4/14
マネージャー、乗せる
背後に音がしたので俺は振り向くと、制服をまとったミサキが立っていた。
「おお、早いな」
ミサキは、右手の人差し指で頬をかいて
「そ、そうですか」
視線のやり場に困っている様子だ。
なぜか、俺は、夏の陽射しをあびたミサキがエリよりもキレイに見えた。
真夏の雲が、いたずらな光を落としているのか。
「さ、行くか」
俺は、ベンチから腰をあげた。
「あ、そういやあ、ミサキの家族ってどうしてるの?」
俺の言葉に、ミサキは視線を落とした。
「まあ、いいや、ほら、乗れよ」
俺は、コンビニの駐車場に停めていた自転車を引っ張りだしてサドルのうしろを指さした。
「う、うしろに?」
「ああ、お前、小さいから大丈夫さ」
「は、はい」
ミサキは、両手でスカートを押さえながら俺のうしろにまたがった。
「あ、あの、アキラさん」
「?」
「太陽の光って、こんなにまぶしかったんですか?」