潔癖症ですが
変更いたしました。
血だらけになりながら涙を流しているアーノルド殿下の事は駆け付けた聖騎士達に任せて、私は聖女として召喚された少女の元へ向かいました。
少女はお姉様のような黒い髪ですが、艶がなく潤いもないパサパサでボサボサの髪は、無理矢理切られたかのように感じられます。
血の気が無く青白い色した肌は、カサカサしていて湿疹のような赤いポツポツができコケた頬っぺたが真っ赤になっている……。着ているボロボロに破れて汚れている服からは、痩せ細った腕と足は骨と皮だけで今にも折れそうな程に痩せ細っている、10歳位の少女です。
その時に私は違和感に気付いた。
[この少女は、本当に異世界から来たのかしら?]
以前に似た様な子供達を見た事があるのです。あれは、お姉様と食材探しの旅で海沿いの都市のに行った時に、我コーデルハイム家が運営する孤児院を訪れたのですが、その時の子供達が少女のような姿をしていたのです。そしてなにより、この少女が着ているTシャツと半ズボンは、お姉様が布教活動で配っていたお手製のサークルグッズ(非公式)ですもの。
見間違い?あり得ないですわ!だって、お父様とグリーンベル様に似たお2人の顔が描かれているのですよ?見間違えるなんてありえませんわ!
だから、この少女はあの孤児院の子供で間違いありませんわ。
少女の前に両膝を突いて座り「怖かったね、もう大丈夫よ」と、言いながら少女の頭を撫でると、俯いていた顔を上げて涙で濡れた深緑色の大きな瞳で私を見つめるこの少女を、私は知っていますわ!
「あなた……、ルーシー?」
「っ!!」
そうだと言わんばかりに首を大きく縦に振り、私に助けを求めているかの様に口をパクパクと開きながら何かを訴えています。
お姉様に「煩い!」っと、怒られる程にお喋りな子だったのに…、まさか……
「ルーシー!口を開けなさい!」
ルーシーの荒れた頬を両手で包むと「っん‼︎」と、大きく広げた口の中には可愛らしい舌が見えましたわ。舌を切り落とされたのかと思いましたが、良かったですわ。しかし、なら何故ルーシーは声が出せないのでしょうか?
そう思いながら口の中を覗きこむと、奥に白く光る円形の何かが見えましたわ!なんだか、嫌な予感がします……。
ミケラ様なら、これが何かが分かるかも知れませんわ!
「ミケラ様!ルーシーの口の奥に、何かありますわ!」
私の言葉に、肩にちょこんと座っているミケラ様は「どれ〜」っと、言いながら親指位に小さくなってルーシーの口の中に入っていく姿は、なんともシュールな光景に見えてしまうのは私だけでしょうか?
ルーシーもびっくりしながらも、ミケラ様を飲み込まない様にと口をより大きく開けています。「分かったよ〜」っと、声が聞こえると、ぴょん!っと口から飛び出て来ましたわ。なんか、嫌……。
そして、元の大きさに戻り私の方に飛び付こうとしているので、思わず立ってミケラ様を避けてしまいましたわ。
だって…、口の中に入ってた身体でくっつかれても……
「よけるなんて〜!アリシアひど〜い!」
「そんな事より、何が分かったのです?」
「話逸らした〜!かなしみ〜!」
「それで、お姉様も呼んだ方が良いかしら?」
「そだね〜!真奈美なら解除出来るから、呼んでく……」
「真奈美お姉様!助けて下さい!」
「ええ〜!僕が呼びに行こうと思ったのに〜!アリシアひっど〜!」
「だまらっしゃい!人間の口の中に入った身体で、お姉様に触らないでくださいまし」
「それなら大丈夫だよ〜!僕はシールドで守られてるから汚れないんだよ〜!キレイキレイよ〜!」
「ミケラ様は、埃や雑菌、ウイルスなどで汚れたシールドに、守られているって事ですね」
「違うも〜ん!僕はキレイなんだも〜ん!」
「それよりも、その汚れたシールドで、ルーシーの口の中に入ったのですか?」
「僕汚くないいも〜ん!アリシアひど〜い!」
「ルーシー!ほら!これでお口を濯ぐのよ!」
去年の私の14歳の誕生日の時に、お姉様がプレゼントでくれた4次元ポシェットの中から取り出した聖水の入ったアンプルをルーシーに渡し、口を綺麗に濯がせましたわ。お姉様がいつ何が起こるか分からないからと、聖水やポーションなど回復系のアイテムを大量に入れてくれていたのが役に立ちました。
ルーシーも口の中が綺麗になってスッキリしたのか微笑んでくれて、その思わず抱きしめたくなるほどの可愛さに、お姉様がお父様に『尊い!』っと、叫んでいる気持ちが分かりましすわ!
私がルーシーの可愛さに悶絶していると「アリシア!どうしたの!」っと、駆け寄って来るお姉様の腕には、お父様を撮影していたであろう映像石が溢れんばかりに抱えられていて、それを見て私も映像石が欲しくなりましたわ!
「お姉様!映像石を一つ下さいませ!」
「え?いいよ!はい!」
「ありがとうございます!」
ルーシーはお姉様に気付いたらしく、目を輝かせてお姉様を見ています。そう、まるで、ご主人様がご飯を持ってきてくれて喜んでいるワンコのように。そんな可愛いくて愛おしい姿は、映像石に収めなくてはなりません!
「あれ?この子は、唐揚げちゃん?」
そうでしたわ。孤児院でお姉様が唐揚げを作ったら、あまりの美味しさに感動をして泣きながら食べていた姿を見て「唐揚げちゃん」と、お姉様があだ名を付けたのでしたわ。
「はい、ルーシーです。先程、ミケラ様に穢されたので、聖水で浄めておりましたの」
「はあ?ミケラが、将来の私の従業員でもある唐揚げちゃんを、穢しただと……」
「ええ!ルーシーの口の中に入ったのです!」
「え……、なにそれ……、自ら食われに……」
「ちが〜う!口の中にある呪いを確認しただけだよ〜!」
「はあ〜?呪いだあ〜?誰が私の従業員に呪いをかけたんだ!」
「さっき真奈美が蹴飛ばした、キモいヤツだよ〜」
「あのキモいヤツか!」
「お姉様なら解呪出来ると、ミケラ様が仰ってましたわ」
「本当に!唐揚げちゃんの呪いを解けるの!?」
「解けるよ〜!」
「ミケラ!私は何をしたらいいの!?」
「それについては〜、アリシアと準備するから待ってて〜」
ミケラ様はいつものように私の肩に飛び乗ろうとしましたが、また避けられるのではとビクついた顔をして「ピューリ!」っと、呪文を叫んで自信に浄化魔術をかけ、身体を綺麗にしたみたいですわね。まあ、そのままで来たらまた避けますけどね。皆様、お気付きかも知れませんが、私、潔癖症なのです。とっても。
そして、肩に乗ったミケラ様が言うには、お姉様の瞬発的に放出されるエネルギーで呪いを消せると言うのです。
そのエネルギーは、お父様に悶絶した時に放出されるらしいのです。
それでは、お姉様を悶絶死させましょうか!
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