I have a friend
私は英語が嫌いな中学三年生。親に無理やりホームステイに行かされる事となった哀れな女の子です。中三なんだしさ、恋愛とかしたいじゃん。ま、友達のいない私には遠い遠い夢ですけど。
そんなこんなで今アメリカのセントジョージ、ユタ州に来ております。塾から来ているものの友達などできるはずもなく。学校と同じく一人な私。先生とかさ、心配してくれるのはいいんだよ。でも、どれだけ心配してくれても友達はできないわけでして。あー、やれやれ。
もう日本に帰るまで三日だよ。こっちに来てもう三週間とか。はやいねえ。まあ、楽しいとは言えなかったけど。ホストファミリーは優しいし、授業も楽しい。でもさ、友達一人もいないとなると正直きついわ。日本で一人なんて慣れていたはずなのに。
今日は午後から川へ遊びに行くそうだ。もちろん遊びに行ったところで独りですけど。
で。もちろんのこと一人で川で遊ぶ訳もなく、近くの岩場で涼んでいます。独りで。見かねた外国人教師(彼は日本語も少しは喋れる明るい人)ジョーン先生がそっと隣に座った。私は気にせずボーッとしていた。だって、先生と何話すのよ。日本語って言っても少しよ?先生が喋れるの。
「みんなとは遊ばないのですか?」
まあよく出来た日本語で尋ねるジョーン先生。優しいですね。でも私今疲れているんです。口を開けばイライラが出てしまいそう。わかっていたけど止められなかった。
「遊びませんよ。私一人なんですから」
もちろんのこと日本語で返した。トゲのある口調で。でもジョーン先生は話続けた。
「私も一人の時ありました。中学一年生の時です。日本に留学したばかりで友達ができませんでした。全く日本語がわからなかった。でも何年か経つと友達出来た。みんな優しかった。だからアナタも大丈夫。友達出来る」
下手くそな日本語でも何故か心に響くモノがあった。でもすぐに素直になるのは無理なもので。つい強く当たってしまった。
「でも、私に友達なんていません」
先生は少し考えて言った。
「私が友達です」
そのジョーン先生の一言依頼先生と仲良くなった。新しい英語のフレーズを教えてもらったり。お土産を買ってもらったり。日本について話したり。正直なところ楽しかった。同学年と話しているよりかはジョーン先生といる方が楽だった。
気づけばもう帰る日になっていた。バスに乗る直前。
「もう、お別れですね」
先生は相変わらず下手なイントネーションで。私はこれだけは言わなければ。と口を開いた。
「I do not always have anything to do.because...」
私はいつも暇です。何故なら・・・。これは先生が教えてくれたフレーズ。私はこの後「何故なら私に友達はいないから」と続けるつもりであったが。私は言い換えた。
「I do not always have anything to do.because...No.
I have a friend.」
私はニッコリと笑いながらでも流れる涙は止まらないままそう言って先生に抱きついた。ホストファミリーとの別れの時は全く泣くことすらなかったのに。
先生の笑顔と大きなお腹と体温が私に生きる勇気をくれました。私ももう少し生きてみようかな。
これは私が中学三年生の頃ホームステイに行った時の物語です。