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揺れるカーテンの隙間に薄紅色の空。今日も日が暮れてやがて夜が来るのだろう。
そして私たちは、いつまでこんな意味のない生活を続けるのだろう。
私は空腹と脱力感でうとうととしていた。
もしかしたらこのまま意識を失って、死んでしまうのではないかとなんとなく思う。
私が死んだら両親は悲しむだろうか。
医学部に通う二つ年上の兄を溺愛している父と母。
私は兄のように頭がきれるわけでもなく、社交的にもなれない冴えない娘。
両親はこんな私がいなくなっても、不良品が家から消えて、かえってせいせいしているかもしれない。
会社の仲間はどうだろう。
私があの職場にいなくても、いつも通りに業務をこなし、今日のランチの相談をするのだろう。
私のせいで少しだけ残業が増えて、文句を言っている同僚の顔が目に浮かぶ。
そしてあの人は、私の愛した奥さんのいるあの人は、私のことを想いながら、少しでも切ない気持ちになってくれているだろうか……
考えながら眠ってしまって、目を開けたら修二が部屋を出て行くところだった。
私の手はベッドに縛り付けられている。こんなことをしなくても逃げ出すつもりはなかったのに。
もう一度目を閉じたら、私はすぐにまた眠りに落ちた。