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第30話:和平への最大の障害—ユグラシア軍の影の支配者

タナカの**「甘味協定スイーツ・パクト」の提案は、ロイドの誤解を通して国王軍上層部に伝えられ、「ユグラシア連邦の経済を砂糖漬けにして破綻させるための、究極の経済戦争」**として受け入れられた。


休戦期間中、レドニア王国軍の補給ルートは、タナカの創造魔法による新型甘味兵器の量産で溢れかえり始めた。


「ロイド。この**『キャラメルコーティングされた硬いクッキー』を、『新型・対ユグラシア経済破壊兵器』**として補給部隊に届けろ。甘さと硬さの絶妙なバランスが、奴らの神経を狂わせる」


タナカは、自身の能力の欠陥を逆手に取り、食料品をまるで兵器のように扱う指示を出し続けた。


敵陣営の動揺

一方、ユグラシア連邦軍の本部壕では、総統フューラー・ヒットラークが、レドニア側の異様な動きに苛立ちを募らせていた。


「またか!レドニア軍が、休戦期間中に補給ルートを増やしているだと!しかも、運んでいるのは**『妙に甘い香りのする、奇妙な硬貨』**だと!?」


ヒットラーク総統は、これがタナカの**「偽金戦略」**の継続であると理解し、内心では恐怖していた。


「あの異邦人は、兵士だけでなく、我々の通貨システムそのものを破壊するつもりか!」


しかし、ヒットラーク総統の真の悩みは、レドニアではない。彼の上司、ユグラシア連邦の最高意思決定機関にいる二人の人物の存在だった。


フューラー・ヒットラーク総統(内心):「あの甘い紙切れで戦線が沈静化して助かったが、もし、このまま和平が成立すれば、私の上司、元老ナチョスと元老星輪が許さない……」


元老ナチョスと元老星輪は、ユグラシア連邦の経済と軍事産業を裏から支配する、真の戦争推進派であり、ヒットラーク総統すら彼らの意向には逆らえない。


新たなラスボスの影

その夜、ヒットラーク総統の本部に、極秘裏に二人の人物が訪れた。


一人は、異様なほど肉厚な体躯を持ち、常に大きなトルティーヤチップスのようなものを口にしている元老ナチョス。


もう一人は、痩身で冷たい目をしており、全身に複雑な星形の紋様の装飾を施した服を纏う元老星輪ほしわ


「フューラー。報告は聞いているぞ」元老ナチョスが、トルティーヤチップスをパリッと噛み砕きながら、低い声で言った。


「レドニアとの休戦、そして、あの**馬鹿げた『甘味戦争』は何だ。我が連邦の軍需産業が、貴様のせいで停止している。あの『煎餅紙幣』**は、我が裏経済システムを麻痺させかねん」


元老星輪は、静かにタナカの**『お菓子の戦車』**のスケッチを指さした。


「フューラー。貴様は、あの悪趣味な飴細工の戦車を『新型兵器』と誤認し、屈辱的な休戦に踏み切った。貴様の判断は、我が連邦の威信を貶めた。我々は、あの異邦人、タナカを、**『世界秩序を乱す、最大級の脅威』**と断定した」


ヒットラーク総統は、額に汗を滲ませた。


「しかし、閣下方!あの異邦人は、物量で我々を上回っている!」


元老ナチョスは、冷笑した。


「馬鹿め。我が連邦の真の力は、飢餓だ。あの異邦人は、兵士に**『甘さ』を与えた。我々は、その甘さを、『地獄の苦さ』**に変えてやる」


元老星輪が、静かに結論を告げる。


「フューラー。貴様は、次の攻勢をかけろ。我々が用意した**『最終兵器』を使ってな。タナカがもたらした『甘い混乱』を、『真の絶望』**に変える。この戦争を終わらせるには、彼を徹底的に破壊するしかない」


タナカの「平和戦略」は、ユグラシア連邦軍の真の支配者である元老ナチョスと元老星輪という、戦争が生み出した悪夢のようなラスボスたちを、本格的に戦場へと引きずり出す結果となった。

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