7
久しぶりに夢を見た。
中学生の私と修二が一つの傘に入って歩いている。
古びた校門や学校の前にある小さな文房具屋、横断歩道に灯る赤信号。
それらはすべて雨と霧に包まれて、ぼうっとかすんで見える。
川は雨で少し水かさが増していた。そんな川にかかった橋を渡る時、修二が私に言った。
「好きなんだ」
それはついさっき聞いた彼の声と同じだった。私はその声にこう答える。
「私も……」
そう、私は好きだった。めったに話すこともなかった修二のことが好きだった。
私はいつも修二を見ていた。
仲間たちとふざけあっていても、本気で笑っていない彼の笑顔を。
授業中にぼんやり窓の外を眺めている、その遠い目つきを。
私と彼はどこか似ていたから。だから私は……
夢の中の修二の手が、私の頬にかすかに触れる。その手がとても冷たくて、我に返った時はもう遅かった。
彼の手が私の首を絞めつける。もがけばもがくほど彼はその手に力を込めて、私を橋から突き落とそうとする。
殺される……そう思った瞬間、私は暗闇の中で目を開けた。
夢から覚めた私の視界に修二がいた。
寝ている私にまたがるようにして、私のことを見下ろしている。そしてその両手は今にも私の首を絞めつけようとしていた。
「何……やってるの?」
闇の中でつぶやく。
「私を殺すの?」
修二は手を止め私を見つめる。
「私のことを殺したいの!?」
私は大声を上げていた。そうしないと恐ろしさで気が狂いそうだったから。
そしてその瞬間、修二が私の首に手をかけた。
私は修二に殺される……今度こそ本当にそう思った。