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「これは?これは何なの、ロレッタちゃん!」
「其方は【ほっぷすてっぷじゃんぷ靴】で御座います、お義母様」
「ほっぷすてっぷじゃんぷ?靴?たーのーしそー!」
「少々お待ち下さいね。試しますから」
次の日、講師の方は午後からいらっしゃるので朝はお義母様とお庭でお茶をしながら発明品を見せている。
どうやらエル様が家族の皆様にはお伝えしていた様で、何だか恥ずかしいが言う手間が省けたという事にした。
エル様は朝からお仕事に行かれました。お勤めご苦労様ですね。
お仕事に着て行かれるお洋服がとても凛々しくて素敵だったので、そりゃあ追いかけたくもなるなと思ったのは内緒です。
「では、行きます」
「分かったわ!」
私は椅子に座りながら靴の紐を固く結び、立ち上がる。
【ほっぷすてっぷじゃんぷ靴】は、兎や蛙の様に高くジャンプ出来ればと考えた物だ。
こういう物の為に動き易い格好をしてきて良かった。
これから見たいと言ったお義母様は、お目が高い。
私はゆっくりと飛び始め、次第に高く跳躍する。
「まぁ!!凄いわ、ロレッタちゃん!」
「これは、この様に高く跳躍する為の物です!ですが………、止まり方が分からない事が難点でして!!」
「あら!」
ビョン、ビョンと飛び跳ねながら喋るので、淑女には有るまじき音量で話しているのだが本当に止まり方が分からない。
どうしよう。
「あれ、ロレッタちゃんは何をしているのかな?」
「あら、マギーおはよう。ロレッタちゃんの発明品を見せて頂いてるのよ?だけど止まれないらしいの。貴方、止めてあげて?」
「ははは!可愛いね!ちょっと待っててね~」
偶然お休みで泊まっていたマグオット様が通り掛かりそう言うと、私に向かって風魔法を脚に纏わせて飛んで来た。
「ロレッタちゃんの靴を見てやってみたんだけど、これいいね!」
そう言いながら私をサッとお姫様抱っこをして地上に降り立つ。
「(きゃーーー!!まさかマグオット様にお姫様抱っこをさせているなんて!!)」
マグオット様はそのまま私を椅子に座らせる。
「も、申し訳御座いません!私のせいでマグオット様のお手を煩わせてしまって!」
「ロレッタちゃん、良いのよ~。エルもこれくらいじゃ怒らないわ。
寧ろ、マギーになんで助けなかった!って怒るんじゃないかしら?」
「うん、母さん。それ、多分ちんぷんかんぷんな応えだね。
気にしないでね、ロレッタちゃん。
一つ勉強になったよ♪
それに、こういう時に謝られるのは嬉しくないな」
「はい!すみま……、有難う御座います!」
「宜しい♪」
「それにしても、そのお靴とても魅力的だわ~少し履かせて貰っても宜しいかしら?」
「え、でも止まりませんよ?」
「良いのよ~、何とかなるわ♪」
「ロレッタちゃん、心配しなくても良いよ。それに、言っても聞かない人だから」
お二人に言われてしまえばこれ以上は言えないので、お義母様に履き方をお伝えする。
この靴は、靴と言ってもつま先が覆われていて
踵が無く、後は布と紐でグルグルと固定をするのでサイズは関係無く履く事が出来る。
「よ~~し、行くわよ!」
お義母様は私の真似をして、ゆっくりと弾み出す。