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今日から短く一日二回(朝、夕)投稿します。


「いらっしゃ~い、待っていたわ~♪」



馬車に揺られ、アンバート侯爵家へと到着するとエル様のお母様と弟様が出迎えてくれた。

お母様はほんわかしていて、エル様の優しい目と同じだ。彼は母には全く似ていないと言っていたが、そんな事は無い。


弟様はこれまた有名人な方。騎士団に所属し、実力は十分有るがアンバート家が力を持ち過ぎるというだけの為に次代の騎士団長にはなれない悲しき剣士と噂のマグオット様だ。その見目麗しさと穏やかな笑顔で奥様方が夢中だとか、なんとか。うちのお母様もその一人とは、言えない。



はい、何故私が【エル様】と呼んでいるかというとですね……馬車の中で私は緊張でガチガチだった。

そんな私を見て、エル様がクスクスと笑い出したのだ。


「そんなに緊張しなくても、取って食ったりしない。家族には何と呼ばれていたんだ?」


「す、すみませんっ、誰かのお家に行く事も、は、初めてなものでっ。

か、家族には、普通にろ、ろ、ロレッタと呼ばれていました…!」



今日初めてちゃんと喋ったからか、盛大に噛みまくり上擦ってしまった。

恥ずかしくて目をギュッと瞑る。



「ははは、成程な。大丈夫、今日から君の家だ。

では、ロレッタと呼ぼう。俺の事は【エル】と呼んでくれ、今では母しか呼んでいない」


正面に座るエル様は、私の頭を優しく撫でながら愛称を教えてくれる。

そして、どうやらエル様は素では自分の事を【俺】と言うらしい。

家族以外から撫でられた事も初めてだったが、彼はとても温かい手をしていた。

恥ずかしいが、少し肩の力が抜けた。


「は、はい……有難う、御座います。

え、エル…、様」


「様は要らないぞ?」


「そ、そ、そそそれは出来ません!

あ、出来ないというか……、少々お待ち頂ければと思いますっ!」


「はは、そうか。ロレッタは正直者だな。

分かった、待つよ。その内敬語も無くしてくれ」


「はい、頑張ります!」



きゅん、きゅんです。

若干子ども扱いされている様な気もしますが、良いのです。こんなにも優しい笑顔を向けて頂けるなら。

そんなこんながあり、私は【エル様】と呼ぶ事になった。


何とか普通に喋れた頃、それは今なのですが…アンバート邸に着いてしまった。


エル様はスッと馬車を降りて、手を差し伸べてくれる。

乗る時もエスコートして頂いたが、手袋をしていて本当に良かった。



「帰りました。母上、彼女がロレッタだ」


「お、おおお、お初にお目にかかります!

キルフェット伯爵が娘、ロレッタと申します!

この日を楽しみにして参りました!」


「ファミーユよ、気軽にお母様って呼んでね♡


「ファミーユ様、不束者ですが宜しくお願い致します!」


「ロレッタ嬢、初めまして。次男のマグオットです。後、下に二人居るんだけど…二人とも嫁いで行ってしまってね。

僕は寮に住んでいるから中々帰って来ないけれど、今日はロレッタ嬢が来ると聞いて会いに来たんだ」


「あ、御足労願いまして有難うございます!」


「うん、元気が良くて可愛いね」


「おい、マグオット。やめろ」


「ちょっと兄さん、褒めただけじゃないか~。そんなに目を釣り上げていると嫌われるよ?」


「……余計なお世話だ。さぁロレッタ、部屋へ案内しよう」


「は、はい!!」



部屋に案内され、色々と部屋の説明を受けると「疲れただろうから今日は休みなさい」とエル様は私を一人にしてくれた。




ドキドキと、足音が遠ざかるのを待つ。




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