5 I and pleasant friends (私と愉快な仲間達)
それから、エラは、モコロ達人造人間の新拠点ともいえる場所に移動した。
「ここが俺達の帰る所だ。」
そう言って、モコロが笑う。
この拠点の名は、『ホープ』と言って、
希望という意味がこめられている。
チームごとに6人程度がゆったりできる部屋があたえられている。
エラ達は、自分たちの部屋に入り、くつろぐことにした・・・。
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「うあーニコチンが不足した!!」
エラ達がチームを組んで、少したった頃。
モコロが叫び、頭をガシガシと掻いた。
「え・・モコロ??」
エラは驚き、モコロの方へと振り向く。
「あー・・・モコロはね、煙草を吸いたいって言ってるの」
ココが「うがー!!!」と叫ぶモコロを指差す。
「五月蝿い《うるさ》!静かにしろ!!」
フィオナは、イスに足を組んですわり、優雅に紅茶を飲んでいる。
「んだとぉ!?じゃあ煙草吸わせろ!!よこせ!!!」
モコロがついに、子供のように駄々をこねはじめる。
心なしか、頭に犬の耳が、腰の辺りにしっぽが見える。
「・・・うるせェと思ったら・・やっぱお前かよ、モコロ」
部屋の奥から、長身の男が出てくる。
年上のモコロよりも数センチ高い、彼は。
黒髪で、耳下までのびており、暗い紫の目が、特徴的だ。
赤いTシャツに、少しダボっとしたジーパンという一般的な服装をしているのに
そのシンプルさが、彼の大人びた雰囲気をより一層高めていた。
「あ~てっめぇレン!身長分けやがれ!!」
モコロはついに煙草に火をつけながら言う。
顔にかかった髪を耳にかけると、モコロの耳があらわになる。
右の耳には、ピアスが開けられていた。
煙草をくわえたモコロは、先ほどよりぐんと大人っぽく見えた。
「モコロ・・!また煙草吸ったな・・・煙い。」
次に奥から出てきて、あからさまに嫌な顔をする少女。
低身長で、長い白髪が特徴だ。チャームポイントともいう。
振袖付きの短い黒の着物を着ていて、
少し古風だがやわらかい雰囲気をまとっていた少女は、
その雰囲気を一瞬で崩れさせる言葉遣いで言った。
「イリヤ・・・。・・・こんくらい許せよ」
モコロは口を3にして文句を言う。
正直、このチームで最年長なのに、精神年齢は1番低そうだ。
「イリヤだけではない。皆、貴様の撒き散らすその煙に迷惑している」
淡々とした口調でイリヤは述べた。
結局、イリヤに負けて、モコロは眉を顰めながら煙草の火を消した。




