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仮免舞踏会~執事をクビにはさせません!〜

「いっっっ……!!」

 悲鳴が上がり、優雅なワルツの曲が止まった。

「ごめーんっ!タクト、大丈夫?」

 いつもはすましている執事のタクトだけど、目に涙を浮かべて左足を抑える姿がかわいくてキュンとした。

「どうしていつもここのタイミングで足を踏むんですか!?一体何度私の足を踏めば……」

 長~いお説教が始まりそうな予感がする。そこにタイミングよくメイドがやってきた。

「失礼します。お嬢様、旦那様がお呼びです」

(助かった!)

「はーい!……それじゃあ私は行くから、タクトは休んでてねっ」


 書斎に入ると、お父様から見知らぬ殿方の写真を渡された。

「誰よ、これ」

「来月開かれる社交界でお前に紹介する予定の方だ」

「私、ダンス教室で仮免だから社交界に出られないんだけど?」

「今週末に試験があるだろう?それに受かりなさい。一流の教室に通わせているのに、18にもなって未だ試験に合格出来ないとは情けない。執事がお前を甘やかしているのではないか?」

「タクトは何も悪くないわよ!」

 矛先がタクトに向かい、執事を変えるべきかという話になった。

(タクトと離れるなんて絶対にイヤ!)

 その瞬間、私は宣言した。

「わかりました!次の試験では絶対に合格してみせます!執事もタクトのままにしてもらいますからね!!」

 こうして猛特訓の日々が始まった。

 


「本日のレッスンはここまでとします。明日の試験、皆様頑張ってくださいね」

 試験前日。先生からもお墨付きが貰えた私は上機嫌だった。

 もともと結婚したくないから社交界デビュー出来ないようダンスの練習をさぼっていただけなので、本気になれば上達するのは早かった。

「お疲れさまでした、お嬢様。さ、車に乗ってください」

 足を踏まれることがなくなったタクトも喜んでくれるかと思ったのに、このところ彼には元気がない。

「タクト、何かあった?」

 運転席に乗り込む彼に聞いてみた。

「……社交界に出られたら、お嬢様はご結婚されるのですか?」

「まあ、いずれはそうなるのかな?」

(その時はタクトとがいいな)

 彼のほうをちらっと見るとすぐそばに顔があって唇が触れた。

 キスされたのだと気づくのに数秒かかった。

「……タクト?」

「そんなこと、させねーよ」

 執事交代の話を聞いたのかな?大丈夫。解雇なんてさせないからね!



 翌日。

「それでは行きますよ、お嬢様」

「うん!頑張ろうね」

 絶対に足を踏まずに最後まで踊ってみせる!

 曲が始まり執事の手を取る。

 試験が今、始まった。

 「なろラジ」の「タイトルは面白そう!」にて紹介していただいた作品です。

 執事目線の執事編も合わせて読んでいただければ幸いです。

 お嬢様と執事のすれ違いを楽しむ作品となっています。

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