森の中で出会いました
だんだんと気配が近づいて来て
ガサリ と目の前の茂みが揺れた。
・・・あの・・人です・・よね。熊っぽいってちょっと思いましたけど。
うん・・何かその人の周りに変な威圧感漂ってるけど・・。
身長でかいですね。私も父に似て高身長で男に間違われるのですけど、私よりでかくて
2メートルぐらいありますよね。
いやいやいや 人は見た目じゃなくて中身!そうですよね、お父さん!
それに顔が異常に怖いだけであって顔は整われてますし、赤い燃える様な髪に氷の様な冷たい水色の
瞳がとても綺麗だ・・・。
ぼうっと少しの間その人に見とれる。よく見るとそんなに怖くも無いんじゃないかな。
「おい 大丈夫か?」
その人が近寄ってきながら私に問い掛ける。
「はい・・」
座ったまま答える。
「・・・お前は俺が怖くないのか?」
その人は表情こそ無表情でいるのだが驚きを混ぜた声で聞いてくる
別に慣れれば全然怖く感じないのだ。
「はい・・あの、助けていただけるのですか?」
そう これが一番大事だ。この人が助けてくれないと次は何時人が来るかわからないのだから。
でもこの人悪い人だったらどうしよう・・。そんな事はないと思うのだけど・・。
もしそうだったら全力で逃げよう。今はこの森から出してもらいたい。
「その為にきた・・この森を出る。歩けるか?」
「はい・・痛っ!・・・」
立ち上がると足首が痛んだ。どうやら軽く捻挫していたようだ。
「・・無理そうだな。おぶろうか?」
彼からの提案に一瞬思考が止まる。
・・いや~その~私男性に接触する事なんて無かったもので~
恥ずかしいじゃないですか~。あはははは~
というくだらない事を考えた。
「ほら、乗れ」
そう言いながら背中を差し出してくれている。・・いい人だ。
・・これ以上待たせるのもアレだし。ここは御好意に甘えて・・・。
むしろ私の事男性だと思ってるんじゃないですか?うん、そうに違いない。
今の格好も男装といっても差支えない格好だし。
「で・・では御好意に甘えさせていただきます」
「ああ、どうぞ」
彼の背中におぶさる。
正直言って恥ずかしい。幼い頃父にしてもらった事はあるものの恥ずかしい。
いい大人が知らない人にしてもらうのは恥ずかしい。
「お・・重かったら降りますので言って下さい」
「いや、重くない軽いぐらいだ」
「そ・・そうですか」
「ああ」
そんなやりとりがあった後彼が言う。
「この森を出たら俺の家があるから一先ず来るといい。傷の手当もしよう」
き・・傷の手当までしてくれるなんて・・。い・・良い人だ。
見た目とのギャップがあるけど・・。ハッ!これが友人の言っていたギャップ萌え!?
「本当にありがとうございます。ご迷惑おかけしてすみません」
「いや、見たところ何か事情があるようだが悪い人物には見えないからな。助けるのは当たり前だ」
ほ・・・本当に・・いい人だーーーーーー!!!
「ありがとうございます・・私 篠宮 優季 と言います」
「シノミヤ・ユーキ?珍しい名前だな。シノミヤが名前か?」
えーと・・こちらでは名前が前いくるのかな
「いえ・・私の故郷では名前が後ろにくるので・・こちらでは違うのですね」
「ああ・・と言う事はユーキ・シノミヤか?良い名前だな」
「ありがとうございます。貴方のお名前は?」
「グレン・メイサスだ。」
「メイサスさん・・とお呼びしたらいいですか?」
「グレンでいい。俺もユーキと呼んでいいか?」
「はい!もちろんです!」
「そうか・・もうすぐ俺の家だ」
グレンさんとの会話をしながらもグレンさんは結構なスピードで森をグングン歩いていく。
速いなぁ~。でも、これでも抑えてるんだろうな。
そうして森を抜けるとすぐ傍にはでかい屋敷があった。
てっ・・デカッ!こんな家見たことないんですけど。
「さあ着いたぞ。はやく傷の手当をしなければな」
そう言いながらこれまたなかなか見ることの無いような大きな門を片手で開ける。
普通の人ではなかなか開けれませんよ?
屋敷の中へと入れてもらうと中も広い!なんか高そうな調度品が飾ってある!
「俺は一人暮らしでな。使用人も居ないんだ」
グレンさんが私を運びながらいう。
多分グレンさんの部屋へと運ばれているのだろう。
・・・うわ~・・何か恥ずかしっ。男の人の部屋なんて入った事ないよ~。
「俺の部屋だ。ここの椅子に座ってろ」
ガチャリとグレンさんが部屋のドアを開け見た目からは想像できないほど丁寧な動作で椅子に
座らせてくれた。
にしても・・グレンさんの部屋殺風景だ・・
グレンさんは棚から救急セットだと思われる物を取り出した。
「ほら、足を出してくれ」
そう言われてズボンの裾をまくる。
「染みるかもしれんが我慢しろ」
・・・おおう。今私の前にはグレンさんが跪いて手当して下さってます。
くっ・・。は・・恥ずかしい!薬もちょっと染みる・・・。
薬を塗り終えたグレンさんは丁寧に包帯を私の足首に巻いていく。
「終わったぞ」
「ありがとうございます」
・・え~と、これからどうしたらいいんだろ?
「・・・服の下に怪我は?」
・・・・服は脱げませんよ?これでも女ですから・・・
ああ、やっぱり男に間違われていたんですね・・・
「すみません・・実は・・あの」
「なんだ?怪我をしてるのか?なら早く脱いでくれ」
無理です無理です
「違うんです!・・わたし・・・女です!」
そう言った瞬間時が止まった気がした。
グレンさんの無表情が驚きの表情へとかわる。
そうして一気に顔が真っ赤になった。
「そ・・そそそそそうか。す、すまない!」
「いえ・・いつも間違われるんです」
本当に何時も間違われるんです。女の子に告白された事もあるほどに・・・。
「そうなのか・・」
「ええ」
それから暫しの沈黙の後、私のこれからについてグレンさんと話し合う事になった。




