12 A dangerous greeting(危険な挨拶)
「イフリート・・・!?」
普段、声を荒げないフィオナまでもが、声を荒げて驚愕、といった表情をしている。
「いかにも俺はイフリートのリンだけれども!」
エラを離さない男は余裕の口ぶりで話しだす。
「今日はちょーっとアイサツに来ただけだっつの。」
リンは笑う。その笑顔は道化師の笑顔のようだった。
「エラを離せよ・・・」
モコロは顔を上げた。普段あげている前髪が、少し垂れ、
たれた目が怒りに染まり、気圧されそうな何かが溢れていた。
「だーかーらーアツくなんなよ、
「ッ!?」
───少年。」
リンはエラを抱えたままで、モコロの耳に囁いた。
そしてそのまま空に平然と立っていた。
モコロ達を見下ろして言う。
「てか、俺らとしてはあれなんだわ。」
リンはエラをぱっと手放した。
「なっ!」
モコロはエラめがけて走り出した。
「やつが相変わらず戦えねえなら」
雰囲気が一変した。黒いオーラのようなものを体から滲み出していた。
ぞくりと背筋に走る悪寒。
「お前らに勝ち目はねえよ」
そのままリンは、空を手で破いた。その先に広がる黒い闇に、呑まれるようにリンは消えていった。
「っ!」
エラは目を瞑った。
「ッセェーーーーーーーーーーーーーフ!」
エラがそっと目を開けると、モコロの腕の中だった。