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蓮姫降臨  作者: Roppu
7/13

クラガリの姫

「あれ、昼間の」

蓮姫によって強化された視力は、夜間でも十分に相手の表情まで見分ける。

間違いない。弓道場で蓮姫が絡んだあの先輩だ。


クラガリ独特の蒼いオーラ。よく見れば、彼女の纏う十字のタスキが、まるで。。。

「舞装!」


蓮姫は黙ったままだ。渡部璃子は躊躇なく矢を弾きしぼる。その距離30メートル。弓道部の役付ともなれば必中の距離。

微動だにしない蓮姫。璃子の矢じりが鋭く光る。弓も複雑な模様が刻まれた、赤弓。競技用でない。業物だ。


えっこれってやられちゃう。だが次の瞬間、蓮姫はなぜか後方に意識を巡らす。そして断末魔!

違う、叫んだのは私の後方から襲いかかった新たなサキガケだ。頭部はどれも矢に貫かれている。その数三体!


「やはり、あの弓使いの娘か」

蓮姫の声。

全ての者がクラガリに屈するわけではない。強固な意志の力を持って、クラガリの支配を逃れ、その霊力だけを取り込む者もいる。渡部璃子もその一人だ。

「孫だ」


雅凜消摩弓継承者、渡部璃子。出家した兄になりかわり、古代に源流をなす、弓による降魔行を継ぐ((者。三体同時攻撃は昼間の「お礼」ということだろう。


だが、戦闘は継続していた、空中に舞い上がるサキガケども。十体を超えている。再び、璃子のフタツヤが最も近いサキガケを撃ち抜く。この黒衣を纏うサキガケは蓮姫の真舞装には屈服しないようだ。


出しぬけに蓮姫の「声」が響き渡る。鋭い高音だが、全く意味をなさない不思議なシラブル。日本文字以前の古代の言霊。


気づいたのは、それが道端の小さな祠に向けられていることだ。距離にして約10メートル。そして強化されている私の聴覚が複雑な金属音を捉える。と同時に、祠から何かが飛び出した!何百年も眠っていた古代のカラクリが、蓮姫の戦闘支援システムが起動したのだ。


サキガケの爪をかわし、空中へ舞い上がった蓮姫がそれー炎龍月笛をキャッチする。着地と同時に笛の音が響く、苦痛の唸りを上げ、サキガケは一斉にこちらを向く、そして、

「こら天平娘!これって逆効果だから」

笛の音に逆上したサキガケは一斉に蓮姫に飛びかかる。無表情の伎楽面が至近距離に迫る。


無数の爪が考えられ得るすべての私の急所を切り裂く寸前、蓮姫は舞装をパージする。「舞装変形。月の舞」


大輪の花の如く、最外層の天平衣が解放され、新たな色彩が現出する。叢雲の文様、紫を基調とした退魔色調。時間が止まったかのように、ゆっくりと回転する蓮姫の舞。月の光を強く反射し、天平衣がたなびく。


さしもの強化サキガケも至近距離での退魔攻撃にたまらず、蒸発する。否、後方のサキガケは前衛を盾に辛くも直撃を避けたようだ。


強力な全方位攻撃。体術を主とした通常舞装をはるかに超える威力は、単独で戦う蓮姫の切り札なのだろう。


それでも残ったサキガケ三体が警戒しながら、蓮姫を取り囲む。たなびく舞装を完全に切り離す。月の舞の有効時間はわずかだ。


「でも何か」

(おかしい。。。)

私と蓮姫の思考が連動する。


再び新たなサキガケが出現。渡部璃子はすかさずフタツヤで応戦。だが強化サキガケの一体が、それをかろうじて交わす。


奴らが本気なら、一斉攻撃を繰り返すはず。。。。だが、明らかに奴らは。


「陽動だ。クラヤミはどこか別に」

そう叫んだのは璃子だ。彼女も気づいている。そして、私のスマホが鳴る。


(ちょっと代われ)

だしぬけに体のコントロールが私に戻る。これって、戦闘中!

右手は蓮姫が使っている。

「こら戦闘中にLINEするなー」


急にぎこちない動きをする私を甘く見たのか、サキガケの一体が襲いかかる。


ちょっと待って!

(跳べ。イブキは十分取り込んである)

蓮姫の声に、反射的に上方へ跳躍する私。予備動作もなしで、3メートル近くの空中に飛翔する「すごい」はじめての空中機動。意外に舞装が軽い。


虚をつかれたサキガケの体に矢が突き刺さる。「ここは任せろクラガリはおそらく旧市街だ」再び叫ぶ璃子。


(奴らの狙いは。。)


LINEを打ちながら、蓮姫は指示する。

外京へ向かえ!敵は。。。


蓮姫は璃子にアイコンタクトを送る。

わたわたと着地する私。外京?市街東部?


「任せろ。県大会前のいい練習だ」

璃子の背中に7つ矢筒。100本を優に超える矢を背に、再び複数のサキガケを撃ち落とす。私の退路を開くように。


そして、私は駆け出した。仕方ない。天平娘はLINEに夢中だ。


自分の走る速さに驚きながら、ちょっと思った。あれだけの矢を持って通学。璃子先輩、お疲れ様です。これまた重量級のかばん達をひっ掴みながら。同情を禁じ得ません。。。


そして私はさらなる深みに、妖の古都の争いに巻き込まれていった。


目指すは

(古都最東部、正倉院!)



















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