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 菓子パンの袋を乱暴に引きちぎり、むさぼるようにしてパンをかじる。

 食べ物を口にしたのは何日ぶりだろうか。

 修二は黙ってベッドに座り、そんな私をじっと見つめた。

「あんたは食べないの?」

 私が聞く。

「もうこの部屋に食い物はそれしかないんだ」

 食べかけのパンを修二に差し出す。しかし彼は首を横に振った。

「じゃあ買ってくれば?」

「俺がこの部屋を出て行ったら、お前は逃げ出すだろう?」

 逃げ出す……そうか、私はもしかしてこの男に連れ去られ、監禁されているのかもしれない。

 そんなことを思いながらも、私は彼にこう言った。

「逃げ出したりしないわよ」

「嘘だ。逃げ出すに決まってる」

 修二はそう言うと、青あざのついた私の両腕をつかみ、ベッドの上に押し倒した。

「痛い……」

 私の泣きそうな声に、彼はその手を少しだけ緩める。そんな優しさのかけらがあるのなら、どうしてこんなことをするのだろう。

 顔を背けて目を閉じたら、修二は私の胸に顔をうずめた。


 私はこうやって数日間、この男に犯され続けている。

 初めは抵抗していた私の体も次第にその力が失われていき、最後にはどうでもよくなった。

 だいたいあの夜彼の車に乗ったのだって、半分は私の意志なのだ。こうなることを考えなかったわけでもない。

 家庭に居場所もなく、仕事も人間付き合いもうまくいかず、あげくの果てに不倫相手の上司に突然別れを告げられた私は、もう生きることすべてがどうでもよくなっていたのかもしれない。

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