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第11話 秘密!

更新遅くなりました。


よければ評価・ブックマークお願いします。

「火よ!!」

サリが叫ぶと、巨大な火柱が上がる。


ここ3週間、サリは練習をさぼらず毎日魔力を使い切っていたようだ。


「おー、サリもなかなか上達したじゃないか」

俺が素直に賞賛の言葉を送る。


次はハルの番だ。


「ろうそく!!」


サリほどではないが、人の高さと同じくらいの大きさの火柱が立つ。

たった3週間でここまでできれば合格点だろう。

詠唱のワードは自分がイメージしやすいものであれば何でもいい。

ハルはろうそくを思い浮かべるのが一番よかったらしい。


フユもハルにつづき、同じ詠唱を唱える。

二人も毎日家で練習をしていたらしい。



今、メビウスターは公爵地の南にあるとある海岸へときている。

ここは全くといっていいほど人がいなく、動物ですらほとんど見かけない。

急激に力をつけた3人の魔法練習を行うには、いつもの空き地では狭すぎるのだ。

子供4人が空き地で魔法を使うのも非常識にもほどがある。


(ここなら人もこないし大きな魔法を使っても被害は無いな……)


魔法練習の日、というかメビウスター活動日=魔法練習であるのだが

最近は空き地は集合地なだけでありそこから俺の瞬間移動で

無人の海岸へと移動する。


俺が瞬間移動できるのを知ったサリは「それなら家まで毎日迎えに来なさいよ」、という

訳のわからないことを言ったが、ここは俺ががんばって如何に瞬間移動を知られるのが

まずいかということを説明した。

しぶしぶ納得してくれ、ホッとしたが「わたしにも教えなさい!」など言うのでこれも黙らせた。



「そろそろ次の魔法も練習してみようか。火の魔法ばっかりだと森の中で迂闊に使ってしまうと危ないだろ」


「「は~い!」」

ハルとフユは元気に返事する。


サリは当然よ!とでも言っているように腕を組み背中をピンと張って立っている。


「次の魔法は、水の魔法だ。まずは見てくれ」

そういって俺は空中に野球ボールほどの水で出来た玉を浮かべる。


「水を作るところからはじめてみよう。水さえできれば後はこいつを高速で打ち出すことによって立派な魔法攻撃となる」


「みずってどうやってつくるの~?」

フユが無垢な笑顔でたずねてくる。


「水って言うのは空気の中から生成することができるんだ。酸素とは違うけど、空気を搾り出して水を生成するイメージかな?布から水を絞りだすといったほうがわかりやすいかもしれないな」


「空気をしぼって水を出すのをイメージすればいいんでしょ?やってみるわ!」

サリは元気よく宣言して体内に魔力をめぐらせる。

そして空気中に魔力を発射し、雨粒ほどではあるが1滴の水が生成された。


「流石サリだな。一発で出来るとは思わなかったぞ」


(しかしサリは本当に飲み込みがはやいな。俺は別として本物の天才なのかもしれないな。)


「当たり前よ! 私にとってこんなの朝飯前だわ!」


なら朝飯前にやってみろと冗談の一つでも飛ばしてやりたいが

何か面倒な言い合いにでもなりそうな予感しかしないので腹の中に収めておく。


ハルとフユも一発とまではいかなかったがすぐに水は生成することができた。

魔力の使い方もだいぶ上達しているようだ。


「わわ、水ができた~。服が濡れる~」


ハルが生成した水の制御を失い、空中から1粒の水が落下した。


「常に意識しておかないと水はすぐに制御できなくなるからな。逆に制御がうまくなると大きい水球も生み出すことができる」


俺がハルに向かって喋っている後ろではサリがバスケットボール並みの水球を発生させていた。


「慣れれば簡単ね!あとはこれを動かしたりして動物とかにぶつければいいんでしょ?」


「まぁそうだな。ただし水球を大きくしすぎるとスピードが遅くなるからそのへんは加減が必要だな。今日のうちは水球を生成し自由自在に動かせるようにするのが目標だな。」


「プレ君のみずの魔法が見たい~」

フユが俺に向かって言う。


「私も見てみたいわね!」「ハルも~」

3人がこちらをキラキラ目を光らせて見つめてくる。

ほんとに目から星から出そうな勢いだ。


「1回きりだぞ?それにこの魔法が使えるようになるのは相当訓練が必要だぞ?」


そう言い、俺は雨水サイズほどの水球を目の前に生成する。

以前テレビで見たウォータカッターという水圧で物をカットする機械をイメージする。

原理としては水を連続で生成し、それを超高速で目標に向かって飛ばすというもの。

連続で生成し目標まで水の線ができるようにならなければ水圧は得られない。

ハイスピードで連続生成するというのは結構苦労したものだ。


3人が俺の目の前に生成された水を注目しているのを横目に見ながら

目標物となる岩を見据える。


そして


ッッシュ!!


きめ細かい音と一緒に発射される。

そして大きな音を立てることもなく水は岩を貫通した。


「「すごい、すごーい!」」

ハルとフユは素直に喜んでくれた。


「すごいわね!あんたいったいどれくらい練習したの?」

サリも喜んでくれた。

練習期間を答えてもいいのだが俺はもともとイメージを持っていたので参考にはならないだろう。


「まぁ2ヶ月ほどだな。岩を貫通させるぐらいまで威力をあげるのに結構苦労したんだ。」


「なるほどね。じゃあわたしはさっきの魔法を1ヶ月で習得して見せるわ!」


どうも変な対抗意識をもたれたらしい。とはいっても無理とは思うが。


「そうか、がんばってくれ。だがくれぐれも家の中でやるんじゃないぞ?」


何をしでかすのか分からないので先に釘を打っておく。


「そんな馬鹿なことをしないわよ。あんたが瞬間移動で毎日ここに連れて行ってくれれば済む話でしょ?」


どうも俺はサリの奴隷か便利なやつとしか思われてないのだろうかと思えてくる。


「いや、俺にも家の用事とかあるからさ」


「そういえばプレ君の家ってどこにあるの~?いっつも一人で帰っているみたいだけど~」


フユが不思議そうな顔でたずねてくる。

(不味ったな。家の話題はなるべく避けているつもりだったんだが迂闊だった。)


「プレの家って街で一番大きい領主家でしょ?」


「え、なんで知ってるんだ!?」


「一回、気になって帰り道ついていったことあるもん。そしたら予想以上に遠くにいっちゃってさ。しかも領主家だからちょっと驚いたわ」


(なんでばれてるんだよ!しかも今まで何の反応もなしかよ!今まで黙っていたのがあほらしいじゃん!)


「え~、そうなんだ~。すごいね~!」

フユがいつもの調子で答える。


(こっちはこっちでそれだけしか驚かないのかよ!自分が偉いみたいな言い方になるから嫌だけど普通は領主、しかもこの国の公爵家っていうのに特に変わりないのかよ!サリにいたっては敬語とか言う概念もないのかよ!)


「なんか俺があほだった……」


「ん?プレ何か言った?」


「いいや、何にも言ってない。俺が領主の子供って知っても特に変わらないんだなって思ってさ」


「別にそんなの関係ないわよ。プレはプレだもん」


よく分からない理論を出されたがいつもどおりにされててホッとする。

友達がいなくなるのが怖かったのだ。

身分とか関係なしに気兼ねない友達というのはいいものだ。

上辺だけの取り繕った関係、利用し利用される関係というのはいつか破綻する。

最後まで残る関係というのは本当の友達というのを、ストレス社会で生きていた俺はよく知っている。

だからこそ、この世界では本当の友達を作りたかった。


(サリのこういうところは本当にいいやつだよな)


別に前世で友達関係に恵まれなかったわけでもない。

しかし本当に信頼しあえる友達がいたかどうかと聞かれると首を縦にふることはできない。


サリやハル、フユと出会ってまだ短い。

しかしこいつらは本当にいいやつだ。

前世の友達よりも信頼しあっているといっても過言ではない。

もしかしたらその信頼も一方的ではないか?という恐怖もあった。

そんなの関係ないといってくれたのが嬉しかった。

だからホッとする。


しばらく黙って思考にふけていると、

感慨深くなってきて目に涙が溜まる。


「ちょっと、プレ?急にどうしたのよ?」


「なんでもない。これからも友達でいてくれよ」


「当たり前じゃない!プレ、それにハルもフユも一生友達よ!」


「「ともだちです~」」

ハルとフユも答えてくれる。


俺は本当にいいやつらと巡り合えたのかもしれない。



気分も落ち着き、日も暮れかけたので


「そろそろ帰ろうか」

と声をかけて帰宅の路につく。

空き地近くの、これまた俺作の秘密基地兼瞬間移動場所に移動する。

そこから人のいないタイミングを見計らって空き地へと移動する。


「みんな今日はうちによってご飯たべていかない?帰り道はパパが送ってくれると思うし!」

サリが提案する。


「そういえばサリの家は見たことが無いな。ハルとフユの家は空き地のすぐ近くだから分かるんだけど」


「私の家もまあまあ近いわよ!せっかくなんだからみんなでご飯たべましょ!」



「ごめんなさい~日が暮れるまでには絶対に帰らないといけないの~」

ハルが答える。


「なら仕方ないわね、プレはどうする?」


「いったん家に帰って確認してくるよ。俺が帰ってこなかったらうるさそうだし」


「分かったわ!ならここで待っとくからさっさといってきなさい」


「じゃあプレ君とは今日はバイバイだね~」


「「ばいばい~」」

ハルとフユと別れの挨拶をして瞬間移動で家に向かう。


家にはいるやいなや

「母さん!今日は友達の家で夜ごはんたべてくるね!」


「あら初めてじゃない?夜は暗くなるけど大丈夫?レイも一緒に連れて行ったら?」


「一緒に食べようって言われたんだ! 魔法があればどんな人間に襲われても平気だよ!」


そういって母さんを安心させるために密かに特訓していた魔法を見せる。


命名・ファイヤーソード


単に火で剣の形を作っただけなのだが。

しかしかっこよく作ろうとしたら凝ってしまい時間がかかってしまった。


「プレちゃんがそういうのなら大丈夫でしょうけど……あまり相手の家に迷惑をかけるんじゃないよ?」


「分かった!! ありがとう、いってくるね!」


そういって本日2回目のいってきますを行って急いで家を出て瞬間移動する。


空き地に戻ると

「遅いじゃない!退屈すぎて干からびるとこだったわ」


サリが吠えた。


「で、どうだったの?」


「大丈夫だってさ。サリの家向かおうよ」


「良かったわね!わたしの家はあっちよ!」


そういってサリは空き地を出て歩いていく。

俺も急いで追いかけて隣に並ぶ。

夕日が二人の影を道に写しだし幻想的だ。


「ついたわよ! ここがわたしのおうち!!」

サリの家も一般的な家庭に比べると3倍以上は大きかった。

庭も綺麗に整備されており、番犬まで飼っている。


「ママ! ただいま!友達つれてきたわよ!」

家でもいつもどおりのお嬢様っぽい感じの口調らしい。

この場合わがままお嬢様になるのだろうが。


「サリ、おかえりなさい。あら、後ろの子が友達なのね。どうぞあがってあがって」

サリが先に靴を脱ぎ廊下で待っている。

俺も玄関で靴を脱ぎ、よそのおうちなので綺麗に並べて家にあがる。


「あら、行儀の正しい子なのね。サリとは大違いじゃないの」


「はじめまして、プレリュードといいます。よろしくお願いします」


「本当に礼儀がいいのね~、わたしはサリのママのマドーラよ。よろしくね」

マドーラさんは背が高く、スラッとしていた。

それでいて上品な雰囲気を漂わせており美人マダムといった感じだ。


(サリも将来はあんな美人になるのかなぁ?でも性格が真反対だしなぁ……)


「ママ! プレは領主家の子供らしいよ!」


サリが爆弾を落とした。

マドーラさんが土下座し床に穴が空きそうな勢いで頭を下げる。


「申し訳ございませんでした!まさかハンセン公爵家のご子息だなんて!どうかこの無礼をお許し下さい」


「いや、頭をあげてください。確かに俺はハンセン公爵の第3夫人・セリア母さんの息子ですが所詮継承権もないただの子供ですから!」


「そうは言われましてもこうやって暮らせているのはハンセン公爵様のおかげなのでございます」

サリが急な出来事でフリーズしているようだ。

今まで散々に扱ってきた友達に対して母親が頭を下げているのだからどうしたらいいのか分からないのだろう。


(誰かこの状況を打開してくれ……)


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