終わったあとのもどかしさ
「ぁ……っ」
はぁ、と息をついて、身体を離す。
力が入らないらしい彼女の身体を支えるのを忘れずに。
情交の名残を残すボウッとした彼女の頼りない瞳に、ちゃんと抱きしめてやりたくなるが、そうしたらまた止まらなくなるのが分かっていた。
人気のない校舎の片隅で、立ったまま繋がって、慌ただしく熱を分け合っていた俺たちは、乱れた衣服を整えたら恋人同士ではなく教師と生徒。
他人に見咎められれば二人ともただではすまない。
そうわかっていて、
手を出したのは俺の方だ。
彼女のことを思うなら、こんな危ういことをするのは間違っている――、
それでも、抑えられなかった。
それが罪と呼ばれるものであることは重々承知で罠にかけ、流されるように仕向けた。
無垢な彼女の身体に、快楽を教えて離れられなくさせた。
校内でしか触れない、と決めたのは、外で会うと只でさえ我慢のきかない俺の本能が後先考えず彼女を我が物にしそうだったからだ。
誰の目も触れぬよう、閉じ込めて、俺だけのモノに―――。
俺がこんなにお前に恋着しているなんて、気付いても思ってもいないんだろう?
ちゃんと抱いてやれないことが、
安心させる言葉も伝えられないことが、
いつも俺の胸の奥でわだかまっている。
だがそれもあと少し。
彼女が生徒ではなくなる日。
その日がくれば、
こんなもどかしさとはサヨナラ出来るから。
もう少し、待っていてくれないか。
俺の愛しい君―――。