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 久しぶりに夢を見た。

 中学生の私と修二が一つの傘に入って歩いている。

 古びた校門や学校の前にある小さな文房具屋、横断歩道に灯る赤信号。

 それらはすべて雨と霧に包まれて、ぼうっとかすんで見える。

 川は雨で少し水かさが増していた。そんな川にかかった橋を渡る時、修二が私に言った。

「好きなんだ」

 それはついさっき聞いた彼の声と同じだった。私はその声にこう答える。

「私も……」

 そう、私は好きだった。めったに話すこともなかった修二のことが好きだった。

 私はいつも修二を見ていた。

 仲間たちとふざけあっていても、本気で笑っていない彼の笑顔を。

 授業中にぼんやり窓の外を眺めている、その遠い目つきを。

 私と彼はどこか似ていたから。だから私は……

 夢の中の修二の手が、私の頬にかすかに触れる。その手がとても冷たくて、我に返った時はもう遅かった。

 彼の手が私の首を絞めつける。もがけばもがくほど彼はその手に力を込めて、私を橋から突き落とそうとする。

 殺される……そう思った瞬間、私は暗闇の中で目を開けた。


 夢から覚めた私の視界に修二がいた。

 寝ている私にまたがるようにして、私のことを見下ろしている。そしてその両手は今にも私の首を絞めつけようとしていた。

「何……やってるの?」

 闇の中でつぶやく。

「私を殺すの?」

 修二は手を止め私を見つめる。

「私のことを殺したいの!?」

 私は大声を上げていた。そうしないと恐ろしさで気が狂いそうだったから。

 そしてその瞬間、修二が私の首に手をかけた。

 私は修二に殺される……今度こそ本当にそう思った。

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