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「おはよう、ロレッタ」
「おはようございます、エル様」
眩しい。キラキラとした後光が見えます。
余りにも素敵過ぎて目を窄めていると、エル様はクスクスと笑っている。
「何だい、おかしな顔をして」
「い、いえ。エル様が本日も麗しく……」
「ははっ。何を言っているんだ、俺は父似だぞ?」
お義父様は妹のカレン様が生まれて直ぐにご逝去されたとお聞きしているので、如何程かは分からないがきっとお義父様も美形なのだろう。
ポロリと口から本音が出てしまったのだが、本気と思われて無いのか躱されてしまった。
今日は、エル様がお休みを取って下さったので私の夫人教育の前に二人でお茶をしているのだ。
「それよりも、ロレッタ。その紙の束は?」
「あ、此方はお爺様の遺して下さった未開発の物達なのです」
「そうなのか?それは貴重な物だ。他の人に見せてはいけない」
「ふふふ。勿論ですわ、エル様以外に見せた事は有りません」
「…良いのか?」
「はい、私の発明を知って頂くには重要な物でして」
「分かった。楽しみだ」
私はその紙の束をエル様に手渡す。
「開いて見てください」
私がそう言うと、エル様は恐る恐るペラペラと捲っていく。
「……凄いな。夢の様な道具が沢山有る」
「えぇ、私も初めて見た時はびっくりしました。
お爺様は【落ち人】です、彼処の世界ではこの様な物が普通に存在しているらしいのです。
これは思い出し書きに近いんだよ、と言っていました」
「こんな凄い物がか?」
「はい」
「実は身近に【落ち人】や異世界から転生し、その記憶を持った者が居るのだが……、彼等も私達とは違う知識を沢山持っていた」
「そうなのですか!?わぁ~、いつかお会いしてみたいです」
「はは、その内に会えるよ」
「その内なのですか?そんなに近くにいらっしゃるなんて!楽しみです!
私、この世界でもこの様な便利な物で溢れた世界にしたいのです。
同じ人間なのだからきっと作れない事は無いでしょうし、お爺様は実際此方の物で作ってしまったので……。まだ一つも完成には至っていないのがお恥ずかしいのですが」
「恥ずかしがる事は無い。夢を実現する為なのだろう?」
「……は、はい!実現してみせます!」
エル様が素敵過ぎて、一瞬止まってしまったが何とか返事が出来た。
「楽しみにしているよ。何か欲しい物が有れば教えてくれ」
「え!そ、そんな訳には参りません……エル様のお手を煩わせる様な者ではいけないのです」
「そうなのか?」
「はい。でも…、ご相談はするかもしれません」
「ははは!君は無欲だね」
「いえ!強欲故です!」
「そうか、成程な。良いよ、相談される日を待つとしよう」
「有難う御座います!」
この話をする日が来るだなんて、思っていなかった。しかも身近に【落ち人】様まで居らっしゃるだなんて……私は幸運の持ち主だ。
今迄も発明がずっと出来る環境に居た事は幸せだったが、孤独だった。
嬉しくて、嬉しくて私は勢い良く返事をした。
「そういえば、発明品はどうやって作っているんだ?」