3/14
マネージャー、声を聞く。
そして、マンション1階のコンビニの前。
俺は、自動ドアの横に設置されたベンチに座ると、それとほぼ同時に尻ポケットのスマホが鳴った。
「どうだった?」
エリの不安まじりの声。
「ああ、うまくいったよ。今回は人数そろうぞ」
「本当に?よかった、ありがとー!」
つやのある声が、響いた。
「ああ、でも、まだ、ためらいがある感じだな」
「大丈夫よ。部の存続をかけて、ミサキちゃんをやる気にさせてみせるわ」
やや、落ち着きを取りもどした声で
「それに、ミサキちゃん、才能もあるし。アキラ君もくるんでしょ?」
「ああ、連れていくよ」
「頼むわね。3時に稽古場で」
「ヨロシクね、マネージャー君」
「ああ、去年みたいにはしないよ。絶対」
たがいに次の言葉が思い浮かばないといった間が流れたので、俺は一瞬、言ったことを後悔した。「じゃ、またあとで」
俺は、通話をオフにした。