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久しぶりの投稿になります。

今後は此方を集中して投稿していきたいと思っていますので、宜しくお願い致します。


「本日は有難う御座います、ブルンドン伯爵。婚約者のロレッタ=キルフェットです」


「ロレッタ=キルフェットと申します。以後、お見知り置きを」



私達は仲睦まじく横に並び、お披露目パーティー訪問者の挨拶を受けている真っ最中だ。


あのダンス練習から本当に大変だった。

何がって、エル様と常に一緒に居なくては行けなかったからだ。

ラン先生からエル様がお休みという事も有るので御手洗、お風呂、睡眠以外は出来る限り傍に居ることを義務付けられ


『他に付け入る隙を見せてはいけません。ただでさえ嫉妬の対象に成りうるのだから堂々とイチャイチャしなさい』


と、言われてしまった。

堂々とイチャイチャするとはどういう事なのか…、結果的には分からなかったがエスコートには少し慣れた気がする。ほんの少しだけど。

エル様は、とてもスマートにエスコートをして下さる。流石、大人の余裕という感じで全く動じていない。


私は内心、バックバクのドッキドキなのに。

今は必死に演技をしているのだ。社交を頑張らねば、侯爵夫人にはなれない。



「いやはや、おめでたい。妻と娘のチェリーです。侯爵には是非ともうちの娘を……と思っておりましたが、いつの間にやらこんなに素敵なお嬢様を見付けて居たとは。隅に置けませんなぁ」


「ははっ、私もそう思いますよ。ロレッタ嬢が婚約者になってくれて嬉しい限りだ。では、楽しんでいって下さい」


有難い事に私は大概ニコニコ笑って居るだけで、エル様が全て受け応えをしてくれている。


だが、油断してはならない。


娘のチェリーさんとやらには、思いっきり睨まれてしまった。

またか…、と思う程胃がキリキリと痛む。


年頃の娘さん達には睨まれる、鼻で笑われる、泣かれる、大体この三択である。

エル様が居るので直接的に何かをしてくる事は無いが、中々精神的にジワジワとくる。目線が痛い。


私なんかが婚約者で申し訳無い。

だが、譲る事は出来ない。エル様直々に彼を癒す事を任されたのだから。


でも、女性の恨みはとても怖そうだ……。私、大丈夫かな。呪い殺されたりしないかな?



「疲れてきたか?」


「少しだけ。でも、大丈夫です」


「すまないな。もう少しだけ頑張ってくれ」


小声で気を使ってくれるエル様は今日も素敵だ。


「お兄様お久しぶりです」


「カレンか、久しぶり。遅かったな」


「ごめんなさい、後からの方が話しやすいと思ったから。早くには着いていたのよ?」


「そうだったのか、待たせたな」


「エルフィング義兄さん、お久しぶりです」


「リラも元気だったか?」


「はい、ご覧の通り♪」



訪問者の挨拶が一通り終わると、美少女とスラッとした男性が話し掛けて来た。

エル様の表情がとても優しくなった。どうやら、彼女が噂の妹さんらしい。


「紹介するよ。婚約者のロレッタだ」


「ロレッタです。宜しくお願いします」


「貴女がロレッタさんね、話は聞いているわ。

妹のカレンと申します。此方は夫のライラック、『リラ』は愛称の様なものなので其方で呼んであげて下さいまし。

兄の奥さんになるのは大変だと思うけれど、協力するから遠慮なく頼ってね」


「有難う御座います。そのお気持ちだけでもとても嬉しいです、カレン様、リラ様」


優しく、温かな言葉。

やはり素敵な人の家族は素敵なのだな、と心がジーンとした。


「いやはや、それにしても可愛らしいお嬢さんですなぁ!流石、エルフィングの義兄さん!」


「…リラ、少し声が大きいな」


「大丈夫です!親族以外には軽い認識阻害掛けてますんで!」


私は扇子で口元を覆いながらもポカンと口を開けてしまった。初めて聞く訛りだ。


「ちょっと、リラ。ロレッタさんがビックリしているわ。ごめんなさいね、いきなり馴れ馴れしくて」


「い、いえ。リラ様は遠方から?」


「あぁ、ロレッタ。彼が言っていた異世界からの転生者だよ。『マンガ』を作ったのは彼だ」


「え!?」


「宜しゅう~♪」



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