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無限の投資
外を見ると、集団で登校している小学生や、遅刻しそうで走っている中学生が目に入る。
私、高橋結衣はこの春から高校生になります。
もうこんな時間だというのに、私は布団の中で暖かな日差しを堪能しています。
しかし問題はありません。
私の高校は通信制だから。
通信制高校は、自宅で取り組む課題がメインなので、普通の高校生に比べて多くの自由時間があります。
なので、私はその資産を惜しみなく布団に投資しているのです。
ああなんてよい一日なので…
「起きなさい!!!!」
荒々しく開いたドアとともに放たれた、母のその一言でこの素晴らしい時間は終わりを告げるのでした。
しかし、私は本能的に投資をし続けます。
ああ、これがギャンブルに依存した人の感覚なのか。
そんなことを考えながら、敵の攻撃に耐え続けているとやがて勢いが弱まり、ドアの閉まる音が終戦を知らせるのでした。
そして私は、少しばかりの優越感にひたりながら、深く深くへと落ちていきました。