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2話

俺はケーキを買ってそれを崩さないように注意して帰っていた。ゆっくり歩いていると、ふと俺の前に通っていた中学校の制服を着た女の子が目に入る。俺もあの中学校にこの前まで通っていたなーと懐かしく思っていると女の子がちょっとしたタイルのズレに引っ掛かって転んだ。反射的に女の子の方に駆け寄る。




「大丈夫ですか?」




「すみません。だい..うっ!!」




女の子は立ち上がろうとしていたが足を挫いたようでうずくまる。ど、どうしよう。何したら良いんだろう。家まで送っていくのはやり過ぎだよな。




「あの...立ち上がれそうですか?」




俺はなんとか思いついた無難な質問をする。




「すいません。うまく立ち上がれそうにないので肩を貸してもらいたいのですが...」




「わかりました...よっと!」




女の子に言われた通りに肩を貸す。かなり足が痛そうだ。何か他にしてあげれるようなことは無いだろうか。




「このまま1人で帰れそうですか?」




俺の支えを取ると女の子はちょっとだけぐらついたがすぐに姿勢を戻す。




「1人で帰れそうです。すみません。ありがとうございました!!」




「あー、ちょっと待って」




家に帰ろうとする女の子を俺は呼び止める。足挫いたのが心配で何かしてあげれるような事はないか考える。




「あの、これチョコケーキですが良かったらどうぞ」




「いえいえ、結構ですよ!」




「いや、元気なさそうだなーっと思って、甘いものを食べたら元気が出ますよ」




俺がそう言うと女の子はクスクス笑う。




「そうかもしれませんね。ありがとうございます。ではいただきますね」




チョコケーキを渡して俺たちは別れる。良いことをしたと思いながら家に帰った。




――――――――――




「ただいまー」




自分の部屋に戻って制服から着替える。俺は学校で出される課題以外の勉強をしない。この前のテストは学年2位だったし勉強をすることが面倒くさい。その位出来ていたら十分だろ。俺は小学1年生のときに色々な国に興味を持ち、自ら英才教育を受けたいと両親にお願いした。今も英語、フランス語、ロシア語、中国語は一通り話せる。しかし、中学2年のとき模試で全国1位を取り、燃え尽きてしまったのだ。まあでも勉強を続けなかった事を後悔はしてない。今の暇な生活も楽しいしな。まあ俺が多言語を話せることはこの学年でも零しか知らないけどな。因みにテスト1位は綾崎、そう、王女様だ。容姿端麗で勉強も出来るとか尊敬する。




俺は夜ご飯をもそもそと食べ、風呂、明日の用意などするべき事をやってベッドに入る。疲れが溜まっていたのか直ぐに眠りにつくことができた。




__________




「おはよー!!」




後ろから零のこれが聞こえてくる。




「よお零!」




ちゃんと零に挨拶を返すと雑談をしながら教室に向かう。自分の席についてから用意を終わらせる。まだ目が覚めていない。ねっむあっつしんどー。今日はやる気か無くなる三拍子が揃っているからなのか体がだるい。




「なあなあ夜見ー、聞いてくれよー。俺の彼女がさぁ___」




「何かあったのか!?」




「いや、女神かと思う程可愛くてー」




「心配して損したわぼけが」




「夜見が俺を心配した...だと...!!」




「お前じゃなくてお前の彼女を心配したんだよ調子のんな」




いつもと同じように教室の端でアホな会話をしていると誰かがこっちに向かってくる。




「えっ!!」




王女様が俺の方に向かってきていたのだ。何かやってしまったかと考えるがクズだということ以外思い当たらない。




「夜見君、話があるのだけどちょっとお時間頂けないかしら?」




俺を含むクラスのみんなは驚いている。何故なら綾崎は普段あまり人とつるまない。なので綾崎からクラメイトに話しかけるなんてありえない事なのだ。俺が驚きのあまり言葉が出ないでいると俺を嫌うクラスの女子たちが綾崎を心配し始めた。




「夜見君は顔と頭は良いかもしれないけれどかなりクズで有名なんだよ!夜見君とは絶対に関わらないほうが良いよ」




周りにいる女子もみんな頷く。俺も綾崎は俺と関わらないほうがいいと思う。俺自身、俺の顔が良いとは思わないけど。まあ感性は人それぞれか。夜見アンチの女子の助言に俺も安心した。




「私は夜見君に確認したい事があるのです。心配してくれているのでしたら有り難いとは思いますが大丈夫です。私の事は私が決めますので」




俺の安心は崩れ去る。俺は何かやってしまったのか!?それとも勉強の事についてか!?何かわからないぃぃ!!




「何か用?」




気合で焦っている雰囲気を隠す。




「昨日、女子中学生が目の前でコケたりしなかったかしら」




俺は全身に鳥肌が立ち、大量の冷や汗も出てくる。ここでみんなに昨日、あの子助けたことがバレたら『あいつのクズの演技してたらしいぞ』『なんだただの陰キャじゃん』と確実にこれからクラスだけでなく学年でも浮いてしまう。それだけは何があっても阻止しなければ!!ここで俺が出すこの状況の最適解は__




「ち、ちょっと場所を移さないか?」




これだ!!!



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