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物凄く久しぶりの更新です……。

これからまたちょこちょこ書いていければと思っておりますm(_ _)m


「これで最後だな」


エル様はそう言うと、最後の鉱物を風で持ち上げて魔法陣へと飛ばす。

もう、何も驚かないぞ。やはりエル様もアンバート家の方なのだ、規格外である。


私が運ぼうと持ち上げようとした時、彼が私を手で制止して首を横に振るので頭に疑問符を浮かべていると、彼はここに有った全ての鉱物を自身の風魔法で魔法陣の向こう側である侯爵邸の一角へとポイッと放り込み転送してしまったのだ。


風魔法便利過ぎる。羨ましい。


「あ、ありがとう御座います」


「いや、楽しませて貰ったからな。気にするな」


エル様は今まで見た事の無い少年の様な笑顔でニコニコとしている。

眩しい。目が潰れそうだ。


「楽しんで頂けた様で何よりです」


何とかエル様の顔を極力見ないように、目を細めながら笑顔を作る。


エル様と二人であの新しい鉱物の強度と性質を確認をしたのだが、結論から言うとアレは思ったよりも【柔らかい】。

男性であるエル様が少しだけ強い衝撃を加えると変形をしたのだ。

それはとても【加工がし易い】と言う事。


私には持ってこいの性質である。しかもこの山には豊富に存在する。

他の鉱物をぶつけると多少傷は付くが加熱、加工、磨きを行った後だとそれがとても分かりにくい。

大体の融解温度も分かった。

人体に影響が無いかだけは【鑑定】持ちの人に確認をお願いしなくてはいけないが、大まかな性質は分かったので持ち帰る事にした。


「ついでだ、ゲイルの所に持って行こう」


「え、コレをですか?」


「あぁ、ゲイルの所には物知りな精霊が居てね。何か知っているかもしれない」


「精霊様が!?」


信じられない。

精霊とは素質のある人間にしか見えず、さらにその声を聞く者は少ない。

精霊は魔力を食べる。なので一緒に居るという事はそれ程の魔力量を持って居る人間。

精霊が見えて、話しているアンバート家の皆様はやはり規格外である。

高位精霊であれば自身の存在を【見せる】事も出来るらしいのだが、私には縁の無い話だと思っていた。


「言って無かったか?」


「初めてお聞きしました…。やはりアンバートの皆様は凄いのですね…」


「ははっ。俺以外は皆優秀だからな」


「何を仰いますか」


ジトッとエル様を見ると彼はきょとんとした顔で首を傾げている。

まさか、本気でそう思っているのか。


「勿論、エル様も凄いですよ?」


私はグイッとエル様に詰め寄ると、エル様は後ろに少し仰け反る。


「そ、そんな事は無いが…」


「いえ!きっと周りの皆様が凄すぎるのでご自分の凄さが分かっていらっしゃらないのです!」


今日こそは言わせて貰おうとズンズンと前へ出ると、エル様は後ろに下がるのでいつの間にか近くに有った木が彼の背中の所まで来て逃げ道は無くなっていた。


「エル様は凄いです。沢山、沢山努力をされているのは少ししかお傍に居ない私でも分かります。

そして、努力してる方をきちんと平等に評価して下さいます。認められず苦しい思いをしていて、エル様に助けられた方は沢山居ると思います!


す、少なからず……私はその一人なのでとても救われたので……」


勢いよく迫ったのは良いものの、なんだが段々恥ずかしくなってしまって尻窄みに声が小さくなり下を向いてしまう。


妙な沈黙が流れた後、クスクスと笑い声が聞こえた。


「そんな風に誰かに評価して貰うのは初めてだ」


「み、皆思ってて言えないだけですっ!」


尚もクスクスと笑っているエル様に調子が狂ってしまう。今日こそは褒めちぎろうと思っていたが、考えていくうちにエル様との色々を思い出してしまい羞恥に悶えてしまった。

でも、私が言っている事は事実で本当にただ言えないだけだと思う。

アンバート家というだけで私では分からない重圧も有るだろう。


手で顔まで覆ってしまった私の頭を撫でている彼は、今どんな顔をしているのだろう。


「ありがとう、ロレッタ」


そう言う彼の声はとても温かい。



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