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 しばらくして私は退院した。

 両親が修二を訴えることはなく、私はそのまま会社を辞めた。仕事の引継ぎや後始末は部長がうまくやってくれたようだ。

 両親は私のことを心配してやたらと干渉したが、私はそんな親の目を盗んでこっそりと修二のアパートへ向かった。

 私が一ヶ月近く過ごしたあの部屋は、実は私の家からそう遠くない場所にあったのだ。

 しかしそのアパートに修二の姿はなかった。

 部屋には鍵がかけられ彼はもう引っ越した後だった。

 私は彼に会うことも、二人で過ごしたあの部屋に戻ることもできなかった。


 彼はどこに行ってしまったのだろう。実家に帰ったのだろうか。それとももっと遠いどこかに……

 最初の頃はそんなことばかり考え憂鬱だった。両親は精神的ショックによる軽いノイローゼではないかと言った。

 人にそう言われると、そうなのかもしれないと自分で思う。私に病名がつけられるぐらいなら、修二のほうがよっぽど病気だと思ったが……

 だけどいつまでも立ち止まってばかりはいられない。毎日は驚くほどの速さで過ぎて行き、私は流されるようにして歩き出す。


 ある日、部長から電話があった。私にすべてを謝っていた。

 その時私は修二のことを聞くことができなかった。私はもうすっかり元の生活に戻っていたから。

 夢のように過ぎる時間の中で、私は修二と暮らしていた。

 あの異常な空間の中で、彼を愛していると錯覚していた。そう、あれは妄想の世界での錯覚だったのだ。


 しばらくして私は新しい仕事に就いた。それと同時に実家を出て小さな部屋を借りた。

 今の家での生活も悪くはなかったが、私はこれまでの人生をリセットし、すべてをやり直したいと思ったからだ。

 そして新居に持ち込む家具やカーテンを買いに出かけた時、私は彼に再会した。

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