異世界転生
僕は不死川誠也。
どこにでもいるごく普通の大学生なのだが、僕は今何故か真っ白で何も無い空間にいる。
ここどこだろう…
周りを見渡してみると一人の人影が見えた。よく見えないのでもう少し近づいてみる。ほう、大きな鎌を持ち黒いローブで身を包んだ黒髪で容姿端麗な女の子だ。
誰だろうか。
謎の黒髪美女は何故かこちらを横目で見て気まずそうな顔をしている。
何か後ろめたいことでもあるのだろうか。
他にすることもないのでこの黒髪美女に話しかけることにした。
「すいません、ここはどこですかね? 気づいたらこの場所にいて…どういう状況かわからないのですが。」
昨日の夜寝転がりながらYouTubeを見ていたのが僕の最新の記憶だ。
そのまま寝落ちしてここは夢の中ってことかな?
「……」
「あの…どうしましたか?」
「あ、えっと、その……なんて言ったらいいか…」
黒髪美女は両手の人差し指を合わせて気まずそうにしている。
「よし、簡潔に言うのじゃ。誠に申し訳ないのだが、これは夢じゃないのじゃ。そして君は今朝死んでしまったのじゃ…」
ん?何言ってるんだこの子は。僕が死んでしまった?
「すいません、ちょっと理解が追いつかないのですが…」
「順を追って説明しよう。まずわしの名前はアルカナ。死神というものをやっておる。寿命のきた人間の命を刈り取る仕事をしているのじゃが、その…わしの不手際で君の隣の部屋で寝ていた君の祖父と間違えて…君を死なせてしまったのじゃ…その…すまんのじゃ…」
まじかよ。僕神様のミスで死んじゃったのかよ。なんか儚い人生だったな…
てかおじいちゃん今日が寿命だったの!?まじかよ…昨日まですごい元気だったよ。
「んーびっくりしましたけどまあいいですよ。それで、僕はこれからどうなっちゃうんですか?」
アルカナは少しほっとした表情をして僕の言葉に返答する。
「わしのミスで死なせてしまったのじゃから元の世界に戻してあげたいのじゃが、君が元々いた世界は大気中に魔力がほとんど無く、転生や蘇生を行うことが出来ないんじゃ…じゃから他の世界に転生することになるんじゃが…」
ほう、他の世界か。それはそれで面白そうだな。
「いいですよ、異世界ってなんだか楽しそうです。」
アルカナは少し驚いた顔をした。
「なんだか妙にあっさりと承諾するんじゃな、元の世界に未練などはないのか?」
アルカナは僕に問いかける。
「いえ、未練はありますけど、どうせ元の世界に戻ることは出来ないんですし、他の世界に転生させてくれるだけありがたいです。」
「ほう、そうか。ではせめてもの餞別としてわしの力の一部を君に授けよう。むこうの世界で生きていく助けになるはずじゃ。あと、むこうの世界にはステータスというものが存在している。着いたらまずステータスオープンと呟いてみてくれ。ステータスウインドウというものが開く。」
へえ、ステータスか。ゲームみたいだな。
「分かりました。」
アルカナは地面に魔法陣のようなものが描かれた紙を置いた。
「ではこの魔方陣の上に乗るのじゃ。」
僕は言われた通りその魔法陣の上に乗った。すると地面、いや魔法陣が急に輝きを放ちだした。
瞬く間に僕の視界は真っ白に埋め尽くされアルカナの姿も見えなくなった。