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クリア後の物語〜負けヒロインたちのその後〜  作者: 元田 幸介
エピローグ
49/49

佐藤とスズキ

「なーんかよ、めっちゃいいな」」

 高校に入学して二週間が経とうとしていた。いつものように一緒に帰っていると、佐藤はスズキにそんなことを言ってきた。

「どういうこと?」

「言葉通りの意味だよ。この学校、いいな」

「うん、キラキラしてる」

 互いに、それを上手く言葉にはできない。だがこの学校に生徒として足を踏み入れた時から、スズキも佐藤も心地よさを感じていた。

 それは新しい生活に胸を踊らせているからだけではない。幸せそうな顔をした先輩たちがいっぱいいたからだ。

「入ってよかったな」

「うん。でも、佐藤は本当によかったの?」

「何がだよ?」

「いや、多々良先輩いないの分かってたのに」

「はあ? なんでそこであの人が出てくんだよ?」

「いやだってさ……」

「そーいやあの人、あっちでレギュラーに選ばれたんだって」

 スズキがそれを言おうとする前、佐藤は風太郎の現況を説明した。

「へえ、そうなんだ」

「ああ。なんでも『やり残したことを解決できてスッキリした』んだってよ」

「そういえば帰ってきてたんだよね。なにか話した?」

「ま、いろいろな。といっても、あの人の親友のことばかりだけどな」

「この学校の人?」

「ああ、なんでもかんでも自分のせいだと思う、自意識過剰で加害妄想の激しい人らしい」

「面倒くさそうな人だね」

「だけどそれ以外は最高の男なんだって」

「へえ、会ったことある?」

「何度かな」

「惚れた?」

 軽いノリで聞いたセリフだったが、佐藤は不機嫌な顔になった。

「惚れねえよ。それにその人、彼女いるし」

「そうなんだ。じゃあ良い人なんだろうね」

「なんで彼女持ち=良い人なんだよ」

「付き合いたいって思えるのは、良い人に決まってるよ」

「分からないぜ。顔だけで付き合いたいって奴もいるにはいるぜ」

「たしかにいるだろうけど、それだけで判断して付き合っても、長続きはしないよ。やっぱり性格とか相性をじっくり調べないと」

「お前のいう調べ方って、具体的な方法」

「えーっと、やっぱり基本は会話でしょ。世間話とかだけじゃなく、プライベートなことを話せるようになるくらいの間柄になれば、相性はバッチリじゃないかな」

「へー」

「あくまで個人的にはだよ。そういう佐藤は?」 

「俺は少し違うかな。そんなおおっぴろげなことを言えるからって、相性がいいとは限らないだろ。『どうでもいい相手』だから言えるってこともあるんじゃないか?」

「う、うーん……たしかにそういう考えもあるね。でも僕はどうでもいい相手に大事なことを話さないよ」

「好きな相手には知ってほしいってことか?」

「そうだね。ま、色々と理屈っぽく言ってはみたけどさ、結局は『好き合ってたら自然に付き合う』んじゃない? たとえ言葉にしなくてもさ」

「いや、言葉は大事だぜ……」


 

 

 いつの間にか終わっていた失恋からようやく立ち直るきっかけが、目の前にあった。


 思い立ったが吉日。今日という明日は訪れない。



「なあ……俺ら、付き合わね?」



 佐藤亜以子は、鈴原鈴樹にそう言った。

 これにて終わりです


 次回作で会いましょう

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