表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/65

六十一、深まる謎




俺たちは一階に下りたが、なぜだか誰もいない。

二人で入口のエントランスに立ち、どっちへ行こうかと迷っていた。


「部屋のドアを開けたらダメだけど、ドアがない場所はいいんじゃないかな」


智博がそう言った。


「確かにそうだな」


そこで俺たちは、まず廊下を左へ進むことにした。

長い廊下を挟んで、左右には三つの部屋のドアがあった。

俺たちはそこを通り過ぎ、やがてキッチンについた。


そこでヒントらしきものを探したが、なにもなかった。


「ちょっとトイレに行ってくる」


智博が言った。


「あ、じゃ俺も」


そして二人でトイレへ行くことにした。


WCと書かれた入口には、ドアがなかった。

俺たちは互いに並んで立ち、小便器に向かった。

その際、智博は天井を見上げたり、手洗いのボール辺りを見ていた。


「石竹くん」


智博は小便を済ませ、俺を呼んだ。


「なんだ」


俺も小便を済ませた。


「僕、気がついたんだけど、このトイレもそうだけど、ここの建物って鏡が一切ないよね」

「え・・ああ・・まあ、そうだな」

「普通、トイレには鏡くらいはあるよね」

「まあ、普通はそうだな」

「なんか変じゃないかな」

「変って?」


俺は智博が何を言おうとしているのかが、いまいちわからなかった。


「確信は全然ないんだけど、鏡がヒントの鍵なんじゃないかな」

「鏡か・・」

「どこかに鏡に代わるものがあるか、探してみようよ」

「うん、わかった」


智博の案は、正直、正しいのかどうかわからなかったが、俺に他の案も浮かばないし、とりあえずは手あたり次第思いつくままに行動する他ないと思った。


次に俺たちは、右の方へ進んだ。

こちら側も廊下を挟んで、左右に三つ部屋があった。

ということは・・一階は部屋が六つか。

二階は、少なくとも七部屋あった。

合計で十三部屋。

三階ともなると、もっと増える。

当てる確率からいくと、極めて低い。


というか・・ジーナの部屋はどこなんだ。

田地はどこにいる。


「三階は手術室があったよね。あそこならなにかあるかも知れないね」


智博がそう言い、俺たちは三階へ向かった。

そして手術室の前まで来た。

そこは当然、扉が閉められていた。


「これも数のうちに入るのかな」


俺が訊いた。


「どうなんだろう。僕が思うに、これは部屋としてカウントされないんじゃないかな」

「なんでそう思えるんだ」

「わからないけど、僕の勘だよ」

「勘か・・」

「どうする?やめておく?」

「うーん・・難しいところだな」

「ここなら鏡か、それに代わるものがあると思うんだよ」

「でも・・部屋としてカウントされてたら、もう終わりだぞ」

「そっか・・。じゃ、他を探してみようか」


そして俺たちは、手術室とは逆の方向へ歩いた。


「あっ」


智博が何かを見つけた。


「どうした」

「ここって・・総帥の部屋じゃないの」


智博はドアの入口の上を見ていた。

智博の視線を追うとプレートが貼られており、そこにはcommander-in-chiefと書かれてあった。

コマンダーって・・最高司令官って意味だ。

確かに、ジーナの部屋かも知れない。


「ノックしてみようか」


智博が言った。


「えっ・・」

「だって部屋を開けなければカウントされないよね」

「あ・・まあ、確かにな」


そこで智博はドアをノックした。


コンコン・・


けれども何の返事もない。

智博はもう一度ノックした。


コンコン・・


やっぱり返事はなかった。


「仕方がないね。他を探そう」


智博が言った。


「他って、部屋ごとにノックして回るのか」

「そうするしかないよね」


その時だった。

突然、エレベータの音が「チーン」と鳴った。


俺たちは顔を見合わせた。


「誰か来るんじゃないか」


俺がそう言った。


「とにかく隠れよう」


智博がそう言い、俺たちは急いで階段の壁へ身を隠した。

そしてエレベータのドアが見えるくらいまで、頭を出した。


ガーッ


ドアが開いた。


「まったくさ~いつまでこんなバカらしいことやってんのよ」


聞こえてきたのは女性の声だった。


「そうは言ってもだな。あいつを怒らせると、とんでもないことになるんだぞ」


次に男性の声が聞こえてきた。


「もう見つかるわよ!そうなれば犯罪に加担したってことで、私も捕まってしまうのよ!」

「それは私も同じだ」

「っていうか、なんで誰もいないのよ!」


女性はかなり怒っていた。

そして二人は、ジーナの部屋のドアを叩いた。


「あれって・・」


智博が呟いた。


「なんだ・・」

「添乗員の女性じゃないの・・」

「えっ!」


俺は目を凝らして女性を見た。


あ・・

ああっ!

あいつは、添乗員の大津根おおつね真奈まなじゃないか!


「ほんとだ・・添乗員だ・・」


やっぱりあいつも、ラムダの一族だったんだ。


「開けなさい!いるんでしょ!篤志あつし!」


篤志・・?

ひょっとして・・ジーナの本名か・・

するとジーナの部屋のドアが開いた。


「篤志!もうこんな遊び、やめなさい」


そう言って二人は部屋へ入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ