表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LEVEL3 -地図にない島-   作者: しろながすしらす
7/18

第7話 能力発現!?

「どうかしました結衣さん?」


 結衣さんはすぐ後ろに置いてあった直径30センチほどの石を見つめていた。

 すると、結衣さんは石を確認するように触ったあと、何と片手で石を軽々と持ち上げた。


「えっ! 結衣ちゃん怪力!?」


 圭太が驚き立ち上がった。


「違います!」


 結衣さんは強く否定した。


「何かこの石まるで重さがないようにすごく軽いんです。さきほど石に少し触れただけなのにすごく動いたので何かなと思ったんですが……」 


「んなアホな、どれどれ」


 圭太が結衣さんの持っていた石を両手で受けとった。


「えっ、マジだ! 軽っ!」


 圭太も軽々と片手で持ち上げた。

 圭太は軽さをアピールするために片手に持った石を上下に素早く動かした。


「えっ何これどうなってんの? 何でこ――」


 石が突然本来の重さを取り戻したかのように重力にしたがい地面に圭太の手ごと打ち付けた。


「いたぁぁぁぁぁ!!! 痛い! いやこれ普通に重っ! ちょっ誰か助けて!」


「おいおい、大丈夫か」


 俺は圭太の手の上に乗っかている石をどけた。

 見た目通りの重さだった。とても片手で上げれるようなものじゃない。


「サンキュー海斗! あぶねぇ、下が砂浜で助かったぜ」


 圭太が少しつらそうな顔をしながら手をパタパタさせていた。


 結衣さんは石の方にじっと視線を向けた後、もう一度、石を片手で軽々と持ち上げた。


「何これ?」


 持ち上げた本人も理解不能な様子だった。


「おそらく能力が発現したんだろう」


 一連のやり取りを見ていた真が口を開いた。


「これが能力?」


 結衣さんは不思議そうな顔をしながら石を見つめていた。


「ああ、おそらく物の重さをなくす能力じゃないか? 見たかぎりだと東雲さんの手から離れて数秒すると元の重さに戻るみたいだな」


「マジかよ。んじゃとりあえず海斗持ち上げてみて」


 圭太が潰れた方の手をさすりながら言った。


「いや何で俺だよ」


「やってみます!」


 やんのかい!


 しかも、結衣さん何故か乗り気だ。


「それでは失礼します」


「えっ! ああ、はい」


 結衣さんは「んー」と声を出しながら必死に俺を持ち上げようとするが、まったく上がる気配はない。

 そんなことより、さっきから結衣さんが必死に持ち上げようと抱きつくたびにやわらかな膨らみが……

 俺はこのささやかな喜びを悟られないよう全身全霊かけてポーカーフェイスを気取った。


「ダメです。全然上がりません」


 ありったけの力を出し切った結衣さんは顔を真っ赤にしぜーぜーと肩を上下に動かしていた。

 もう少し頑張ってくれても良かったのに……


 ふと一条の方を見ると悪鬼のような形相で俺を見ていた。


「もしかしたら、生き物とかは無理なんじゃないかな」


 俺は動揺を隠すように慌てて口を開いた。


「なるほどねー、ん? 海斗、何かお前汗かいてねぇか?」


「へっ? そうか。食後だから体温が上がったのかもな……」


 圭太は何故こういう時にかぎって察しがいいのたろうか。腹立たしい。


「海斗くんは代謝がとてもいいんですねー」


 一条が敬語で喋りながら俺に嫌な視線を送ってくる。


「……まっまあな」


「やっぱり、簡単に持ち上がります」


 結衣さんがさっき持っていた石を持ち上げた。


「あそこの石は持てるか?」


 真が結衣さんとほぼ同じくらいのサイズの岩を指差した。


「あれはさすがに無理なんじゃ……」


「やってみます!」


 すると結衣さんは自分と同じサイズの石を軽々と持ち上げた。


「これは悪鬼を倒す有効な手段になるかもな」


 真が考えるような仕草をしながら言った。


「いいなー、俺だけ置いてけぼりかよー、俺も何か全身の筋肉がムキムキになるような能力に目覚めないかな」


 圭太がムキムキになる姿を想像してみる。

 うん、キモいな。


 食後、浜辺などあちこち調べたがめぼしいものは見つからなかった。

 日も落ち暗くなってきたため、また改めて次の日に探索することにした。


 何か少しでも脱出のヒントとなる手掛かりがないかと期待し帰りは行きとは別のルートで集落に向かうことにした。

 集落に向かう途中に一条が何かを発見した。


「ねぇ、見て何あれ?」


 一条の視線の先を追うと地面に大きな凹みがあった。凹みの中心から外側に向かうにつれて地面が盛り上がっていた。


「何だこれ?」


「これってもしかして隕石の後……」


 結衣さんが手を顎に当てながら考える様子で地面を見ている。


「そういや村の外れのあの変な板に隕石が落ちてどうとかって書いてあったよーな気がすんだよな」


「たしか、隕石が落ちて原因不明の病気が流行した……、でしたっけ?」


 言われてみれば隕石が落ちた後にも見える。

 あの薄君の悪いシナリオと同じだ。悪ふざけでこんな跡をつけたのか? 


 いやでも人工的にこんな生々しい跡をつけることは可能なのか。

 悪鬼の存在といい、隕石といいまるで、過去に本当にあのシナリオ通りの出来事があったみたいだ。


 でもあの村の外れにあった掲示板は昔からあったというより、明らかに誰かが俺達に向けて意図的に作ったものだ。

 古臭くて不気味な感じを漂わせているが、板の形、木の質感はつい最近手を加えられたものって感じがした。


 それにあの集落にある家や物は汚れや埃がひどく目立った。にも関わらず、あの木の板は埃や汚れがまったく見当たらなかった。


 あの集落はおそらく本当に昔からあって人が住んでいたのだろう。

 しかし、あの掲示板は明らかに後から作られたものだ。


 俺らをこの島に連れてきたやつの目的は一体何なんだ?


 あのシナリオを再現しようとしているのか? 


 俺達は今後一体どうなるのだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ