昔
俺は夢の中で自分の少年時代に戻っていた。
今よりも一周りも二周りも小さい自分の体。
周りにはすべり台やブランコなどの遊具があり、
そこでは俺と同じぐらいの子達が楽しそうに遊んでいた。
俺はそこにあ然と立ち尽くしていた。
急に視界が暗くなった。
いや、視界がなくなった、と言ったが正解だろう。
頭の上からなにか被せられた。黒のビニール袋のようなものだ。
俺は息苦しさを覚え、必死に脱ごうとした。
しかし、誰かによる仕業らしく、小さい俺の体では全く歯が立たなかった。
ふっと体が持ち上がる。
なにかに抱き抱えられた。
俺は怖くなって必死にもがいた。見えない相手を蹴って、殴った。しかし、びくともしなかった。
俺は必死に声をだそうとした。しかし、全く声が出ない。
(死ぬ……。)
「神月!おい、神月!」
「……はっ!」
目が覚めるとそこはベットの上だった。
全身が汗だくだった。
(助かった……。)
心の中に安心が広がっていく。
俺は横にたっている吉井かずを見た。
かずはとても心配そうな顔で俺の顔を見ていた。
「どうした?大丈夫か?すごくうなされてたぞ。」
「ああ、だいじょ……!!」
俺は言葉の途中で俺がなぜここにいるのかを思い出した。
(……こいつ…。)
俺は裏切られた気持ちしかなかった。
「かず、お前、俺を裏切ったな。俺お前がそんなやつだとは思っていなかった。」
かずの顔に驚きが表れる。
俺はこれ以上いると、手が出そうだった。
ベットから降りると、保健室にかずを残し教室へと戻った。