コント「吸血鬼」
食事前には読まないでね!
(舞台は公園、男と女のカップルが1組)
女(役)「どうしたの? こんな所に呼び出して」
男「ねぇ、僕たち付き合って5年も経つよね? そろそろ返事を聞かせてほしい」
女「えっ……でもまだ心の準備ができてないわ」
男「そうやって君はまたはぐらかそうとする! お願いだ、僕に……僕に血を吸わせてくれ!」
(しばらく沈黙)
女「えぇ、アナタが吸血鬼だということは薄々気が付いていたわ。アナタと初めて会ったのはハロウィンパーティーの夜……でもハロウィンが終わってからもずっとその仮装だったから変だと思っていたの」
男「わかっているならなおさらだ! 僕の正体に気付いた時点で一般ピープルは逃げてるよ。だから君はこうなることを覚悟していたはず」
女「ダメよ! 私はアナタのことが好きよ! でも、どうしてもできないの」
男「何で?」
女「私は体に傷を付けてはいけないの、キズモノになってはダメなの! だって、私は……箱入り娘だからよ!」
男「そうか、それで君はずっと箱の中に入っているのか。デートのとき、いつも君はその大きな段ボール箱に入っていたからてっきり『私がプレゼントよ』という意味だと思っていた」
女「そう、だから傷をつけて血を吸われるのはダメなの! ごめんなさい」
男「何てことだ! 僕たち吸血鬼は愛する人から1年以内に血をもらわないと死んでしまうのに」
女「え? そんなエピソード聞いたことないし、もう付き合って5年経つんだけど……」
男(独り言)「あぁ、何とかして彼女を傷付けずに血を吸うことはできないのだろうか?」
女「ねぇ、私の話聞いてる? ってか別の意味で傷ついたんだけど……まぁそりゃアナタに血を分けてあげたいけど……でも傷は付けたくない」
男「あっそうだ、鼻血だ! 君の鼻血をもらえないかな」
女「ダメよ! 鼻血はキーゼルバッハ部位にある静脈が切れて出血するの、つまり静脈が傷つくのよ!」
男「ダメかぁ、ってかキーゼルなんとかって何?」
女「ごめんなさい、でもどうやって鼻血を?」
男「え? それは君の顔を2、3発ぶん殴って……」
女「いろんな意味で傷つくわ」
男「あぁ困った……あ、そうだ! 涙だ! 君の涙を僕にくれ」
女「そんな……私、サバクツノトカゲじゃないわよ」
男「え? 今予想だにしなかったワードが出てきたんだけど何ソレ」
女「血の涙を噴射するトカゲよ、体内の4分の1の血液を噴射するそうよ」
男「グロいよ! そうじゃなくて普通の涙……知ってる? 涙の主成分は血液なんだよ、血液から血球を取り除いた血漿なんだよ、これでも何とかなる」
女「え、ムリよ」
男「何で?」
女「私……泣いたことがないのよ! 涙なんて……見せないのよ!」
男「おいどっかで聞いたフレーズに似てるけど著作権的に問題ないのか?」
女「だから……ごめんなさい」
男「じ、じゃあ汗は? 汗も涙と同じで……」
女「ダメ!」
男「何で?」
女「言ったでしょ、私は箱入り娘だって! 今の今まで苦労したことがないの! だから、血の汗は流せないわ」
男「いや血の汗はモノの例え、実際に流したら怖いよ」
女「だから……ごめんなさい」
男「ダメかぁ……あ、そうだ! だったらオシッコは? たとえ君が涙や汗を流さなくてもオシッコはするだろう? オシッコは腎臓で血液をろ過してできるんだ……だからお願いだ! 君のオシッコを飲ませてくれ」
女「ここから聞いたら完全に変態プレイよ! でも……できないわ」
男「何で?」
女「私はアイドルよ! アイドルはオシッコをしないわ」
男「昭和か!」
女「だからムリ……そういうのはディープな風俗店でやって」
男「ダメかぁ……じゃあどうしたら」
女「あ、そうだ! だったら私の経血が付いた生理用品ならあげるわ! これを吸ってみたら?」
男「え? 確かに血だけど……これをやったら倫理的にいろいろ終わる気が……」
女「大丈夫! オシッコ飲みたいと言った時点でアナタは倫理的に終了してるわ」
男「でもダメだ! さすがにこのステージはハードルが高い」
女「だったら……じゃあ私のウンコは? 私のウンコを食べてみて」
男「更に高難度がキター! 完全にスカト■ー! っていうか君はさっきアイドルはオシッコをしないって……」
女「オシッコはしないわ! でもウンコはするのよ」
男「全くの意味不明ー! 取捨選択が間違っているー! そもそもウンコは血液とは関係なーい」
女「関係あるわよ!」
男「どうして?」
女「私、ウンコに血が混じっているのよ」
男「今すぐ病院に行けー!」
女「行ったわよ! そしたらイボ痔と切れ痔、両方見つかったわ」
男「いろんな意味でキズモノじゃねーか!」
女「じゃあ決まりね、私が今からここで野グソをするから、アナタは地べたに這いつくばって私の血が付いたウンコを食べるのよ! いいブタ野郎! 少しでも残したらお仕置きよ」
男「オマエ公衆の面前で何言ってるんだよー! しかもこんな真っ昼間から……」
女「あら? 今、昼だったら吸血鬼のアナタは死んでるんじゃ……」
男「そうだった」
〝バタンッ〟
(男、倒れる)
最後までお読み……耐えていただきありがとうございました。
まぁどうせ採用されるような実力はないので、それなら絶対に使われない内容で書いてみました! 一部のマニアさんにウケていただければ幸いです。
ちなみに普通の作品も書いていますのでそちらもご覧ください。