第24話:ユグラシア偵察部隊の誤算—甘い物量の脅威
ユグラシア連邦軍の精鋭偵察部隊『ツァイト』は、静かにレドニアとの最前線に潜入していた。彼らは静寂の中、警戒を強めながら、レドニア軍の壊滅を確認しようとしていた。
「誰もいない。やはり敵は逃げ出したようだな」隊員の一人が報告した。
しかし、その時、ツァイト部隊のリーダーが、遠くの廃墟の塔付近から漂ってくる、異様な匂いに気づいた。
「待て。この匂いは……砂糖だ。そして、あれを見ろ!」
リーダーが指さした先。月明かりの下、泥まみれの戦場に、異様にカラフルな、数十台の巨大な塊が整然と並んでいた。
ユグラシア偵察兵A:「な、なんだあれは!?戦車……なのか?だが、あまりにも甘すぎる!」
タナカがクッキーの帽子とキャラメルコーティングの上着を纏い、茫然と立ち尽くしている姿は、夜闇と距離によって、**「謎の異邦人技術者」**の影のように見えた。
ツァイト部隊の「戦況分析」
ツァイト部隊は、距離を保ったまま、望遠鏡でその異様な物体群を観察した。彼らの脳内では、ヒットラーク総統の「敵は新型兵器を隠している」という言葉が響いていた。
ツァイト隊長:「あれは、紛れもなく戦車だ。泥に沈んでいるが、装甲は分厚い。だが、あの奇抜な色は何だ?そして、この強烈な甘い匂い……」
ツァイト隊員B:「隊長、数を見てください!ざっと見積もって70両以上です!しかも、全てが同じ形式。我々の陣営にある戦車の数よりも、圧倒的に多い!」
彼らの陣営にある戦車は精鋭の30両程度。レドニア側は古い戦車が数十両あることは知られているが、この**「新型戦車」**の物量は、完全に予想外だった。
ツァイト隊長:「まさか……これこそが、あの異邦人が開発したという、レドニアの**『新型・超重装甲戦車』なのか!?あの奇抜な色は、我々を混乱させるための光学迷彩**かもしれん!そしてあの甘い匂いは、毒性ガスの偽装だ!」
タナカの「お菓子の戦車」は、遠方からの偵察と、ユグラシア兵の飢餓と猜疑心によって、**「脅威的な物量を持つ新型戦車師団」**と誤解された。
ツァイト隊員C:「隊長!中央にいるのは、あの噂の異邦人技術者です!彼は、クッキーの帽子を被って、次の戦車を作り出そうとしているように見えます!」
彼らが目撃したのは、タナカが放心状態でお菓子の戦車の横に立ち尽くしている姿だったが、隊員の目には**「次の大量生産の指示を出す、冷酷な技術将校」**に映った。
ツァイト隊長は、顔を青ざめさせた。
「撤退だ!すぐに総統に伝えろ!レドニアは、兵士の命を犠牲にする代わりに、我々の物量を遥かに凌駕する、新型戦車師団を秘密裏に配備していた!そして、その戦車は、一晩で70両以上も出現する!」
ツァイト偵察部隊は、タナカが**「いつでも戦車が出せる」**という能力を持っているという、最も正確な、しかし最も滑稽な情報を、極度の恐怖とともに本部壕へと持ち帰るために、泥濘の中を急いだ。




