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名探偵登場

作者: 鮎沢琴美

 今まで数々の難事件を解決してきた。

 克明に記録してある。単独犯、複数犯を含め今まで検挙してきた殺人犯の数は999人。

 今回もまた事件現場に呼び出された。私は警察官ではない、通りすがりの私立探偵だ。噂がうわさを呼び、遠方からも声がかかるようになった。なんせ担当した事件はすべて解決なのだから。


 今回の現場は千代田区、被害者は玄関で何者かに襲われ下駄箱を背にして絶命していた。手には1000円札を握りしめていた。もしかすると何かのダイイングメッセージであるかも知れない。しかしこれは刑事ドラマではない、ダイイングメッセージなど虚構に過ぎない。そもそも自らが死にかけているときに犯人の痕跡を残そうなどと頭が回るだろうか。それより痛みとか生への欲望で頭が一杯ではないだろうか。というわけで一つの仮説を立てる。たとえば何か出前を取っていた、もしくは宅配便を受け取ろうとしていた。玄関先で現金といえばこんなところだろうか。いや地域の会費を集めに来たとか遊びに来る友人に1000円を借りていたとか、可能性としてはまだまだありそうだ。犯人は被害者を良く知る人物か宅配業者か、謎は深まってくる。


 おかしい、これまでの900件余りはピンときてズバッと答えを導き出したはずだ。何だろう、偉業を前に気持ちが高ぶっているのだろうか、いかんいかん。ん?偉業。もしこの犯人が逮捕されれば記念すべき1000人目の殺人犯ということになる、そして1000円札、千代田区、なんだなんだ、出来すぎている。もしやこれは何かの罠か。ん、この被害者どこかで見たことがある。頭が混乱してきた、私はここに呼び出された。ん、手には手錠、後ろには警官。ああ、思い出した。

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