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99。  作者: ある。
2/13

1 Alarm clock of the explosion (爆音の目覚まし時計)

 ただ、黒い。視界に入るもの全てが真っ黒だった。

 この状態を見えないというのだろうか。

 見ることをまだ知らない、最後の試作品は1人思っていた。

 目を固く閉じている彼女には何も見えておらず、真っ暗な世界が広がっていた。

 水槽の中、一糸まとわぬ姿で眠るように目を閉じている彼女。

 腰まである白銀の長い髪が、ゆらゆらと水中で揺れている。

 髪と、水中の空気の泡で彼女の体は確認し辛いが、右のももにバーコードのような形で作品番号(コード)が刻まれていた。

『99』

 それが彼女の試作品番号(コード)だった。

 静かで、真っ暗な空間。何も聞こえてこない。

 彼女の中で自らの意識が出来たとき、暗い空間をもがきだした。

 行くあては無い・・否、分からない。

 それでも彼女はこの暗闇に、急に感じた『恐怖』を振り払うためにもがいていた。ただ、ただ。

 もがいていると、彼女の真っ黒な意識の中、光が見えた。青白い光だ。

 それはかなり小さい光だったが、徐々に大きくなっていく。

 そして、彼女がそこにもがきだそうとした瞬間───・・。


 一般的な爆発音などでは無く、地響きとともに沢山の何かが爆発する音が、暗闇の中の彼女にまで響いてくる。

 彼女の暗い意識の中、青白い光が真っ赤な光に変わり、黒い世界を一瞬で喰い尽くし、自分の世界の色に変えてしまった。

 彼女が入っていた水槽が、大きな音をたてて割れた。ひびが入りそこから割れていくのではなく、

水槽の強化ガラス全てが音をたて粉々に吹き飛んだのだ。

「・・・・何。これ・・・?」

 彼女が言葉を発した。

 本来、人間の脳がある位置に彼女達人造人間は高性能のコンピューターがある。

 それは、ただのコンピューターでは無く、いろいろなことを経験することで、データを得て

知識をみにつけ、学習し、より高性能なものになるというプログラム。

 学習するということがプログラミングされているのだ。

 そして、そのデータを他の者の頭に送信することも可能であり、99番目の、最後につくられた彼女には、残り全ての試作品のデータが詰まっていた。

 目覚めたばかりの彼女は、自分が生まれた理由も、戦うべき相手も、知っていた。

 だが、彼女は自分の目の前で何が起こっているのか分からなかった。

 目の前が真っ赤なのだ。何故か、燃えているのだ。自分がつくられた研究所が。

 燃えているのだ。

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