第46話:宣戦布告と、激甘刺激スフィアの投入
タナカとチー牛は、ムッソリーニオに対抗するための**『激甘刺激スフィア(スウィート・ヒート・ボム)』**を大量に生成し終えた。その白い球体からは、ココナッツミルクの甘い香りが漂っているが、誰もがその内部に地獄の激辛が潜んでいることを知っていた。
「タナカ!これでムッソリーニオの『刺激』への要求は満たせる。このスフィアを食えば、奴らの味覚は破壊される!最高の食のテロだ!」チー牛は興奮気味に言った。
「テロじゃない。平和への誘導だ。この二律背反の味が、彼らの戦争観を破壊する」タナカは冷静に答えた。
その時、ロイド=ブレイブハートが、顔面蒼白で部屋に飛び込んできた。
「タナカ様!緊急事態です!ユグラシア連邦軍が、休戦の破棄を宣言しました!そして、元老ナチョスと星輪が、ムッソリーニオを旗頭に、全軍に総攻撃の指令を出しました!」
ムッソリーニオの「鉄の意志」
ユグラシアの総統フューラー・ヒットラークは、内心では休戦を継続したかったが、元老たちの圧力に屈した。ムッソリーニオは、ユグラシアの指導者に祭り上げられ、国境交換所の国境線を突破する大攻勢を開始した。
ロイドは震えながら言った。
「奴らのスローガンは**『甘い麻薬を捨てろ!鉄と血の栄光を取り戻せ!』です!ムッソリーニオは、タナカ様の平和を『軟弱化政策』**として完全に否定しました!」
「そして、ユグラシア軍の最前線部隊には、あの**『飢餓誘発チップス』が大量に配備されています!さらに、ユグラシアの補給部隊が、何らかの『黒い星型の兵器』**を運んでいるとの報告も……」
(タナカ内心):元老ナチョスのチップスと、元老星輪の『絶望の星』だ!二つのラスボス兵器が同時に来るとは!
タナカは、すぐに立ち上がった。彼の表情は、あの戦場で死を覚悟した時のような、無感動だが強い決意を帯びていた。
「ロイド。準備はいいか。今度は、正面から奴らのプロパガンダを叩き潰す」
最終対決の準備
タナカは、チー牛が開発した**『激甘刺激スフィア』**を、小型の投射装置に装填した。
「チー牛、お前の能力は**『食の正義』**だ。このスフィアを、ムッソリーニオと彼の精鋭部隊に、正確に届ける。間違っても、一般兵士には当てるな」
「了解!最高の刺激と甘さを、奴らに浴びせてやる!」チー牛は、武力とは無縁の形で戦闘に参加する準備を整えた。
タナカは、ユグラシア連邦軍の攻撃目標が、『万能栄養スフィア』の製造施設、すなわちウッドストック村にあることを確信した。
「ロイド。ウッドストック村に避難指示を。そして、お前は国王軍の補給部隊に接触しろ。『甘味協定』は終わらない。我々は、最終的な防衛ラインに、**『究極の粘着兵器』**を配置する」
タナカの最後の戦略は、ムッソリーニオの「熱狂」を「味覚」で破壊し、ヤマダの破壊を「粘着」で封じたように、二人のラスボスの軍隊を、最も原始的な方法で足止めすることにあった。
「行くぞ。俺の平和は、甘いだけの脆弱な平和じゃないことを、証明してやる」
タナカは、ボロボロの軍服と、その胸元のコンビニTシャツに誓いを立て、チー牛とロイドと共に、ユグラシア軍の総攻撃が迫る戦場へと向かった。




