匂い
どんな夢を見たかは覚えていない。
眠り始めて数十分、あるいは1時間ぐらい経った頃、きみの喋っている声で目覚めた。
「ありがとう。さっぱりした」
僕の服を着たきみが立っていた。
それは何より…だが、何よりいい匂いがする。
「同じシャンプーとか使いました?」
僕は気になって聞いてみる。
「ん…?あぁ、置いてあったのを使った」
同じものを使っているのに、なぜこんなに良い匂いがするのだろう…?
そんなことを考えていると、きみが他のことを話し始める。
「台所と、少し食材を借りても良いか?」
確か冷蔵庫には、卵と野菜と…。
「良いけど、そんなに食材はないですよ…?」
「いいんだ。じゃあ、きみもお風呂に入ってきてくれ。」
なぜ自分の家なのに主導権を握られてる感じなのだろうか…?
そんなことを思いつつも僕はお風呂に向かう。
脱衣所に入ると、下着や着ていた濡れた服、それらが脱ぎ捨てられていた。
服はまだしも、下着はなんというか触れない。
お風呂から出た後に洗濯機に入れてもらうか。
そう考えながらお風呂に入る。
気持ち悪いかもしれないが、お風呂の中も良い匂いがした。
それと同時に、ずっと1人で暮らしていて誰かの後にお風呂に入るということがなく、新鮮な気持ちもあった。
さっさとお風呂を済ましてきみと話そう。
そう考えて、僕はさっと身体を流してぱっと全身を洗って、外に出た。




