11 Formidable enemy(強敵)
「終わったねー」
軽い口調だが、ココの目は深い意思をもっていた。
「・・・・帰るぞ。」
不死鳥は血に染まった道を、ザッと踏みしめて歩いた。
それに、他の者達もついて歩く。
「はい・・・!」
エラは返事をして、歩く皆の姿を追った。
「行かせないよ、・・・人造人間ちゃん。」
走るエラの肩を、何者かががしっと掴んだ。声からして男だろう。
「っ!?」
エラが驚いて振り向いた。するとそこにいたのは
朱色の髪をした男・・・いや、少年だった。
黒を帯びた黄色の目に、少し怯える自分の・・・エラの顔が映し出されている。
整った顔だち、純粋な朱の髪。
魅入ってしまうほど、綺麗な男だった。
その男は、口元に弧を描いているが、目は笑ってはいなかった。
「っ、エラ!?」
モコロが少し青い顔をして、エラをみる。
そしてすぐ戦闘態勢に入る。
他のもの達も、少し遅れて身構える。
「な・・・にこれ、」
エラは風の刃をつくり、この男に突き立てようとしたのだが──、
力が、使えなかった。
この男の接近に気付けなかったのもそれが原因のようだ。
「まあ皆さんそんな気ぃたたせんな。」
男が口を開いた。
その口元には弧が描かれ絶えることは無い。
「離せ。」
普段とは比べ物にならない、低く重い、怒りを帯びた、彼・モコロの声。
銃を男にむけて構えた。
「え・・・・・・!?」
ココの声が、静かな場に響いた。
その手から手のひらほどの大きさの機械が、するりと落ちた。
「・・・・・・どうした、ココ?」
イリヤが男から目を離すことなく、聞いた。
「その男・・・・精霊だよ!」
いつもより少し高い声は、恐怖の色を帯びていた。
「・・・・・・有名な、やつ。・・・・・・・・・」
ココは、声を絞り出す。
「・・・・朱色の髪、・・・・間違いない。」
「イフリートの・・・・・・リン。」




