【漫才】ヤメ時
ツッコミ「はいどうもー」
ボケ「どーも、どーもどーも」
右手を挙げ手のひらを観客に向けながら
ツッコミ「どっかで見たことある挨拶やめぇ!」
ボケ「どーも、どーもどーも」
右手の肘から先を動かしチョップするように
ツッコミ「ちょっ! やめぇ言うに!」
ボケ「オレ、生きててええんですかね? 生まれてきてすんません」
ツッコミ「そっちの『病め』ちゃうわ!」
ボケ「ヤメ時って難しいよね?」
ツッコミ「え? なんなんいきなり?」
ボケ「エビの風味のきいたスナック菓子のヤメ時が分からんねん」
ツッコミ「『ヤメられへん、止められへん』言うてんねんからヤメられんくてええんちゃうの?」
ボケ「じゃあ、コンビニ襲ってきてもええかなぁ?」
ツッコミ「袋空っぽになったらヤメ時や! え? あれ、そこまで中毒性高いか?! 犯罪はアカンよ?」
ボケ「……」
ツッコミ「…なに爪噛んでんの?」
ボケ「『その癖ヤメなさい』って幼なじみのように言ってくれんと」
ツッコミ「お前の爪噛む癖なんか知らんがな」
ボケ「その無関心、ヤメませんか?」
ツッコミ「めんどくさぁ! ACのCM狙ってんの?」
ボケが“あて先はコチラ”のポーズをする
ツッコミ「お前の連絡先出ぇへーん!」
ボケ「じゃあ090の112きゅ」
ツッコミ「待て待てぇ! 個人情報全国に晒す気か?! しかもそれ俺の番号やんけ!」
ボケ「夜中のグループメールのやりとりもヤメ時分からんよな?」
ツッコミ「あれはオヤスミ言うて通知もオフにしときゃええねん」
ボケ「朝起きて画面5つ分会話が進んでたらちょっと凹まへん?」
ツッコミ「それはしゃーないやろ。てか、グループでそんなに話すことあるか? どうせ最後の2人が粘ってんねやろ? 個別でやれ言うたら終いやん」
ボケ「いや、オレ以外のメンバー全員で、オレが寝てからの方が盛り上がってる節がある」
ツッコミ「ヤメてまえやそのグループ」
ボケ「バイトのグループでシフトとかも決めてるからヤメるわけにもいかんのよ。実際問題、オレらっていつバイトヤメれるんやろな?」
ツッコミ「その話は楽屋でしよな?」
ボケ「ギャンブル系ってヤメ時分からんよな」
ツッコミ「滅多なこと言うなよ? 遊びな? ゲームの話よな?」
ボケ「オレもアホちゃうからそれぐらいは分かってるよ。お馬さんの応援券を買って、熱烈に応援して、お馬さんが勝てたら“応援ありがとう”の感謝の気持ちが返ってくるだけやん。その日の最終レースがヤメ時や。レースがなければ応援できんからな」
ツッコミ「おお、せ、せやな」
ボケ「オレが分からんのは夢の国のペアチケットが当たるかもしれんクレーンゲームのヤメ時やねん」
ツッコミ「アカーン!!」
ボケ「あれメッチャ飲まれていくやん?」
ツッコミ「ヤメて、ヤメて! 夢の国の話やんかぁ! そこまでの道のりも夢にするのヤメようや」
ボケ「『人に夢と書いて儚い』か。あ、だから吐き出さへんねや。お後が宜しいようで」
ツッコミ「ヤメれるかぁッ! 出るとこはちゃんと出てるっちゅーねん! 他人様の商売潰すようなことすな!」
ボケ「あかんか? 『飽きんように商い』言うもんな。中毒性が高いんも納得や。ほなこれで」
ツッコミ「出来ん、出来ん! こんなんで帰れるかぁッ! シャレが利いたら終わりちゃうで。何でそんな雑な締め方なん?」
ボケ「やっぱ、あかんかー。みんな言うだけあってなかなか難しいなぁ」
ツッコミ「なんやそれ。みんなって誰よ?」
ボケ「ヤメ時の分からないものランキング1位ってな、“今の仕事”やねん」
ツッコミ「意味が違ーう! その仕事はオレらで言ったら『漫才師』の方や。『ネタ』の方とちゃうねん!」
ボケ「ネタヤメますか? それとも漫才師ヤメますか?」
ツッコミ「お前のせいでオチのハードル高過ぎへんか? ネタヤメさせてもらうわ」
2人で礼
了