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承前

 承前


 人間には三大欲求というものがある。食欲、性欲、睡眠欲だ。人間はいつの世もこれらの欲望に振り回されながら生きてきた。

 二十一世紀初頭。人間の欲望はとどまることなく加速していた。

 地球上のあらゆる食物は出回り、見知らぬものを食す機会は消え去った。

 地球上のあらゆる性行為は成熟し、どんな奇異なプレイすらすでに先人たちの手垢のついたものに成り下がった。

 人間の欲望は加速する。

 新たな欲望を満たすため、世界の学問はひとつの分野に集中し始めた。

 睡眠欲。ひいては、それを味わいつくすための多種多様なアイテム。

 睡眠学は細かく分化し、様々な方面から新たな睡眠の在り方を発掘していった。

 やがてある学者が真理に到達する。

 よりよい睡眠に何が必要なのか。その答えにたどり着いたのだ。

 枕である。

 彼の偉大な研究は世間を枕一色に染め上げた。

 枕についての様々な考察や論証がなされ、人間が本来求めるべきものは金でも愛でもなく、枕だという今まで誰にも到達し得なかった真理が世界を満たした。

 人々の暮らしにはいつも枕があった。多くの企業が新たな枕を考案し、様々な分野に枕は浸透していった。テレビを点ければ、枕専門番組がゴールデンタイムで放映されているのが当たり前になった。

 大枕時代。

 後の世の人間がそう呼びあらわす新時代の幕開けである。


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