表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍は死してなお死なず  作者: とんかつ
68/69

第68話

若干修正。

「ん?」


くいくいと袖を引かれたので見てみると、今命名された四人が俺の袖を握っていた。

ウチら本当にこの名前で確定なん?

どう考えてもそう言っていた。眼で。

付けられた名前に不満はあるが、敬愛するウーロボロス様の付けた名前に文句は言いにくい。そう物語るかのような悲痛な目である。


「あー。ウル?」


「んー?」


いくらなんでもこの名前は安直過ぎると俺も思うので少し助け舟を出してみることにする。

振り返ったウルの笑顔が眩しい。


「その、いい名前ではあるがな。もっと色々……そう、他に候補とかなかったか?」


「あったよー!!」


その言葉をウルが言った瞬間、四人の顔が輝いたのがなんとなく分かった。


「そ、そうか! じゃあそれも教えてくれないか?」


「んふー。聞きたい?」


「ああ」


「仕方ないですねー。教えてあげるですよー! まずアカちゃん!」


「は、はいっす」


呼ばれた赤髪が返事をする。その際、掴まれた袖がギュッと強く握られた。


「貴様がリュウ子」


「は、え?」


「次にアオちゃん! 貴様がタツ子!」


「あ、あらあら?」


「それでミドちゃんがドラ子」


「ほあー?」


「最後にチャーちゃんが小龍しゃおろん


「……かっこいい」


……ほとんど同じじゃないか。

どう? どう? と聞いてくるウル。

尋常じゃない命名センス。数千年は生きている筈なのに発想がまるで子供だ。


「ウル」


「今の名前……名前? とさっきの名前で迷ったのか?」


「? うん」


「俺もさっきの名前の方がいいと思うな。うん」


「えへへー。やっぱりー」 


こうして彼女らの名前は決まった。

初めの名に再決定した時、安心したように袖を離したので四人もこれでいいと思ったのだろう。一先ず一段落だ。


「……そっちでもいい」


「あっ! 自分の名前だけカッコいいからって!! だめっすよ! だめだめ!! うちらはアカ、アオ、ミド、チャで決定っす! けってーい!!」


「……残念」


「あらあら」


「ほあー」


……ひと段落だ。




それにしても……と周りを見渡して思う。

独りで始めた復讐なのに、いつの間にか周りに多くの人がいる。

復讐なんて孤独にやるものだと思っていたのに、厳しいものだと思っていたのに、俺は今こうして大勢と笑いあっている。

奴と再会できた。次の目標も決まった。その時は着実に迫ってきている。


焼ける様な強い気持ちが消えないまま、俺は笑えている。


まだ礼は言わない。

言うのは復讐を果たした時にしよう。そう決めた。


少しずつ夜は更けていく。

そうしたら朝が来るだろう。


一日程度睡眠を抜かしても、龍にとって何ら問題にはならない筈だ。

たまには朝が来るまで語り明かしてもいいかもしれない。

ここにいる龍達のことを色々と知りたい。そう思ったから。


明日になればもうここには居ない。

新しい街に行き、また新しい街に行き、渡るように種を蒔いていく。

辛くは無いかもしれないが地道な道のりになると思う。


全員が着いてきてくれる。

全員が一緒にいる。

何も夜通し話す必要なんか無いだろう。

明日だって、明後日だって、語り合える。

それでも。

今みんなと話をしたい。そう思ったから。


次話あたりから、多分、おそらく、場面が移ると思います。

上手く書ければ、ですが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ