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99。  作者: ある。
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3 Disappearance (消失)


涙がひいた彼女は、燃える研究所から脱出した。

勿論、マスターをかかえて。

常人ならば、人1人かかえて火事の現場から脱出するなど不可能だが、

彼女が人造人間であると同時に、強化された肉体であることが

炎のダメージを軽減したのだ。

「マスター、死んじゃった人は、『水葬』するんしょ?」

エラはマスターに微笑みかける。

マスターの顔は穏やかで、また涙がでそうになる。

「どうか、安らかに眠ってください」

マスターは自分が死んだら水葬してくれ、と

言っていたデータがあった。

エラはマスターの意思に従うことを決めた。

海に向かうエラの肩を、ぐいっと誰かがつかんだ。

「待てよ」

突然、男の声が聞こえた。

振り向くと、そこにいたのは・・

前髪は真ん中の部分だけが後ろに流れるようになっていて、

髪は明るい、オレンジで、ツンツンした感じの髪型。

緑色の大きめのツリ目が、子供っぽさを感じさせられる。

彼の後ろには、二人の女もいた。

「マスター、なんで寝てるの?」

そういい、コテンと首をかしげる女。

すきとおった水色の髪。彼女の髪は膝のいちまであり、

とても長かった。前髪は真ん中でわけ、目は大きくぱっちりした灰色。

「マスターをどうするつもりだ?」

腕をくみ、しゃがんだ姿でマスターを背負うエラを、

見下すように見た。いや、睨んだというのが近かった。

少し長めの前髪の下からのぞく左目は青く、警戒の色を帯びていた。

右目は眼帯で隠されていた。黒く肩より少し長いツインテール。


こんな個性ゆたかな3人に、エラは取り囲まれた。


「ま、マスターは・・・、」

エラは口を開いた。少し震える声で、言った。



「お亡くなりに、なったの」


「「「!!!!」」」


3人は、表情を歪め、震えた声色で喋ったエラの姿から、

それが真実だと悟った。


「は・・・、マスターが?」

男の声が弱弱しくなっていく。

「だからあなたは・・」

「マスターを、『水葬』しようとしてたんだな」

確信をつくように眼帯少女が言う。

エラは、3人から少し目線を外し、首を縦に振った。






エラ達は、マスターを、水に流した。



悲しくて、悲しくて。


目覚めてすぐ、彼女は親を失った。

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