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スクールド・レイティアスト  作者: 木乃里ミノリ
2/4

脱出

----地下1階の牢獄


とある青年老いた様な男性が机の前に座り出し、手紙を書く。

この牢獄から抜け出す為の脱走準備は出来ている。

ここにいては意味がない。もういつまでもここにいるのは限界を感じた。

ロープはあるし、監視役しているものを呼び出し、殴り気絶させるだけだ。


ここは不憫で不遇だ。

害を与えたやつは罰を、罰を与えられたものは絶望と失望を。

人の不幸は蜜の味というが、他人の不幸を喜ぶのが不謹慎で何が悪い。

他人の不幸を買い被る事によって優越感を保てられ、嘲笑い、自身を保つのだ。

自分自身というプライドを保つ為に。言わば自己防衛だ

不愉快で、思い通りにならない、劣等感こそが元凶の発端だ。

不愉快から始まったものは蓄積され、醜悪と執念と、憎しみと怨みが倍増され増加される。

いつかこの不満の吐け口を吐露したいのがいづれ傲慢となり、成長し、

吐き出したい思いが、誰かに告げたくても告げられない思いの丈が、

やり場のない、行き場のない思いが溢れ、零れ出し、暴れ出したくなり、発狂したくなり、

叫びたくなる。

フラストレーションが蓄積され、やがて嗜癖が増加し、頭がおかしくなる。

だから人は狂うし、叫びたくなるのだ。

精神崩壊もするし、過ちを犯し、非道の道に走るし、走りたくもなるし、逃避したくなる。

害を与えて来たやつが悪いし許せないのだ。

害を与えてなくても、疑問に思い、劣等感を他の優越感で紛らわせ、

気に食わないと思ったものは、試してやろうと実行、実践し、それを自分が悪いと思わない。

何故なら自分は正しくてやる事に意味があり、それ以外に他ならないからだ。

誰だって優越感と充実感を味わいたいものだし、優位性でありたいし、保ちたい。

蜜の味とはご馳走に過ぎないし、お腹を満腹にして腹一杯に満たすし、満足したいんだ。

言わば心の拠り所とした薬だ。これほど美味しいご馳走がどこにある。


なあ、少年-----。

手紙を書き終えた青年は警官に声をかけた。

青年「あの〜〜。お腹空いたのですが。」

乾ききった声で、青年は長々と鉄格子をばたばたと音を立たせていた。

若い警官「食事はもうすぐだ。大人しくしていろ。」

青年「そうですか... では......」

青年は20代後半であろう若い警官の首の襟元を掴み、顔面を殴り、更に首を平手でやり、

気絶させ、地面に這いずりさせポケットから銃を取り出した。



ーーーーーパァァァァァァァァァン!


天井の天井口の方を打った後、銃声の音が跳ね返る様に響き、出入口である扉の前に立っていた

ベテランであろう警官2人のうち1人が、電話線で急ぎ本部に連絡し、もう1人は音を聞いたと同時に走り、鉄棒を取り出し、音のなった牢へと見をやった。


「おい!何をし....」

警官の声を聞くまでもなく、青年は先ほどと同じ手口で手をやり、今度は鉄棒で人体の急所である脛を狙った。


「ぐ・・・あっ......」

警官はその場で倒れ、這いずりさせ、腰にかけていたポケットから鍵を取り出した。


「お.・・・・の...れ...」

警官は激痛が走り身動きが取れなくなっており、息も途絶えそうになっていたが、

鍵を開け牢から出られた青年は、警官は目が朦朧と息絶えになっていながらも

青年の足首を捕まえていた。


「ふんっ.....終わりだ....」

その場で首元を狙い気絶させ、男の服を根こそぎ脱ぎ取り、警官3人を全員牢へと追いやり、鍵を

掛けた。

鍵はもちろんポケットにしまいそのまま持っていく。


さぁ、どうしたものかな。

10年だ。10年前俺は地下牢に監禁された。

幼い頃に早くに両親を亡くし、養子として引き取られ、

その先に待っていたのはただその本当でもない両親に虐げられる日々だった。

母の方は金はいらないと言っているのに対しそいつは話を聞かない。

話を聞いていると、どうやら金を使って毎日遊んでいるらしい。

自分を引き取ったのがどうやら俺の家庭財産目当てであるらしいことが分かった。

俺を引き取ってくれた父親の従兄妹である母も家庭が上手くいかなく

そいつに金を虫歯られていく日々ばかりで、嘆いていた。

2ヶ月も経つと母親も金を求めるようになっていき思考不能となっていった。

いつしか母親は「引き取るんじゃなかった」と嘆いていく様になった。

俺は何で虐げられるんだ、この2人はなんでいつも喧嘩しているんだ。

毎回喧嘩しているのを見ると、見ているこっちは心の中にぽっかりと穴が開いたような感覚。

寂しい、やめてくれ、なんで俺はここにいるんだ。俺はここにいる必要がない。

それなのに何故だ?分からない、分からない....。

学校に行っても何をしても喜怒哀楽という感情が日に日になくなっていく。

分からない。金が欲しいからってそこまでするか?意味がわからない。

理解不能だ。理解したくもない。何を言われても何も思わない。


「は....はは....」


そう、引きつり笑いながら、気がつくと呆然としながら帰り道を歩くようになっていた。


我慢の限界となった俺はいつしか傲慢となり、やりたい放題に声をかけてきた奴には気に食わない奴を

殴っていた。その生徒には「教師には言うなよ。言ったら本気で殺す」といい脅し、

笑いながらこれで満足と笑っていたのだ。


「頭イかれてるよ.......あいつ.....」


感情が亡くなる前までの元友達だったそいつは俺を見てそう言った。

数日後教室前の廊下を歩いているとそいつはすれ違いざまに、俺に近づいて歩いてきた。

蔑むような目で見ることもなく、目が合いそうになるものの目を合わさず途端に歩を止め、

顔も見ずに後ろを向いたまま声をかけてきた。


「お前.....やってて楽しいか?」


何を思ったのかこいつは質問を投げかけてきた。


「だから.....何だよ?」


何を思ったのかは知らない、けど俺はこいつに質問しなかった。



「何でもない......」


そう言ってあいつは無表情でそのまま自分の教室へと戻っていった。


「何だよ....。あいつ....」

そう言って舌打ちしながら俺も自分の教室に戻ると不隠な空気が漂っていた。

恐怖対象となっており、周りからは引かれていたのだ。

当然だ。教師は何かあると俺に目を掛け監視対象となっていた。

その日家に帰って自分の鏡を見ると目の下にクマができており、顔はまるで老け痩せていた。

そういえば食事をまともにとっていないことに気がついた。



「はっ。こんな顔で学校なんかいけるか、誰が行くか。」



後日、6歳となった俺は本当の親ではないからいいだろうとナイフでその親を殺し、



「は.....ははっ」



気がついたら何度も刺し、笑っていた。



「この人達が悪いんだ。」


ーーーーー死体は放置、鍵を閉めて家を出た。



「さようなら。」



そう言って、家を出た後、数日間俺は電話もせず学校にも行っていなかったため

生徒から話を聞いた教師たちが俺の部屋を訪ね、死体を見た教師たちは警察に連絡をした。

中はすでに死体の匂いで充満しており、虫たちが近寄っていた。

親の財布を取り出し数日間歩き回っていた所を教師と警察が、

ついに俺を見つけ、俺に質問を長々と掛けていたが何も答えなかった。

逃げる必要もないし、答える必要もないと思ったからだ。

というより何も答えたくなかったと言ったほうが正しい。

そうして捕まり、監禁されてから10年が立ち15歳となった。



ここから出るのに随分長かったよ。ドラルタ。

ここからの始まりだ。

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