな」


「ほんとにね! あんな授業で魔王に勝てるのかしら?」


「とっくの昔にやったのに~」


「ならいつもの海に行こうか。しばらく学校で行ってなかっただろ」


「「「賛成!!」」」


そして人目につかないところで瞬間移動で魔法の練習場へ移動する。

念のため人がいないか探索魔法をかけると




――1km先に300体ほどの魔物の群れがいた。



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