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突然の別離(貴文視点)



最近あいつの様子が変だ。


あいつと言ったらあいつ、……まどかだ。


パーティーの後くらいから、いつも通りのようで、どこか一線引き気味の態度が気にくわない。でも家の仕事で手を抜くわけでもないから何も言えない。


一体何なんだ?


詩織さんとカフェで遭遇した時も、「貴文さんとごゆっくり」とか……どういうつもりなんだか。

あの後追いかけようとしたら蘭に止められて、結局詩織さんとお茶したんだよな。

大半が兄貴とのノロケだったけど。



まぁ、なれないパーティーに行かせて疲れているのかもしれないし、幸い今日は休みで時間があるからどこか連れて行ってやるか…


そう思い部屋を出たところでチャイムが鳴る。


「あ?誰だこんな時間に。」


まどかが応答するとインターホンから『あ、まどかちゃん!お待たせ〜!!』

蘭の元気な声が聞こえてきた。



「いいえ。いま降りますので。ーーーでは、貴文様、出かけて参ります。夕御飯は冷蔵庫の中にありますので温めてお召し上がり下さい。」


「え?あ、あぁ」

一瞬展開について行けず、まの抜けた返事をしてしまった。



何で蘭とまどかが??




急いで家を出て後を追う。

陰からコッソリと覗き見ると、2人が笑顔で話していた。

ていうかまどかもまどかだ。

何だあのワンピース。


俺は見たことないぞ。それだけオシャレして会いたかったってことか?


悶々とする貴文の目の前で蘭がまどかの手を引いて歩き出す。



ちょ、いきなり手を繋ぐとか!

ていうか、恋人繋ぎしてんなよ!



ガチャーン!!!



付いて行こうとしたところで飾られていた植木鉢をひっくり返し、通りすがりの散歩中の犬に吠えられ飼い主には訝しげに見られ、散々だ。



その後もランチに買い物に、と、2人はあちこち動き回る。


楽しそうな蘭に、時折ほんのり表情を崩すまどか。なんかいい雰囲気だ。



「ーーなんだよ」


何してんだ俺。

休日に友人と使用人のデートを覗き見って趣味悪すぎだろ。

胸がムカムカするのを吐き出すように息をつく。

それでも、よく分からない苛立ちは消えてなくなりはしなかった。


「もう帰るかな……」



水族館を寂しく一人で歩きながら呟く俺の目に飛び込んできたのは。


泣いてるまどかの姿だ。



ベンチに腰掛けて肩を抱かれるまどかを見て、衝動的に飛び出していた。



「ーーー何うちの家政婦を泣かせてんだよ」



こんなことしか言えないくせに。


胸が苦しくなる。



「泣かせてんのは誰だよ」



これは、本気で怒った時の蘭だ。


泣かせてるのは誰だって、どういうことだ?


「…っ蘭さん、」


蘭の袖を引くまどかを見て、苛立ちと胸の苦しみが強くなる。



「俺本気でまどかちゃんを口説きたいからさ、いくらタカでも横槍入れてほしくないんだよね〜。てことで、まどかちゃん、うちの屋敷に来ない?」



蘭、本気か?いや、こういう時の蘭は意志を曲げないし本気でしかない。必ず実行する。


まどかが何やら蘭に返す声が聞こえるが、どんな顔をしているのかは見えない、いや、見れない。



「…涙は止まったみたいだね。ご両親のこと考えちゃって辛いなら、ここまでにして引き返そうか〜。やること増えたし!…てことだから、タカ。」



あぁ、まどかは両親のことまでもう蘭に話したのか……そうぼんやりと頭の隅で考えながらゆるゆると顔を上げ蘭を見る。



「俺は、泣かせない。」



そう言い残して立ち去る2人がを、目で追うことさえ出来なかった。

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