41話
「本当にありがとうございました。お二人のおかげで助かりました」
「俺たちこそいい体験をさせてもらいました。ありがとうございます」
やっぱり綾崎の撮影は早く終わった。なんと撮影に使った服は俺たちにくれてお金もくれるという。最近結構遊んだりしていてお金も少なくなってきたから助かる。因みに雑誌は来月出るらしい。ちょっとしか出ていないだろうけど記念に買っておくか。
「一つ提案なんですけどお二人とも事務所に入る気はありませんか?」
「「え!?」」
「綾崎は余裕でモデルになれると思いますけど俺なんかが無理ですよ」
「そんなことはないです。お二人ならモデルとして十分にやっていけると思います。悪い提案ではないのですがどうでしょうか?」
そういって勧誘してきた男の人は俺たちに名刺を差し出した。俺と綾崎は反射的にそれを受け取る。まさかのスカウトが来た。しかも綾崎だけでなく俺にも。なんで!?とにかく綾崎の意見を聞いてみよう。
「綾崎はどうする?」
「すいません。私にはいきたい大学があるので事務所に入ることはちょっと遠慮させてもらいたいです」
やっぱりそうだよなぁ。俺も今ケーキ屋のバイトをしているしそのバイトはかなり楽しい。もしモデルになるのなら忙しくなるだろうしケーキ屋のバイトをやめないといけないだろう。モデルになるかケーキ屋でバイトするかだったらうざい先輩もいるけどケーキ屋のほうが楽しいし。よし、ちょっともったいないけど俺も断るか。
「俺は今別のバイトをやっていてそれが楽しいので事務所に入ることは断らせていただきたいです。でも偶に手伝うことぐらいならできるのでもしまた何かあったら連絡ください」
「そうですか...こちらこそいきなりごめんなさい。そういうことなら夜見君、連絡先を教えてください」
「わかりました」
俺は常にカバンの中に入れているメモとペンを取り出して連絡先を書いて渡した。
「ではまたがあれば連絡させていただきます。今日はありがとうございました」
そういって男の人は帰っていった。
「すごい体験ができましたね。楽しかったです!雑誌も買わないと!!」
綾崎が興奮したようにそう言ってきた。昔は大人ってイメージだったけど最近は子供っぽい時もあるよな。
「そうだな、スカウトまでされるとは思わなかったが」
そんな話をしながらそろそろ綾崎の門限になるので俺達は駅前を去った。あれ午前中って映画見たっけ?映画見た跡が濃すぎて映画の内容ほとんど覚えていない...。
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「ここが綾崎の家だったな。じゃあな。次は夏休み明けだ」
「そうですね。今日はとっても楽しかったです!また夏休みに会いましょう」
綾崎は笑顔でそういうと手を振ってから家の中に入っていった。あいつにとっては初めて遊ぶ友達だったのか、楽しんでそうだったしいい思い出になっていたら何よりだな。




