マネージャーの未来は?
「ミサキ、いるか?いるんだろう!?」
俺は、ドアの上部を5回叩いた。
スマホにもインターホンにも反応しないのなら、もうこれしか手はない。
「俺だ、アキラだ。返事をしてくれ」
マンションの隣人に迷惑がかからないよう俺は
それ以上声をあげるのをやめ、ミサキの反応を待った。
さっきから夏空にひろがる綿あめのような雲がおもしろがって見ているような、俺はそんな視線を背中に感じた。
俺の腕時計で、ちょうど1分後。
カチリと音がすると、ドアがホラー映画のように不気味な音を立ててゆっくりと開いた。
俺は、思わずあとずさりをしそうになったが、すぐに気をとりなおし開いたドアのすき間に視線をそそいだ。
そこには、お化けーではなく、少女の顔の右半分が見えていた。
ミサキだ。
「ア、アキラさんですか?」
ふるえを含んだ細い声が、静かに俺の耳に届いた。
「いつまで引きこもる気だ?もう、1ヶ月になるだろ?」
返事はない。
ミサキはだまって俺を見ている。
俺は、肩で小さくため息をついた。
「ほら、コーラ。好きなんだよな?」
俺は、コンビニの袋をミサキに差し出した。
「2リットル入り。俺のおごりだ」